今回は、ヤンマガで連載中の新作「雨と君と」について紹介させていただきます。
本作は2021年3月にコミックス第1巻が発売されたばかり。ヤンマガというと青年誌ですが、「雨と君と」はたぬきとお姉さんのほのぼのした日常を描いたショートストーリー、年齢性別を問わない作品となっています。
この作品の魅力を言葉で語るのは非常に難しいのですが、強いて言うならただただ「尊い」。一話が非常に短いのですが、その話の短ささえ余韻となってこの作品の魅力の一つとなっています。
どこまでお伝えできるか分かりませんが、精一杯この作品の「尊さ」を語っていきたいと思います。
「雨と君と」のあらすじ(ネタバレは気にしなくて大丈夫)
ある雨の日の夜、お姉さん(名前は不明)は道端で段ボールに入れられた『たぬき』を見つけます。
そのたぬきを何故か犬と勘違いするお姉さん。芸達者なたぬきは拾ってくださいとアピールしますが、お姉さんは「うちでは面倒見れないわ」と一度は断ります。
その時さっと折り畳み傘を差し出すたぬき(うん?)。お姉さんは一瞬で心変わりしてたぬきを家へと連れて帰るのです。
本作では芸達者(?)で人の言葉を理解するどころか、ペンで器用に人の文字を書くたぬき(??)と、それを犬と勘違いし続けるお姉さんの日常が、穏やかなタッチで描かれています。
周囲の人間は一部を除いてたぬきがたぬきだと理解していますが、スルーしたりツッコめなかったりとお姉さんは犬だと勘違いしたまま。
たぬき自身も、自分を犬だと主張している(犬だということにした方が、お姉さんと暮らしやすいと思っているのかな?)ので、読んでいる方ももう犬というたぬきでいいやと思い始めてくるありさまです。
ちなみに、たぬきではありますが、今のところ変化とかはしてません。冬毛にモードチェンジしただけです。
「雨と君と」の主な登場人物(というか名前は?)
お姉さん(名前は不明)
黒髪ショートカットのクールな雰囲気の女性。たぬきを捨て犬だと勘違いして拾う。
たぬきに関して他にも色々とツッコむべきところはあるが、ほとんどスルーしている。
天然と言うより、マイペース。
小説家で一人暮らし。作中では分かりにくいが、たまの笑顔は相当な威力らしく、かなりの美女。
たぬき(?)
お姉さんに拾われたたぬき。
人の言葉を理解し、器用にマジックで文字を書いて意思疎通することができる。
頭の上に葉っぱを乗せているが、別に変身したりはしない(多分)。
普通のたぬきらしく(?)、注射は苦手で、犬も大人しい小型犬はともかく吠えるタイプの犬は苦手な様子。
お姉さんが犬だと思っているからか、他の人にたぬきだとツッコまれそうになると犬だと(直接文字で書いて)アピールする。
お父さん
お姉さんのお父さん。いかつい顔の髭サングラスという典型的な強面の外見。
可愛い物好きで、たぬきにメロメロ。たぬきが文字を書いたのを見て、一瞬だけ「化け物」と恐れおののくが、娘に「芸達者よね」「自転車に乗る犬だっているじゃない」と言われすぐさま納得してしまう(自転車に乗るのと文字を書くのを一緒にするな)。
職業料理人。
(他にも獣医とかお隣さんとか色々出てきますが、ほとんど一度限りの登場。お姉さんとたぬきの掛け合いが物語の大半を占めます)
「雨と君と」の感想と評価
お姉さんとたぬき(自称犬)のただただ尊い、優しい物語
本作は、ほとんど大きなヤマもオチもなく、お姉さんとたぬきのホンワカしたやり取りが一話、ほんの数ページずつ繰り広げられるだけの物語です。
もうちょっと読んでいたいな、と思うところで物語が区切られ、何故か不思議な余韻に包まれてほっこりした気分になってしまう。
設定や要素を詰め込むのではなく、逆に詰め込まないことで読者に色んな想像や感情を抱かせる作品となっています。
絵柄もとても可愛くて、たぬきがころころ動いているのを見るだけで満足してしまう人も多いんじゃないでしょうか(具体的に言うと私とか)。
どんな人におすすめ?
のんびりとした作風に癒されたいという方には間違いなくおすすめです。
疲れてあまり考えるタイプの話を読みたくないという時には、こういう短くて穏やかな話が一番でしょう。
そうでなくとも、たぬきを眺めているだけで穏やかな気分になれるはずです。
男女問わず読める作品ではありますが、逆に物語に盛り上がりや緻密さを求める方には向いていないかもしれません。
あとは、読み手の想像を掻き立てるタイプの作品ですので、年齢層は少しだけ高めかもしれませんね(人によると思いますので、一概に大人向けと言うわけではないですが)。
一話ごとがとても短い作品で、Web上で試し読みもできますので、まずはお気軽に作品に触れてみてはいかがでしょう。
ここまで記事を読んでいただいた方であれば、きっとお姉さんとたぬきの魅力にメロメロになってしまうと思いますよ。
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