「アラガネの子」感想&評価(ネタバレ注意)~王道でシンプルに面白いと思える期待作! 今後独自色を出せるか?~


 今回は「ジャンプ+」で連載中の期待作「アラガネの子」について紹介したいと思います。

 2021年3月にコミックス第1巻が発売されたばかりの本作は、非常に画力が高く、キャラクターも魅力的に描かれている良作。まだまだ始まったばかりで、本格的な評価は今後の展開次第となるでしょうが、それでも読んで損はないと太鼓判を押せる作品です。

 今後への期待も込めて、物語の概要、そして魅力について語っていきたいと思います。

アラガネの子のあらすじ(ネタバレ注意)

 物語の舞台は、「石」、「宝石」が特別な力を持ち、それが生活の中心となっている世界

 石の力を引き出す鉱石職人の青年、朱星(あけぼし)は、偶然訪れた地下集落で灰(かい)という少年と出会います。

 灰は朱星を3年前自分の家族と左足を石に変えた仇と勘違いして襲い掛かりますが、すぐに誤解とわかって和解します(この時朱星は閉所かつ暗所恐怖症が原因で気絶していました。鉱石職人がそれって、大丈夫なんですかね?)。

 その後、朱星は集落の領主に伝説的な価値を持つ「レッドダイヤ」が見つかったので買い取らないかと持ち掛けられます。
 実はそのレッドダイヤこそ石化した灰の左足。しかも徐々にレッドダイヤは大きくなっていると言います。そして石にされた灰の家族も、その身に複数の宝石を宿していたのです。

 領主の横暴に激昂した灰は、一時的に周囲の石をダイヤに変えるという特殊な力を暴走させます。それを宥め、押さえ込む朱星。そして朱星は領主から灰を救い出し、灰を弟子として新たな世界へと連れ出します

 灰は家族を石にした「赤い石に三本線のピアス」の男を見つけ出し、石化した家族を元に戻すため、朱星の元で鉱石職人としての修行を積み、徐々に成長していきます。
 そしてそこに複雑に絡み合う、鉱石職人たちの組織、鉱連盟(あらがねれんめい)の思惑と朱星の過去。

 朱星を慕う少女、黄(こう)を旅の仲間に加え、灰と朱星、師弟の旅は今まさに始まったのです。

(個人的に、ヒロインであろう黄が今後どれだけ活躍するかで、物語の魅力が大きく左右されるのではないかと思っています。女の子を女の子らしく表現するのが苦手な少年漫画家って多いですからね……某呪術の作者とかも自分で苦手だって言ってますし)


アラガネの子の主な登場人物

灰(かい)
主人公。地下集落に住む少年で、3年前「赤い石に三本線のピアス」をした男に襲われ、家族と左足を石化される。家族を元に戻すため朱星の弟子となる。
その左足に宿ったレッドダイヤは極めて希少で、しかも今も成長しているため、様々な者たちから狙われている。
性格は基本的には純粋で優しいが、賭場でイカサマを見抜くなどかなり世慣れた一面も。
周囲のものを一時的にダイヤに変える極めて特殊な力を持つが、その力が3年前の事件が切っ掛けで得たものなのか、それとも生来のものなのかは不明。

朱星(あけぼし)
鉱石職人で灰の師となった長髪の優男。
一見すると頼りなさそうだが、実は十二石座であるルビーの最適者に最年少で選ばれたこともあるエリート(十二石座=特に強い力を持つ貴石、最適者=石の力を最も上手く引き出せる者)。
しかし日常生活ではまともに金銭の管理もできないダメ人間
閉所恐怖症かつ暗所恐怖症で、第一話でいきなり灰に気絶させられている。
『鳩の血(ピジョンブラッド)』という謎朱星の二つ名が出てきたが、それが今後物語にどうかかわってくるのか……

黄(こう)
鉱連盟監査局に所属する少女。朱星のことを慕っている。
ボリュームの大きな髪と声が特徴的で、周囲からは可愛い孫娘のように思われている
半貴石(=価値の低い石)である虎目石の使い手であり、石から巨大な虎を召喚して使役することができる。

無明(むみょう)
鉱連盟東領支部長の老婆。声が出せず、水晶を振動させて言葉を発する。
一見すると穏やかで優しい老婆だが、裏で灰や朱星を必要に応じて始末するよう指示を出すなど、かなり闇の深そうな御仁

(個人的には黄が好きなのですが、まだあまり活躍がなくて悲しいですね。あとは無明おばあちゃんがどんどん腹黒くなってくれると、なお良しです。やはり黒い人間がいないと物語が映えませんからね)


アラガネの子の評価と感想

作者の画力は間違いなく高い

 画力については文句なしに高評価です。構図やキャラクターの動きなど、見ていて全く違和感がなく、キャラクターの表情なども少年漫画らしく魅力的。

 全身図がどのアングルでも違和感なく描けていますので、読んでいてストレスなくストーリーに没入できますね。

 ストーリーそのものは王道。まだ始まったばかりなので評価しづらい部分はありますが、もう少し尖った部分、クセが出てくるとより面白くなるような気がします。

 この辺りの匙加減は難しいですが、これは作者というより編集さんの腕になってくるのかな?

どんな人におすすめ?

 画風が少し可愛らしい雰囲気なので、そういった少年漫画としては可愛い系の画に違和感がある方でなければ、誰にでもおすすめできる作品です。

 表紙を見て違和感がなければ、そのまま読み進めてもまず問題ないでしょう。

 多少残酷な描写はありますが、その画風もあってかそれほどグロい印象はありません。最近の傾向だと、グロい方が受けがいいので段々過激になっていく可能性はありますが。

 何はともあれ興味を持たれた方は是非一緒に、この作品の成長を見守っていきましょう。


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