「BUNGO-ブンゴ-」感想(ネタバレ注意)~本格シニア野球漫画、ロマンとリアルが融合した剛速球投手、アニメ化は?~


 今回は週刊ヤングジャンプで連載中の大人気野球漫画「BUNGO-ブンゴ-」について紹介したいと思います。

 「BUNGO-ブンゴ-」は野球漫画としては珍しく中学生、シニア野球が題材となっており、ロマンあふれる剛速球と、進学・スカウトといったリアルな野球事情が同時に描かれた作品です。

 主人公、石浜文吾の活躍は勿論ですが、彼を取り巻くどこかフェチっぽいライバルたち、スカウトマンの言動も魅力の一つ。
 本記事では「BUNGO-ブンゴ-」のあらすじと登場人物、アニメ化の可能性などを中心に語っていこうと思います。

「BUNGO-ブンゴ-」あらすじ(ネタバレ注意)

中学一年生編、静央シニア入団、レギュラー争い

 主人公の石浜文吾は一度熱中すると周りが見えなくなる少年。

 小学校の頃、父親から野球のボールをプレゼントされた文吾は、朝から晩までずっと壁当てばかりして過ごしていました(近所に野球チームもなかったんですね)。

 そんな文吾が出会ったのは、野田幸雄という同い年でU-12の日本代表に選ばれた天才打者

 幸雄と勝負し、ホームランを打たれた文吾は、中学生になると同時に幸雄が所属する静央シニアに入団します。

 素人で知識もない文吾は、女の子ながらレギュラーを勝ち取った神谷真琴に指導を受けることに。

 そして練習で投球をさせてもらうのですが、先輩に簡単に打ち込まれてしまいます。

 実は文吾は左利きだったのですが、野球知識のない父親が右利き用のグラブを買ってきたため、ずっと右手で投げていたのです。

 姉の言葉で左利きを試した文吾は、コントロールは定まらないものの、右手以上の速度とスピンに手応えを掴み、それをひたすら練習します。

 そして一か月後の紅白戦に出場した文吾は、左投げを完成させ、チームの四番手投手としてレギュラーを勝ち取るのです。

 そして予選大会。静央シニアは文吾がノーヒットノーランを成し遂げるなど快進撃を続け、四回戦で強豪上本牧シニアと対戦します。

 静央シニアのエース吉見は、かつて上本牧シニアにめった打ちにあった経験を持つものの、確かな成長を見せて踏ん張り、同点のまま8回延長へ。

 登板したのは文吾。文吾は吉見のアドバイスで、ただひたすらにど真ん中にストレートを投げ込んで上本牧打線を抑え、その裏には幸雄がホームランを打って勝利を勝ち取るのでした。

中学三年生編、エース争い、全国のライバル、進学先は?

 その後、全国大会へ出場した静央シニアでしたが、準決勝で敗北。

 物語は一気に二年後、中学三年生へと飛びます。

 一年生の時からレギュラーを勝ち取り、周囲から注目されていた文吾。
 当然、三年生になったらエースになっているのかと思いきや、現実は二番手投手でした。

 実は、チーム内で急成長した鮎川瑛太にエースの座を奪われていたんですね。

 そして、エースを奪われた理由は瑛太の成長だけではなく、文吾自身にもありました。

 中学一年生の夏、異常な成長を遂げた文吾でしたが、その後は長く伸び悩む時期が続いていたのです。

 しかし、文吾は決して二年間足踏みしていたわけではありません。

 目には見えにくいながらも、着実に力を蓄え、羽化の時を待っていたのです。

 そして紅白戦。

 控えチームの先発として登板した文吾は、二巡目に幸雄にホームランを打たれるも、新たに習得したカーブを駆使して三巡目は幸雄を三振に取り、チームに勢いをもたらします。

 そして同点に追いつき延長戦。

 打席に幸雄を迎え腹を括った文吾は、ホップする魔球「ど真ん中ストレート」によって幸雄を三振に取ります。

 しかし、その後球数制限により文吾は降板。控えチームは破れてしまいました。

 二番手投手として中学最後の大会に挑む文吾。

 そこには幸雄と同じ日本代表に選ばれた天才たちが待ち構えています。

 そして、そんな彼らを虎視眈々と観察する高校野球スカウトマンたち。

 若き才能たちがしのぎを削る、熱い夏が訪れようとしています。


「BUNGO-ブンゴ-」主な登場人物(ネタバレ注意)

静央シニア(文吾、幸雄、マコト、袴田、瑛太、吉見)

石浜 文吾(いしはま ぶんご)
本作の主人公。一見すると朴訥な雰囲気漂うごく普通の少年。
一度はまると周りが全く見えなくなる凝り性で、小学生時代はひたすら壁当てに熱中していた。
典型的な剛速球投手だが、コントロールはそれほど悪くない。
また、中学三年の時にはカーブ、後にジャイロスライダーまで習得する。
最大の武器は「ど真ん中ストレート」と呼ばれ、ホップする魔球。
理論上は一定以上の球速とスピン量、垂直な回転軸があればホップする球を投げることは可能と説明されている……が、実際はホップするほどのスピン量だとストレートの終速が遅くなってしまうらしいので、あくまでフィクションの産物と思われる。

野田 幸雄(のだ ゆきお)
文吾のライバルにして相棒。ポジションは遊撃手。
U-12(後にはU-15)の日本代表にも選ばれた天才打者で、文吾を野球の道に引きずり込んだ。
努力家で闘志あふれる性格であり、文吾に引きずられるように才能を更に開花させていく。
性格的なものもあってか、時々文吾よりよほど主人公している。
年上好きで、文吾の姉に気がある。

神谷 真琴(かみや まこと)
本作のヒロイン。ポジションは二塁手。
女の子ながら、強豪シニアでレギュラーを勝ち取ったセンスあふれる少女。
外見はショートカットの美少女で、巨乳。
男子人気は高く、鮎川瑛太からも(気持ち悪い)アプローチを受けている。
文吾の指導係になり、次第に彼に想いを寄せていく。

袴田 浩(はかまだ ひろし)
捕手で文吾の女房役。
元は遊撃手だったが、文吾の投球を見て捕手にコンバートする。
小柄で口は悪いが、面倒見がよく、チームで文吾、幸雄に次ぐ有望株となる。

鮎川 瑛太(あゆかわ えいた)
三年時に静央シニアのエースを勝ち取った少年。
実は一年時から登場していたが、その際はただのモブキャラだった。
外見は背の高いメガネで、トレーニングの成果かかなり出来上がった身体つきをしている。
高い制球力と多彩な変化球が武器。
マコトに想いを寄せており、エースになって自信がついたのか告白もしている。
ただ、その言動は非常にフェチっぽくで気持ちが悪く、演出なのか感情を露にするシーンではしばしば裸になってよく分からない擬音を発する。

吉見 雅樹(よしみ まさき)
文吾たちの二つ年上で、入団当初の静央シニアのエース。
元は速球投手だったが、上本牧にめった打ちにされてイップスとなり、技巧派に転向する。
文吾に「ど真ん中ストレート」という意味不明な投球をけしかけた男。

その他(家族、柿谷、河村、家長などライバル)

石浜 かをり(いしはま かおり)
文吾の二つ年上の姉。
黒髪の美少女で、文吾のことをいつも気にかけている。
野球に関しては素人。
幸雄の憧れの人でもある。

石浜 雅則(いしはま まさのり)
文吾の父親。
メガネをかけた典型的な中年インドア派サラリーマン。
野球を全く知らず、左利きの文吾に右利きのグローブを買い与える。

柿谷 結弦(かきたに ゆずる)
文吾たちの二つ年上で、静央シニアの元キャプテン。
吉見を悪く言った人間をボコボコにして謹慎処分を受けていた吉見LOVEな男。
幸雄をして「メジャーリーガーのよう」と感嘆させるほどの天才打者。
文吾の「ど真ん中ストレート」さえ、容易くホームランしてしまう。
外見が某弱虫なペダルの御堂筋君に似通っていることから、色々と話題となった。

河村 幸一(かわむら こういち)
幸雄と同じU-15日本代表に選ばれた打者。
かなりごつい外見をしているが、意外に理論派で駆け引きが上手い。
マイペースでしばしば人を苛立たせる。

家長 太陽(いえなが たいよう)
幸雄と同じU-15日本代表に選ばれた天才投手。
世にも珍しい両投げ投手で、かなりの技巧派。
誰もツッコまないが相当な中二病で、名前になぞらえてか自身や選手を星に例える。

伴野 樹理(ばんの じゅり)
幸雄と同じU-15日本代表に選ばれた捕手。
ツンツン頭と名古屋弁が特徴の闘志あふれる男。

杉浦 真生(すぎうら まお)
幸雄と同じU-15日本代表に選ばれた二塁手。
鋭い目つきが特徴で、学業はかなり残念。


「BUNGO-ブンゴ-」感想と評価

ロマンとリアリティあふれるストーリー、フェチっぽい登場人物が面白い

 剛速球投手はロマン。

 「BUNGO-ブンゴ-」は、ある意味昔ながらの天才投手を描いた作品であると同時に、二つの大きな特徴を持っています。

 一つは高校野球ではなく中学シニア野球を題材にしているところ。

 もう一つは、いわゆるただ球が速い怪物を描いているわけではないところです。

 中々一般には馴染みのないシニア野球、それに関わる大人たちや高校スカウトマンの思惑に触れている点は、非常に生々しくてリアル。

 また主人公である文吾の能力も、多少のロマン、ファンタジーこそあれ、球速などはかなり現実味のある数字となっています。

 中学1年生の時の文吾の球速は最大110キロ程度。

 中学3年生の時であっても、平均球速は140キロちょっとと、そんな化け物染みた速さというわけじゃないんですよね。

 そうした細かでリアリティのある数字があるからこそ、文吾の「ど真ん中ストレート」なる魔球が読者に受け入れられているのだと思います。

 そしてこの作品のもう一つの魅力は、どこかフェチっぽく(変態的)個性豊かなライバルたちの存在

 「BUNGO-ブンゴ-」には鮎川瑛太を始めとして、おかしな方向に突き抜けたキャラクターが多数登場しており、そのある種気持ち悪いキャラクターが大真面目に野球に取り組んでいるところも、読んでいて非常にクセになります。

 青年誌ということもあって、瑛太がヒロインのマコトと絡むシーンなんかは、読者はある意味大興奮でしょうね。

アニメ化はされる? いつ?

 人気作で、話のストックも十分、いつアニメ化されてもおかしくないと思える「BUNGO-ブンゴ-」ですが、今のところその話は聞こえてきません

 実際のところ、アニメ化にあたって「BUNGO-ブンゴ-」には二つの課題があるように思います。

 一つは画風の問題。線が多くリアルな画風なので、気軽にアニメ化できるタイプの作品ではありませんよね(できないわけではなく、普通より手間がかかりそう)。

 そしてもう一つは、同じ野球漫画でアニメ化もされている「ダイヤのA」の存在でしょう。

 「ダイヤのA」は、「BUNGO-ブンゴ-」より更にリアリティのある野球漫画で、向こうは少年誌ということもあってかキャラクターも爽やかです。

 ニーズや比較されることを考えると同時期にアニメ化するというのは少しハードルが高いのかな、というのが正直な印象です。

 タイプが違う作品として割り切ってくれれば良いのですが……

 今後の動向を温かく見守っていくことにしましょう。



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