漫画版「スーパーカブ」の感想(ネタバレ注意)~ついにアニメ化、一万円で買ったカブが小熊の世界を変える~


 今回は「コミックNewtype」で連載中の漫画版「スーパーカブ」について紹介します。

 この作品は元々小説投稿サイト「カクヨム」に掲載されていた原作小説から始まり、2017年12月に漫画化、2021年4月にアニメ化された人気作。「スーパーカブ✖女子高生」を描いた異色の日常作品、今回はその漫画版について語ってみようと思います。

「スーパーカブ」のあらすじ(ネタバレ注意)

 父親を幼い頃に亡くし、母親は失踪。趣味もなく友達もいない高校二年生の少女、小熊
 彼女がある日、原付の便利さに興味を持ち、バイク屋で中古のスーパーカブ50を格安(1万円)で購入したところから物語は始まります。

 自転車との違い、自由度と手入れの大変さ、ガス欠、雨風への対策など、様々なことを経験しながら、小熊はただ便利さのためだけに購入したはずだったカブに、今までにない充実感を感じていきます。

 そしてある日、カブに乗っている小熊に興味を持ったクラスメイトの礼子が話しかけてきます。礼子はお金持ちで美人、頭も良い、小熊とは正反対の持っている少女。
 そんな礼子もスーパーカブに乗っていて、しかも相当な知識を持ったカブオタクだったのです。

 スーパーカブを通じて次第に仲良くなっていく小熊と礼子。礼子やバイク屋のおじさんから様々な装備や手入れの仕方を学び、小熊のスーパーカブライフは充実していきます。

 そして小熊はカブ周りの装備を充実させるためにクーリエ(運び屋)のバイトを始め、そこでもまた新たな出会いが(漫画版オリジナルストーリー)。

 そして文化祭。学校行事に無関心でカブのことばかり話していた小熊と礼子でしたが、準備の荷物の運搬で困っていたクラスメイト恵庭椎のために(というか小熊がクラスメイトの原付を馬鹿にする発言に怒って)カブで協力し、椎とも仲良くなっていきます。

 そして後に椎も二人に感化されスーパーカブに乗るようになり、小熊たちのスーパーカブライフは更に広がっていくのです。


「スーパーカブ」の主な登場人物(ネタバレ注意)

小熊(こぐま)
この作品の主人公。おかっぱ頭の地味で目立たない雰囲気の少女で、高校2年生。
父親を幼いころに亡くし、母親も高校入学と同時に失踪(「Bye」ってメッセージだけ残して、相当奔放な人だったんでしょうか)、奨学金を貰いながら集合住宅で一人暮らしをしているという、かなりハードな背景を持つ
ただし、親に捨てられたその境遇を悲観する素振りはなく、淡々としている。ちょっとしたことに落ち込んだり、メンタルが特別強い訳ではないので、恐らく諦め、慣れの類だと思われる。
人付き合いが苦手で友人もいなかったが、スーパーカブを通じて少しずつ人の輪が広がっていく。

礼子(れいこ)
小熊の同級生で、長い黒髪と長身が特徴的な美人。
父親は議員、母親は会社社長で東京に住んでいて、自分は別荘地のログハウスに一人暮らしをしているというセレブ
小熊より経験を積んだスーパーカブ乗りであり、オタク的とも言える知識を持ち、手入れは勿論改造も自分でこなす。
カブで富士登山という意味不明な挑戦(実際に達成した方は存在するらしい)に挑み、失敗するが、それでもまるでへこたれた様子を見せない。
自分とは違う逞しさを持つ小熊に憧れに似た感情を抱いている。

恵庭 椎(えにわ しい)
小熊の同級生。小柄でか弱そうな印象の少女。
家族が作中に登場するため、主人公たちを差し置いて名字が判明している。
2年生の時、文化祭の実行委員をしていたが、その時に小熊と礼子に助けられ、親しくなる
そして川に落ちたところを小熊とカブに助けられ、自身もカブに乗るようになる。
実家はカフェを営んでいるが、本人はいずれそれをイタリアン風バールに改造して乗っ取ることをもくろんでいる

シノさん
バイク屋を営むスキンヘッドのおじいさん。
小熊にスーパーカブを格安で販売し、その後も手入れの仕方などを教えてくれる。
ぶっきらぼうではあるが、かなり面倒見がよい。
この作品の3割ぐらいはこの人の善意と愛で出来ている気がする。

恵庭 慧海(えにわ えみ)
椎の2歳年下の妹。中学までは東京に通っていたが、高校進学を機に実家に戻ってくる。
姉と違って170cm超の長身で、ぶっきらぼうな雰囲気の少女。
非常時(災害、戦乱)に備えて装備を整え、生き延びるために自分を鍛えているという独特の感性を持った少女。
フランスの外人部隊に入りたかったが、女性は入れないため諦めたという過去を持つ。
根は素直で普通にいい子。


「スーパーカブ」の感想

カブって見方が違うとこんなに凄いものなんだ!?

 私自身も仕事でカブに乗っていたことはありますが、その時は単に移動の手段として使っていただけ。特別な感動も発見もなかったように思います。

 ですが、小熊たちのフィルターを介して見ると、些細な経験一つ一つがとても新鮮で色づいて見えるから不思議です。

 ガス欠で冷や冷やした経験も、パンクしてカブを押したことも、雨でウンザリしたり、風で前が見えなくて困ったことも、自分も同じように経験しているはずなのに、小熊たちのようにワクワクしたことはありませんでした。

 けれど小熊たちが経験する些細な”あるある”に触れると、過去の自分の経験もほんのり色づいて感じるのですから、本当に不思議ですよね。

こんな人におすすめ

 カブに乗った経験のある方は絶対に読みましょう。
 その経験が何となく懐かしくなったり、もっと楽しめば良かったなと残念に思ったり、色んな感動に出会えること間違いなしです。

 「水曜どうでしょう」のように日本やカブ天国ベトナムを縦断したりといった特別凄いことをするわけではありません(礼子の富士登山は別として)。
 むしろそれとは正反対。ごくごく当たり前の日常をカブとどう過ごしていくのか、そんな等身大の少女たちの日常を描いた作品。

 興味を抱いた方は是非是非ご一読を!
(それはそれとして「水曜どうでしょう」のカブ企画も好きです)


コメント

タイトルとURLをコピーしました