「大ダーク」の感想(ネタバレ注意)~ドロヘドロの作者が描く異色のダークコメディ~


 今回は林田球先生が「ゲッサン」にて連載中のダークSF漫画(?)「大ダーク」について紹介したいと思います。

 各所で色々と話題になっていた作品だったのですが、今までは、そのタイトル通りダークな雰囲気漂うスタイリッシュな画に気後れして敬遠していました。
 しかし実際に読んでみると、その印象は良い意味で裏切られます。確かに扱っているテーマは非常に重くダークな内容なのですが、その重さを全く感じさせない登場人物たちのポップでシュールなやりとりと独特のネーミングセンス

 ダークSFなんだけど、ギャグ漫画のようにニヤニヤしながら読めてしまう、これはそんな作品です。

大ダークのあらすじ(ネタバレ注意)

 どこまでも暗闇が広がる大宇宙。そこではある男の噂が広まっていました。

 その男の名はザハ=サンコ(主人公)。ザハ=サンコの骨、そして「闇のニーモツ」「闇の皮」を手に入れた者はあらゆる望みが叶うというのです。

 宇宙中のならず者たちから命を狙われているザハ=サンコは、相棒で闇のニーモツの「アバキアン」とともに、襲い掛かる宇宙人たちを返り討ちにしながら旅をしていきます。

 最初は2人(?)で旅をしていたザハ=サンコたちですが、ザハ=サンコたちとともに「4匹の害悪」と呼ばれる残り2人のお尋ね者、「死ま田=デス」と「一=ダメ丸」も仲間に加わり、4人の珍道中が繰り広げられることとなります。

 旅の目的は一応、ザハ=サンコをこんな身体にした何者かを探し出して自由になること……なんですが、何か雰囲気緩すぎて、ちゃんと目的を覚えてるのか不安になるんですよね。

 ……あと、名前だけで笑わせにくるのは、ずるいと思います。
 『なろう系』とかもそうだけど、こういう適当なそのまんまの名前って流行ってるんですかね?


大ダークの主な登場人物(4匹の害悪)

ザハ=サンコ
主人公。190㎝を超える巨漢の14歳(?)。超人的でほとんど不死身に近い肉体の持ち主。
彼の骨はあらゆる願いを叶えると噂されていて、宇宙中から命を狙われている
そんな過酷な人生を送っているとは思えないほどお気楽な性格。
好物はミートボール・スパゲティ・パン(略してみぼすぱん?)
昔、小学校では「ミートボール=スパゲティ」という偽名を使っていた。

アバキアン
ザハ=サンコの相棒で「闇のニーモツ」。普段はリュックサック形態だが、骸骨頭と手足が生えて動き回ることもできる。
口から火を吐いたり荷物を取り出したり、何か色々できる

死ま田=デス
ザハ=サンコの数少ない友達。宇宙人の死を食べる謎の生物で、目が6個ある不思議な衣装を着ている。中身は美女。触れた者に死を与えることができる。
一応ヒロインになるのかなぁ? この作品にヒロインが必要とは全く思わないけれど。

一(はじめ)=ダメ丸
4匹の害悪の最後の一匹。登場するなりバラバラにされた。
不死身の肉体を持っているのでそれでも死なない。でもよく死ぬ。
精神捜査能力を持つ超能力者でもある。
出オチくさい自分の名前を嫌っているという、意外に常識人(ヘルマスターと呼んで欲しいらしい)。

……だから、キャラの名前と設定だけで笑わせにくるのはずるいって。
画とのギャップもあって、こんなの笑うしかないじゃないか!


大ダークの感想と評価(どこが面白い?)

「宇宙中から命を狙われるという、過酷な運命を背負わされた14歳の少年の物語?」

 自分で書いていて、ちょっとこれはないな、と思いました。
 いや、嘘ではないんですけど、確かにそういう話なんですけど……その当人たちが全然そのことを気にしてなさそうなので、ねぇ?

 無茶苦茶重いはずのテーマなのですが、登場人物たちが全くそれを気にした様子もなく、気楽に軽快に障害をはねのけていく、そのギャップがとにかくシュールで面白い。

 また、作中に出てくる登場人物のほとんどが、骨だったり化け物だったり、とにかくカオス。
 ブラックジョークとユニークなネーミング、突拍子もない設定の数々。

 その全てが「宇宙は広いんだからそんなこともある」の一言で片づけられてしまう不条理感。

 まだまだ彼ら4匹の害悪の物語は始まったばかりですが、この何十年もやってるコントを見せられているようなお約束感は何なんでしょうかね

 ドロヘドロから連なる独特の林田ワールド、沼にハマりそうだなぁ。



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