今回は「good!アフタヌーン」で連載されている「グルメ✖日常✖ファンタジー」という異色のハイブリッド作品「空挺ドラゴンズ」について紹介したいと思います。
空挺ドラゴンズは2019年には小説化、2020年にはアニメ化もされ、高い画力と独特の世界観で人気を博している作品です。
しかし一方、一部の読者からは「ナウシカのパクリ」と叩かれ、賛否が別れたことも。
本記事ではあらすじやパクリと呼ばれる理由の解説もまじえ、この作品の魅力について語ってまいります。
「空挺ドラゴンズ」あらすじ(ネタバレ注意)
あらすじ(狩ったならレシピも付けて、食べるところまで描かなきゃね)
今は数も少なくなった空飛ぶ捕龍船「クイン・ザザ号」。
彼らは今日も天空を泳ぐ龍を追って、西へ東へ南へ北へ、あてもない旅を続けていました。
龍は貴重な資源である一方、とても危険な生物です。
龍捕りの仕事は必要とはされていても、脛に傷のある人間がする仕事として世間から忌避されていました。
クイン・ザザ号の乗組員であるミカは、龍を狩り、解体し、食べることをこよなく愛する根っからの龍捕り。
龍を狩る際も味を落とさないよう気を付け、様々なレシピを考案して美味しく龍をいただこうとする変わり者です。
そんなミカを筆頭に、クセのある船員たちが集まったクイン・ザザ号。
時に龍だけでなく空中海賊とも戦ったり、停泊した街でのロマンスがあったり、龍の幼体を保護して群れに返したりと彼らの旅は波乱万丈。
彼らは今日も、明日も、龍を追ってあてのない旅を続けます。
用語解説
龍(りゅう)
「震臓」と呼ばれる特殊な器官を持ち、空を飛ぶことができる生物の総称。
種類は多種多様で、極めて小型の害のないものから、街を滅ぼしかねない危険なものも存在する。
肉や油などの資源は非常に価値が高く、「龍一頭で七市賑わう」と呼ばれるほど。
龍捕り(おろちとり)
捕龍船に乗って龍を捕獲する者。
非常に危険な仕事であり、かつては囚人などが強制的に駆り出されていた。
現在でも、この仕事に就くのは荒くれもの、訳ありの人間が多い。
捕龍船(ほりゅうせん)
龍を捕獲するための空飛ぶ船。
当たり前だが、空を飛ぶ船は希少で維持費も高いため、龍が捕獲できなければ大赤字。
レイ・システム
捕龍船の報酬分配システム。
乗組員たちは、龍を売却した純利益から、各人に割り当てられた率を報酬として受け取る権利を持つ。
単位はレイズで、「100レイズ」は1%にあたる。
「空挺ドラゴンズ」主な登場人物(ネタバレ注意)
クィン・ザザ号(ミカ、タキタ、ジロー、ヴァナベルなど)
ミカ
本作の主人公でクイン・ザザ号の乗組員。
外見は無造作に髪を伸ばしたワイルドな雰囲気の青年。
普段はだらけた雰囲気だが、大好物の龍を目の前にすると途端に活気づく変態。
龍捕りとしての腕は超一流で、(龍に関しては)周囲からの信頼も厚い。
龍を美味しくいただくため、数々のレシピを考案するだけでなく、龍の味を落とさないよう狩りに電気矢を使いたがらないなど、食に命を懸けるバカ。
タキタ
クイン・ザザ号の乗組員になったばかりの16歳の少女。
クセのある金髪を首の後ろで二つに括った明るい雰囲気の持ち主。
お金を稼ぐために捕龍船に乗っていて、支度金として結構な額の借金がある。
船員たちからはマスコットのように愛されている。
ジロー・アスタ
クイン・ザザ号の乗組員で15歳の少年。
生真面目な性格で、ミカやタキタを叱っていることが多い。
タキタよりは先輩だが、船員の中ではまだまだ若手。
目が良く、天測航法などの知識が豊富。
父親が見たという光る龍を見るために龍捕りになった。
ヴァナベル(ヴァニー)
クイン・ザザ号の乗組員で一流の腕を持つ龍捕り。
外見は長い金髪をポニーテールにしたアンニュイな雰囲気の美女。
仲間からはヴァニーの愛称で呼ばれている(ミカは除く)。
見た目通りクールで、男顔負けの酒豪という「カッコいいお姉さん」。
ミカに気のある素振りを見せることもあるが……
実はお姫様だったという予想を裏切らない女性。
ギブス
クイン・ザザ号の古参乗組員。役職は甲板長。
見た目は長身の髭オヤジで、みんなのまとめ役。
リー
クイン・ザザ号の事務長。
外見はメガネのちょび髭。
真面目で優秀そうなのに、何故捕龍船なぞに乗っているのかは不明。
その他(ウラ爺、カーチャ、ブルノ、クジョー)
ウラ爺
クォーン市に住む盲目の老人。
龍を解体・加工する「千剖士(せんぼうし)」の一族の族長。
ミカの古馴染みであり、タキタに伝統の壁掛け(タペストリー)を見せてくれる。
カーチャ
クォーン市に住む娼婦見習い。
金髪を肩のあたりで切り揃えた明るい雰囲気の美少女。
酒場で酔客に絡まれているところをジローに救われ、いい雰囲気になる。
ジローに一緒に来ないかと誘われるが、それを断って街に残る。
ブルノ・マッシンガ
貿易会社を経営するマッシンガ家の跡取り息子。
龍の生態調査に熱を入れており、当初は龍捕りを賊と見做していた。
船喰い討伐の際、自分のせいでヴァナベルが捕食されてしまい、反省。
それを謝罪したことでクイン・ザザ号の面々と和解する。
クジョー・ランダウ
かつてのミカの龍捕りの師匠であった老人。
「銛付き」と呼ばれる龍に右足を食われ、義足となっている。
自分の腕に絶対的な自信を持っていたが、龍に全く恐怖を抱かないミカの存在にそれが揺らぐ。
ミカとは喧嘩別れに近い形で決別した。
後に再会したミカの協力を得て追っていた「銛付き」を仕留め、龍捕りを引退。
現在は新人水先人の教育係をしている。
「空挺ドラゴンズ」感想&評価
ジブリ、ナウシカ・ラピュタのパクリと言われる理由
まずこの「空挺ドラゴンズ」はジブリ作品、特にナウシカのパクリと言われることが多いのですが、その理由の一つが定規を使わず画面いっぱいに書き込まれた絵。
平たく言うと、作風や絵のトーン、色使いなどが非常にジブリ風なんですよね。
登場人物の服装や捕龍船のデザインなんかは、まんまと言っても過言ではないでしょう。
また、話の展開やセリフ回しも少し似通った部分があります。
特にタキタが龍の幼体を保護して群れに返すところなんかは、どうしたってナウシカのラストを想像してしまいます。
これについて、作者の桑原太矩先生はインタビューで、
「宮崎駿先生の影響はめっちゃ受けてます」
はっきり認めてらっしゃいます。
特にナウシカの手癖の残った独特の線があったからこそ空挺ドラゴンズの絵ができたのだと。
まあ、ジブリの影響を受けた作品がでてくるのはある意味自然な流れですから、パクリ云々は言い過ぎでしょうね。
ちなみに、桑原太矩先生はジブリとは全く関係がありません。念のため。
忌憚のない評価・感想、どこが面白いのか
一言で言うと、非常に壮大でダイナミックな世界観と作風が魅力的な作品です。
ジブリのパクリという意見もありますが、そういうジブリ的なファンタジー感も含め、人の生活がリアルに感じられる部分が、素直に面白いと感じます。
画力、ストーリー構成含め、非常に高レベルであることは間違いないでしょう。
個人的には非常に好みにマッチした作品ですが、人によって合う合わないはあると思います。
正直、派手で速い展開を好む方にはあまり向かないでしょうね。
逆にちょっと古い、レトロな雰囲気のファンタジー世界が好きな方には、ハマるんじゃないのかな、と。
少しでも刺さりそうだなと感じる方がおられたら、是非是非一度お試しになってください。
コメント