「くーねるまるた」感想~続編「ぬーぼ」連載中、かわいいポルトガル娘の日常とおいしい料理(レシピ)、ただしザリガニは~


 今回は「ビッグコミックスピリッツ」で連載中のグルメ&日常マンガ「くーねるまるた」を紹介します(現在は続編を連載中で、タイトルは「くーねるまるた ぬーぼ」)。

 本作はポルトガルからやってきた陽気な少女が、日本文化や人々とふれあいながら過ごす日常を、おいしい料理とともに描いた作品。ちょっとした貧乏レシピあり、水着姿でのダンスありと非常に飽きさせない内容となっております。
 不法滞在疑惑やザリガニ料理と色々話題にもなりましたが、それらをひっくるめてこの作品の魅力について語っていきましょう。

「くーねるまるた」ってどんな話?(あらすじ等、若干ネタバレ)

 主人公のマルタはポルトガルから日本の大学院に都市工学を学びに留学してきた女の子
 既に修士論文を提出済で帰国できる(というかしなければならない)状態なのですが、日本文化と人々を気に入ってズルズルと滞在を延長中

 オンボロアパートに住み、日雇いのバイトなどで日銭を稼いで、特に目的もなくのんびりとした日々を過ごしています。

 そんなマルタの特技は料理。作中では周囲の優しい人々のおすそ分けや実家から送られてきた材料を使って、見ているだけでよだれが出てきそうな料理が数々登場します。
 ただおいしそうというだけでなく、レシピも読んでいる人が十分に再現可能な内容で、気取ったところがないのも良いですね。

 そんなマルタを取り巻く優しい日本の人々。特に同じオンボロアパートに住む神永さん、美緒子ちゃん、由利絵さんたち女性陣は、それぞれ本当に魅力的でかわいらしいったらありません。
 そんな彼女たちに囲まれて、マルタが楽しく日々を過ごしていくというのがこの物語の大まかな流れとなっています。

 ただ、そんな楽しいだけの日々もいつまでもは続きません。
 マルタたちが住むアパートも老朽化で取り壊されることが決まり、それまでただ漫然と日々を過ごしてきたマルタにも選択の時がやってきます。

 ポルトガルへの帰国も考えたマルタですが、引き続き日本に残留し(アパートの大家さんの離れに住まわせてもらう)、今後はブラジル人女性イリーナさんのギャラリーで働くことを決断します。

 長いモラトリアム期間であった「くーねるまるた」はここで一旦完結、現在はその続編でマルタがギャラリーの仕事で日本全国を巡る「くーねるまるた ぬーぼ」が連載されています。

 もちろん、神永さん、美緒子ちゃん、由利絵さんたちも、頻度こそ減ってしまいましたが引き続き登場していますよ。


「くーねるまるた」の主な登場人物

マルタ(正式名称:マリア・マルタ・クウネル・グロソ)
本作の主人公でポルトガルからやってきた女の子。
リスボンの大学を卒業後、日本の大学院で都市工学を学ぶために来日し、既に修士論文を提出しているが、日本文化と人々を気に入ってズルズル滞在を伸ばしている
外見はスタイル抜群の金髪美人で、笑顔と八重歯が特徴。
性格は社交的で陽気、誰とでも仲良くなれるタイプ。
趣味は散歩と読書で、作中ではしばしばマルタの視点から日本文化が語られており、彼女の知的な一面を垣間見ることができる。
非常に料理上手であり、ポルトガル料理はもちろん、日本で学んだ料理や貧乏レシピなど、様々な料理を作り、アパートの住人にも振舞っている。
ちなみに正式名称は、「洗礼名・名前・母方の姓・父方の姓」の順に並んでおり、父方の姓である「グロソ」には食いしん坊の意味がある。
そこから「食う寝るマルタ」→「くーねるまるた」というのが本作のタイトルの由来となっている。

神永(かみなが)
マルタが住むボロアパート「笑明館」に住む女性医師。
医師にもかかわらず独学で美大を目指しているという変わり者で、非常に豪快な性格。
医者なので金銭的に余裕があり、しばしばマルタに材料費を与えておさんどん役をさせている
見かけによらず情に厚く、マルタのことを溺愛している。
続編では見事美大に合格し、病院を辞めている。

美緒子(みおこ)
マルタが住むボロアパート「笑明館」に住む司書の女性。
大人しくかわいらしい雰囲気の女性で、マルタとは良き友人。
昔、バックパッカーとして東南アジアを巡っていたというアグレッシブな一面も
アパートのメンバーの中ではみんなの妹的なポジション。

由利絵(ゆりえ)
マルタが住むボロアパート「笑明館」に住むメガネのOLさん。
北海道出身で野球好き、よく実家から送られてきた食べ物をマルタに差し入れてくれる。
アパートの中では一番の常識人でありツッコミ役。
みんなのお姉さん的ポジションだが、オチやネタに使われることも多い。

由佳(ゆか)
「くーねるまるた」終盤になって「笑明館」に越してきた鍼灸師の女性。
大阪出身で、かなりコテコテの関西人。
これから、というタイミングでアパートが取り壊されて(一部が完結して)しまった不遇の人物。

前田 小春(まえだ こはる)
アパートの大家をしているおばあさん。
気の良い方で、よくマルタの面倒を見ている。
アパートが取り壊された後も、マルタに自宅の離れをタダで貸して住まわせてあげている。


「くーねるまるた」の魅力とは?

いやらしさのない登場人物と肩肘はらない様々なレシピ(ただしザリガニは……)

 この物語の第一話は、水着姿のマルタ(夏で熱いからアパートでも水着で過ごしていた)から始まるのですが、媒体が青年誌ということもあり、「お色気系か?」と一瞬思ったものの、読み進めていくと全くそんなことはありません。

 確かにマルタを始めとした女性陣は非常にかわいらしく魅力的で、肌の露出もそれなりにあるものの、そこに性的な印象は全くなし。良い意味で女性が魅力的なんですよね。

 また料理については、ポルトガルの民族料理など一部難しそうなものも登場しますが、基本的には誰でも再現できそうな、特別な材料を使わないものが大半。
 貧乏だけど工夫して美味しいものを作っているという雰囲気が、非常に親しみやすくて良いですね。

 ただまあ、作中ではポルトガル人らしくザリガニを調理する場面もあり(というか、世界的にザリガニを食べる文化は珍しくないのですが)、そこだけは個人的にダメでした。

こんな人におすすめ(不法滞在とか気にする人には……)

 基本的に男女年齢を問わず、誰でも親しみを持って読めるタイプの作品です。

 ただ、設定で細かいところが気にかかる方には向かないかもしれませんね。具体的に言うとマルタの不法滞在問題とか。

 作中では言及されていませんが、要はマルタが留学目的で来日してその後もズルズル滞在しているのは不法滞在ではないのか、という問題
 マンガなのでそこを気にしても、とは思うのですが、気になる方には気になるらしいので、そういうのがはっきりしないのはダメだ、と思われる方には向かないと思います。

 逆に言えば、そういう細かいところは許容して、大らかに楽しい話を読みたいと思える方には是非、読んでいただきたい作品ですね。



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