今回は虎走かける先生原作、「月刊少年シリウス」で連載中のコミカライズ作品「魔法使い黎明期」について紹介します。
「魔法使い黎明期」は魔法学校に通っていながら魔法のほとんど使えない劣等生の少年・セービルを主人公とした王道ファンタジー作品。
アニメ化もされた「ゼロから始める魔法の書」のその後の世界を描いた物語であり、本作も2022年4月からアニメが放送されました。
本記事ではそんな「魔法使い黎明期」のあらすじや登場人物の紹介とともに、その魅力を語っていこうと思います。
「魔法使い黎明期」あらすじ(ネタバレ注意)
魔法学校に通う劣等生の少年の特別実習から始まる物語
本作の主人公セービルは、魔法学校に通う記憶喪失の少年。
しかしセービルは魔法学校始まって以来の落ちこぼれで、このまま行けば退学処分となり、魔法学校に来てからの3年間の記憶さえ奪われて追放されてしまうと危惧されていました。
そんな彼に言い渡されたのが、反魔女派の勢力が強い王国南部での特別実習。
他に選択肢のないセービルは流されるままに実習が行われる村へと旅立ちます。
旅の道連れは、「ゼロの書」の著者に引き合わせることを条件に強引に引率者となった黎明の魔女ロー・クリスタスと、優等生の少女ホルト、トカゲの特徴を持つ獣落ちの少年クドー。
魔女狩りの襲撃を退けつつ何とか実習先の村へとたどり着いたセービルたちは、「ゼロの書」の著者である魔女や獣の傭兵と出会います。
そこでセービルは自分の過去や能力と少しずつ向き合いながら、「魔法を使って村に貢献する」という特別実習をこなしていくことになるのです、
用語解説
魔術
魔法陣や呪文、生贄を用いて悪魔を召喚・契約することによって引き起こされる奇跡にして学問。
魔法
ゼロによって編み出された魔術に替わる技術。
悪魔を召喚する手順を省いて、その力を借り受けることができる。
悪魔
魔術・魔法によって契約する人ならざる者の総称。
所謂地獄の住人に限らず、神や妖精などもここに括られる。
ゼロの書
ゼロによって編み出された魔法の指南書。
かつてこれが盗まれ、魔法の知識が世界に散逸したことで多大な災厄が引き起こされた。
現在はウェニアス王立魔法学校で禁書として厳重に管理され、その簡略化したものが魔法学校の教本として使われている。
獣落ち
様々な獣の特徴を持つ半獣人。
その起源は1000年以上前に魔女が生み出した「獣の戦士」に由来する。
「獣の戦士」の魂は魔女の血脈に受け継がれ、現在でもその特徴を持つ者が生まれる。
偏見により様々な差別の対象となっており、魔法の触媒とするために狩られることもある。
前作「ゼロから始める魔法の書」、小説家になろう掲載の短編小説について
本作は虎走かける先生の前作「ゼロから始める魔法の書」の数年後の世界を舞台に描かれる物語で、ゼロや獣の傭兵など、前作の登場人物も数多く登場します。
勿論前作を読んでいなくとも十分内容は分かるようになっています。
原作小説の「ゼロから始める魔法の書」は電撃文庫から出版されていましたが、「魔法使い黎明期」は講談社ラノベ文庫にレーベルが変更されていますのでご注意を。
この二つの作品を繋ぐ物語として「小説家になろう」に短編小説が掲載されていますので、興味がある方は是非ご覧になってください。
「魔法使い黎明期」主な登場人物(ネタバレ注意)
セービル
本作の主人公でウェニアス王立魔法学校に通う3年生。
黒髪であまり特徴のない外見をした少年で、感情の起伏が乏しく大抵無表情でいる。
魔法学校始まって以来の落ちこぼれで(まあ、そもそも歴史が浅い学校だが)、ほとんどまともに魔法が使えない。
記憶喪失で魔法学校入学以前の記憶がない。
元々魔法使いになりたいとは思っていなかったが、魔法学校を追放されれば自分にある3年間の記憶さえ奪われてしまうため、そこに縋りつくしかない状況。
実は「無限」とも思えるとんでもない魔力量の持ち主で、それが原因で魔力が制御できず、魔法の使用が困難になっている。
ただ他者に魔力を渡すことはできるし、セービルの周囲にいる者はその溢れ出る魔力の影響で通常より魔法の精度が上昇する。
ロー・クリスタス(ロス)
「黎明の魔女」の異名を持つ魔女。
金髪の幼い少女の姿をしているが、実年齢は300歳を超えている。
「ゼロの書」に強い興味を持ち、その著者であるゼロに会うためにセービルたちの特別実習の引率役を強引に引き受けた。
一人称は「我」で年寄りのような話し方をする。
「ルーデンスの魔杖」と呼ばれる杖(正確には杖の姿をした悪魔)と契約しており、その杖が破壊されない限り不老不死で飲食も睡眠も不要となっている。
契約した際に「ルーデンスの魔杖」に魔力を全て渡しているため、本人は「魔法」は使えない。
ホルト
ウェニアス王立魔法学校に通う5年生で、特別実習に参加した一人。
学園一とも称される優等生で、緩くウェーブした赤毛のボブカットがかわいい少女。
本来ならあと1年で卒業だが、より深く魔法を学ぶために何年もかかるとされる特別実習に参加した。
常に笑顔を浮かべていて愛想が良いが、実際は人の好き嫌いが激しく、かなり辛辣な態度をとることも。
普段は帽子で隠しているが、実は鹿の角を持つ獣落ちで、両親に捨てられ、教会で「悪魔の子」として育てられる。
魔法学校に入学したのも魔女を敵視する教会の指示によるもので、裏では教会の過激派と繋がっていたが……
クドー
ウェニアス王立魔法学校に通う3年生で、特別実習に参加した一人。
トカゲの特徴を持つ獣落ちの少年で、かつては見世物として扱われたことも。
非常に高い再生能力を持ち、尻尾程度なら切れても再生する。
集団行動が苦手で粗野な言動をとることが多いが、非常に正義感が強く、人を守るために教魔兵団に入ることを目標としている。
感情の変化で鱗の色が変化してしまうため、嘘が付けない難儀な体質。
アルバス
ウェニアス王立魔法学校の学長を務める魔女。
前作「ゼロから始める魔法の書」の登場人物でもあり、色々やらかしたことを反省して現在は「ゼロの書」を禁書として管理し、国家のために尽力している。
外見は長い金髪をストレートに整えた少女。
王国南部での魔女や魔法使いへの差別意識に頭を悩ませている。
ゼロ
前作「ゼロから始める魔法の書」の主人公でもある高位の魔女。
外見は銀髪のスレンダーな体型をした美少女。
現在はアルバスの依頼で村づくりを行っている。
無尽蔵の魔力を失い、今では人並みの魔力しか持たないため、かつてのような不老の存在ではない。
本名は不明。
獣の傭兵
前作「ゼロから始める魔法の書」から続くゼロの相棒。
白いネコ科の獣落ちで、現在は村で唯一の酒場を営んでいる。
こちらも本名は不明。
「魔法使い黎明期」感想&評価
今時珍しい、「チート」も「俺TUEEEE」もない、奇をてらわない王道のファンタジーですね。
欠陥魔法使い見習い・セービルの視点から、時代の変化に移り行く壮大な世界観が丁寧に描かれており、安いコピペ異世界モノとは全く違った安心感があります。
セービルたちの成長と葛藤を軸に、「魔法」という新たな技術や価値観を受け入れ、時に変化し、衝突する人々。
ほんわかとした恋模様と魔法バトル、失われた記憶に隠された秘密と、これぞファンタジーといった要素がふんだんに織り込まれています。
女性キャラはロスもホルトも非常にかわいくて良し。
派手な展開、爽快感を求める方にはやや物足りないかもしれませんが、そうした流行りに少し食傷気味の方には是非お勧めしたい作品です。
「魔法使い黎明期」アニメの概要(声優、いつから?)
「魔法使い黎明期」は2022年4月からTBSとBS11で放送されていました。
主なキャスト(声優)は、
・セービル……梅田修一朗
・ロー・クリスタス……岡咲美保
・ホルト……鈴木沙弓
・クドー……八代拓
・ゼロ……花守ゆみり
・獣の傭兵……矢野正明
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