「シャーマンキング」~新作アニメ化を受け、あの伝説の最終回、そして連載打ち切りについて語ってみる~


 今回は2021年4月に新作アニメ化が決定された「シャーマンキング」について、伝説の最終回と呼ばれた漫画版の最終回と打ち切り、そして旧アニメ版のラストを中心に振り返ってみたいと思います。

 そもそもシャーマンキングとは1998年から2004年まで週刊少年ジャンプで連載され、アニメ化済みの作品。それが長い年月を経て、今は講談社に移籍してシャーマンキングのその後を描いた続編、「シャーマンキング・ザ・スーパースター」が連載されています。

 その長い遍歴について、当時の思い出とともに語らせていただきます。

シャーマンキングの過去作

シャーマンキングってどんな話?

 シャーマンキングとは、霊が見えるシャーマン(この作品では霊能力者全般を指す言葉です)の少年、麻倉葉(あさくらよう)が、500年に一度開催されるシャーマンの王を決める戦い、シャーマンファイトに参加し、シャーマンキングを目指すという物語です。

 少年漫画らしく強さや技術のインフレが激しく、当初は霊を身体に憑依させてその技術を借りるだけだった主人公たちが、物質に霊を憑依させるオーバーソウルを初めとした新技を次々と習得。相棒となる霊たちも、精霊に進化したり神霊が登場したりと、どんどんスケールが大きくなっていきました。

 バトル、強敵、仲間たちとの友情と、当時のジャンプの王道を行く作品で非常に人気があったのですが、クライマックス直前で人気が低迷

(個人的には、展開が急すぎたのと強さのインフレが激しすぎたのとで、読者がやや置き去りにされてしまったことが原因ではないかな、と思っています)

 漫画版の連載打ち切りへと繋がってしまいます。

伝説の最終回、衝撃の漫画版連載打ち切り

 漫画版の連載最終回、あれはただただ衝撃でした。

 シャーマンファイトの最中、今後の戦いのために休息を取る葉たち。
 そこで葉の友人「まん太」は、眠り姫「プリンセス・ハオ」(ハオは本編におけるラスボスで男です)と、そこを目指す葉たちが出てくる不思議な夢を見ます。
 そのあまりの展開に目を覚ましたまん太は「ひどい夢だ」と言って葉の婚約者でヒロインのアンナの元に行きます。
 そこでアンナの「プリンセスの座は渡せないから」の一言で物語は終わり。

 ……意味わかんないですよね? 最後がまさかの寝落ちですよ?

 SNSとかが無かった当時だからまだしも、今だったら間違いなく大炎上です。
 こんなあからさまな打ち切りがあっていいのか、と当時は呆気にとられたものです。

 後に作者の武井宏之先生も連載終了が不本意だったと語っているので、色々当時は思うところもあったんでしょうね。

漫画版と全く異なる旧アニメ版の最終回

 そして個人的に、漫画版以上にどうかと思ったのが旧アニメ版の最終回です。

 当時漫画版と並行進行していた旧アニメは、当初は漫画版に沿ってストーリーが展開していましたが、途中で漫画版を追い越してしまい、ストーリーのストックが尽きてしまします

 今でしたら、一旦アニメを途中で切って、漫画でストーリーのストックが出来てからアニメを再開することが多いのですが、当時は当たり前のようにアニメオリジナルストーリーが展開される時代。

 そして旧アニメの最終回、作中で圧倒的な強さを誇るラスボス「ハオ」と戦う葉たち。最後は葉が仲間たちの力を集めて「ハオ」を倒して終わり。何の捻りもない展開です。

 漫画版で「ハオ」の圧倒的な強さ、また葉が「ハオ」の心を救おうとしていたことを知る読者からすると、正直拍子抜けと言わざるを得ない結末でした。


シャーマンキング、完全版と続編「スーパースター」

完全版により真の完結を迎える

 こうしたモヤモヤした思いが解消されたのは、2008年にクライマックスが大幅に加筆された「完全版」が発表された時です。
 この時なんと、書下ろし380ページという大ボリューム!

 完全版では、最後の戦いに葉たちが向かった時、既にハオはシャーマンキングとなっており、葉たちは手も足も出ませんでした。
 人間を憎むハオは優れたシャーマンだけの世界「シャーマンキングダム」を作ろうとしますが、その時ハオの母親の魂が現れ、強烈なビンタとともにハオを諭します

「王となるのならまず人を愛さなくちゃね」

 母親に説得されたハオは、もうしばらく人類を見守ることを約束。主人公たちはそれぞれの日常に戻ります。
 そして7年後、笑い合う葉たちを見守るハオが微笑み、物語は完結。

 ファンの誰もが納得する完結がようやく描かれたのです。

 ……本当に、長かった!

続編「フラワーズ」を経て「スーパースター」へ

 そして現在、物語は主人公たちの子供世代へ続いています。

 当初は「ジャンプ改」で葉の息子「花」の物語、「フラワーズ」が連載されていましたが、ジャンプ改が休刊となったことで「フラワーズ」も終了

 その後、4年近い月日を経て講談社に移籍。「少年マガジンエッジ」で「スーパースター」の連載が開始されました。

 前作の主人公、葉たちが既に亡くなっていたり、敵だったハオが味方だったり、前作を知っていると思わずニヤリとしてしまう展開が続くこの「スーパースター」。

 今まで出版社の都合に振り回されることが多かっただけに、作者も読者も納得する形で物語が続いてくれるといいですよね。


シャーマンキングの新作アニメはどうなる?

 さて、2021年からTV東京系列で放送されているる新作アニメですが、これは完全版の内容に沿ってシャーマンキング本編の全てが描かれることが発表されています。

 言い換えれば「アニメ完全版」。ワクワクしますよね?

 前作から15年以上の年月が経過していますから、キャストは前回と全く同じとは行きませんが、林原めぐみさんや高山みなみさんなど、前作から引き続き出演されるキャストも多数。

 新たなアニメ版シャーマンキング、こうご期待です!


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