「スーサイドガール」感想(ネタバレ注意)~作風とテーマのギャップがエグイ魔法少女、打ち切りが心配される理由は~


 今回はウルトラジャンプで中山敦支先生が連載中の自殺をテーマにした魔法少女もの「スーサイドガール」について紹介したいと思います。

 この「スーサイドガール」は、一言で言うと自殺したい少女たちが自殺の原因である悪魔と激闘を繰り広げる物語です。

 どう考えても自殺志願者じゃないだろって感じの生命力あふれる少女たちが、魔法少女のお約束と自殺をぶっ壊していく非常に清々しく爽快なストーリーとなっていますので、「自殺」がテーマではありますが皆様安心してお読みください。

 本記事ではそのあらすじや登場人物、そして何故か打ち切りを心配する声が絶えない理由なども交え、その魅力を語ってまいります。

「スーサイドガール」あらすじ・用語解説(ネタバレ注意)

あらすじ

 主人公の青木ヶ原星(あおきがはらきらり)はかつて大切な人が自殺してしまい、結婚できる年齢になったら自殺してその人の元に逝くことを夢見る女の子。

 16歳になったキラリは意気揚々と自殺CAFEのオフ会に参加するのですが、一緒に参加した人たちは何故か生きる気力を取り戻してしまい、キラリも自殺できずじまい。

 やむを得ず、改めて一人で自殺を試みるキラリですが、彼女は首吊り飛び降り刃物に炎、どんな手段を使っても自殺できない体質になっていたのです。

 絶望するキラリの前に現れた自殺CAFEの管理人は、自殺したければこれから自殺する女子高生を救えと告げます。

 その言葉に従って女子高生の自殺を思いとどまらせるキラリ。
 しかしその直後、女子高生は何者かに後押しされ自殺してしまいます。

 再びキラリの前に現れた自殺CAFEの管理人は、その女子高生やキラリの大切な人を自殺に追いやったのはフォビアと呼ばれる悪魔であり、キラリがフォビアと戦うことができる救世の少女であると告げます

 今度は自殺した女子高生の母親を狙うフォビア。
 キラリは救世の少女「スーサイドガール」へと変身し、フォビアを撃破します。

 すると時は遡り、女子高生は自殺することなく母親と再会することができたのです。

 この世界での自殺の真実を知り、この世から自殺を無くしたいと願うキラリ。

 同じくスーサイドガールとなる素質を持つ満天と夕空という、やはり厄介な自殺願望を持つ少女たちと出会い、彼女たちの自殺願望を昇華させ、3人のスーサイドガールがそろいます。

 さて、これからは順風満帆かと思いきや、キラリの心を黒い衝撃が襲い……

用語解説(スーサイドガール、自殺装束着装、フォビア)

スーサイドガール
魔法少女。
自殺装束なるマジカルアイテムにより変身し、フォビアと戦う救世の少女。
自殺を促す悪魔と戦う少女ながら、戦闘方法は首吊り、リストカット、服薬と自殺方法のみ。
必殺技は断末魔法(ダンマツマジカル)と呼ばれている。

自殺装束着装(スーサイドドレスアップ)
マジカルアイテムによる変身。

フォビア
人を自殺に追いやる悪魔の総称。
空を領域とする「ハーピー」、海の「リヴァイアサン」、大地の「バハムート」という三つの種族がある。
また、上位種は「メガロフォビア」と呼ばれている。
フォビアによる自殺から4時間44分44秒以内にそのフォビアを倒すと、自殺の直前まで時間が戻り、被害者を救うことができる。


「スーサイドガール」主な登場人物(ネタバレ注意)

青木ヶ原 星(あおきがはら きらり)

主人公。
かつて結婚の約束をしていた太陽(ソル)という少年が自殺してしまったことで、彼と結婚できる16歳になったら自殺して彼に会いに逝くことを夢見ていた少女。

しかしソルを含めた自殺の多くがフォビアによる殺害であったことを知り、スーサイドガールとしてフォビアと戦っていくことを決意する。

外見はピンク髪ツインテールのキラキラした雰囲気の少女。
性格は前向きで明るく、自殺願望とのギャップが酷い。

スーサイドガールとしての戦闘方法は首吊り。

金門橋 満天(きんもんばし まんてん)

スーサイドガールの一人。
表の顔は国民的スーパーアイドルにしてスーパースター。

ただしその中身はかなりナルシストが入った自殺願望者で、自分が最も美しい今、自殺することで自分を完成させたいと願っていた

キラリと出会ったことで、キラリの輝きに胸をうたれ、キラリに執着することで生きる歓びを見出す

外見は水色の神をショートカットにした怜悧な雰囲気の少女。

スーサイドガールとしての戦闘方法はリストカット。

キラリのことを「キラピッピ」と呼ぶ。

新谷響 夕空(にやがら あかね)

スーサイドガールの一人。
6年前に自殺CAFEの管理人にスカウトされていたが、登場は一番最後だった。

心中こそ究極の愛のカタチと考えており、愛と死を共有できる相手を探して何度も心中を試みてきた。

キラリのことを「天使様」と呼んで心中を試みるも満天に妨害され、その挙句にフォビアにわざと食べられるという暴挙に出る。

キラリの言葉で立ち直り、彼女たちと共にスーサイドガールとして立ち上がった。

外見は黒髪メガネの巨乳お姉さん枠で、性格はほのぼの系サイコ。

スーサイドガールとしての戦闘方法は過服薬(オーバードーズ)。

流汐(るしお)

自殺サイト「自殺(スーサイド)CAFE」の管理人。
表向きは喫茶店「シーサイドカフェ」のマスターをしている。

謎めいた老紳士で、偽の自殺オフ会を開催しては、自殺志願者から憑りついているフォビアを祓って助けている。

キラリたちに自殺装束を与え、スーサイドガールとして目覚めさせた。


「スーサイドガール」感想

作風とテーマのギャップがエグイ魔法少女

「チコク、チコク~!」

 と、トースト齧りながら全力ダッシュ。
 これから曲がり角で転校生とぶつかってラブコメが始まるんじゃなかろうかというテンションで物語が始まり、自殺というテーマに踏み込んでもそのテンションは一切変化なし。

 非常にキラキラした生命力あふれる主人公のキラリが、そのキャラクターそのままに自殺に色んな意味で挑んでいく、非常にパワフルな魔法少女ものと言えるでしょう。

 主人公たちは自殺志願者ということで、それなりに病んではいるのですが、(間違った方向に)前向きで、(目がおかしくなりそうな感じで)明るいので、自殺がテーマの作品ではあっても、読んでいて陰鬱な気分になることはまずありません。

 自殺に立ち向かい、克服することを、悪魔という分かりやすいメタファーで表した、ある意味では非常に基本に忠実な魔法少女ものとさえ言えるでしょう。

打ち切り(完結?)を心配する人が多いのは何で?

 気はあるのに何故かまだ物語が始まって間もないうちから、打ち切りや完結を心配する声が上がっているこの「スーサイドガール」。

 もちろん公式の情報にそんな話はなく、今のところその気配もないのに何で、と調べてみると、その理由は作者の中山敦支先生にありました。

 どうも中山先生は過去作「ねじまきカギュー」で、人気はあってもっと続くだろうと思われていた中、半ば強引とも言える展開で物語が完結してしまったため、ファンの方はいつ「スーサイドガール」も同じことになるのかと心配しているようです。

 打ち切りというより、作者のスタイル的に描きたいことを描いたらあまり長引かせずにスパッと終わらせるタイプなんでしょう。

 スーサイドガール」に関しては、ようやく仲間がそろってスタートラインに立ったばかりですから、流石にまだ心配するには早いです。

 人気もあるから打ち切りはないでしょうし、当面は安心して読み進めて行けば大丈夫なんじゃないでしょうか。



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