「うちの師匠はしっぽがない」の感想(ネタバレ注意)~上方落語✖妖怪✖師弟愛、アニメ化は?~


 今回は「good!アフタヌーン」で好評連載中、上方落語をテーマにした異色のコミック「うちの師匠はしっぽがない」について紹介したいと思います。

 表紙をご覧になっていただくと、非常に可愛らしい少女たちがほんわかしたタッチで描かれていてます、が……実は彼女たち、化け狸と化け狐
 これは人間の世界に紛れ込んだ狸と狐の師弟が上方落語の世界で織りなす師弟愛と成長の物語。不思議で魅力的な妖怪師弟について今回は深掘りさせていただきます。

「うちの師匠はしっぽがない」のあらすじ(ネタバレ注意)

 物語の舞台は大正時代の大阪。
 淡路島を住処とする豆狸一族の少女、まめだはお遣いに出たことを切っ掛けに里を飛び出し、大阪の街にやってきました。

 一族の長からは、自分たちの変化の術はもう人間には通じない、決して人を化かそうとはするなと注意されたものの、好奇心旺盛なまめだはそんな言いつけは守りません。

 色んな人間立ちを化かそうとしますが……ことごとく失敗。
 あげく、同じく人間に化けた化け狐の女、大黒亭文狐に正体を見破られてしまいます

 その後も失敗続きのまめだ。偶然にも入った寄席で文狐の落語を目の当たりにしたまめだは、その迫力、魅力に圧倒されます。
 そして、自分も変化の術ではなく、芸、落語で人を化かしたいと考え、文狐への弟子入りを願いでることとなるのです。

 最初は弟子を取らないと断る文狐ですが、まめだの熱意にほだされ、弟子入りを認めることとなります。
 こうして始まるまめだの「大黒亭まめだ」としての修行の日々。厳しそうで実は優しい文狐と個性豊かな仲間たちに囲まれ、まめだは着実に成長を遂げていきます。

 そんなまめだに訪れる試練。
 実は文狐は先代の大黒亭文鳥から、大黒亭は文狐の代で最後、弟子はとるなという遺言を残されていました。にも拘わらず弟子をとったことを周囲に糾弾される文狐。

 その結果まめだは破門。戻るには一門の四天王が出す試験をクリアしなければならないと告げられます。

 とんだ無理難題ですが、体当たりでそれをクリアし、無事に弟子に戻ることができたまめだ。
 前座も任され、新人落語大会への出場も決まり、順風満帆かと思いきや、まめだの身体には少しずつ異変が現れていました

 実は豆狸の一族は人になりたいと願うほど、その力を失っていくというのです。

 まめだの変化は、そしてまめだと文狐の関係はどうなる?


「うちの師匠はしっぽがない」の主な登場人物

まめだ/大黒亭まめだ(だいこくていまめだ)
本作の主人公で、豆狸一族の少女。何事にも物怖じせず、ある意味で図々しいともとれる性格。
文明開化の時代に入っても人を化かそうとする変わり者の父を持ち、その影響を強く受ける。
落語の腕はまだ未熟だが、狸らしく鳴り物(打楽器)の名手。師匠の文狐から、「狸だとばれたら破門」と言われており、変化の腕も磨いてきたが……

大黒亭文狐(だいこくていぶんこ)
大阪で人気の美人落語家。
その正体は七度狐で、倒れていたところを先代の文鳥に拾われ弟子となる。
まめだが来るまで、先代の遺言を守って弟子を取ってはいなかった。
狐という設定だが、まめだと違って変化を解くことはなく、しっぽもない。
非常にクールな印象だが、怪談が苦手という可愛らしい一面もあり、また一度その懐に入れたものに対しては実はダダ甘

椿しらら(つばきしらら)
まめだと同年代の新人落語家の少女。登場当初はとげとげしい態度だったが、すぐにまめだと仲良くなり、よき先輩として接するようになる。
東京の極道一家の跡取りだったが、家を飛び出て大阪で落語家を目指す
東京なまりのため、関西弁の上方落語のリズムに若干苦慮している。

小糸(こいと)
三味線方の盲目の美女。嗅覚や聴覚に優れており、まめだが狸であることを見抜く
モフモフ好きのケモナーであり、まめだの尻尾をモフることと引き換えにその正体を秘密にしてくれる。

椿白團治(つばきびゃくだんじ)
椿しららの師匠で、先代大黒亭文鳥の実の息子。天才落語家だが変態で、ネタが問題視され政治犯として投獄されたり、借金まみれで身ぐるみを剥がされたりと奇行が絶えない。
まめだからは「尻」の人と認識される(身ぐるみを剥がされた姿から)。

霧の圓紫(きりのえんし)
「完璧な話芸」と称される正確無比な口演が武器の女流落語家。
ただし普段の口調は非常にゆっくりしていて聞き取りづらい
文鳥の弟子になった文狐を嫌っており、まめだのことで文狐を糾弾する。

恵比寿家歌碌(えびすやうたろく)
年配の落語家で、感情表現に長けた演技を得意とする。
愛煙家だが常に急き込んでいる。


「うちの師匠はしっぽがない」の感想

この師弟愛は百合!? 百合漫画大賞2020にもノミネート、アニメ化は?

 わたしが読んだ限りでは、普通に仲の良い師弟愛の物語だったのですが……見る人が見るとそこに百合の花の香りを感じ取ることができるようです。

 なんと百合専門誌、「百合姫」にも出張特別編が掲載されています。

 繰り返しますが、私が読んだ限りでは普通に仲の良い師弟で、まあ確かに若干仲が良すぎるような気はしなくもなかったけれど……いかん、そういう先入観が入ると段々百合に見えてくるぞ。

 まあ想像は自由です。そして想像することが可能な題材であることも否定しません。

 アニメ化の話は今のところ聞こえてきませんね。落語という難しいテーマだけに、原作の雰囲気を崩すことなくアニメ化するのは少し難度が高そうです。

 現代風落語のアニメCMは製作されていましたが(出演は文狐のみ、キャストは湯浅かえでさん)、1クールあのクオリティでやっていくとなると、少し制作も二の足を踏むかもしれません。

こんな人におすすめ

 男女問わず、可愛い女の子が可愛く描かれる作品が好きな人にはおすすめです。

 特に凝った設定や偏りもなく、素直にまめだの成長と可愛さを愛でることができる作品となっております。

 あとは百合ですね。
 私自身には全くその方面への興味も関心もありませんが(多分)、そうした趣味の方々にとって魅力的な題材というのは確かでしょう。

 もちろん、敢えてそういう目で見る必要はないので、そうじゃない人にも読んで欲しい作品なんですよ。

 個人的には、素直にまめだの成長と、化け狸としてのまめだが無事に落語家となることができるのか、その結末が気になる作品。
 今後の展開を楽しみに待ちましょう。


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