「ウマ娘 シンデレラグレイ」ネタバレ&感想~オグリキャップの史実が”ウマ娘”らしく描かれた傑作!~


 今回は週刊ヤングジャンプで連載中の「ウマ娘 シンデレラグレイ」を紹介させていただきます。

 「ウマ娘 シンデレラグレイ」は「Cygames」がスマホゲームアプリ、アニメを中心にメディア展開するウマ娘シリーズの漫画版、怪物「オグリキャップ」を主人公に据えたスピンオフ作品です。
 史実とウマ娘を見事に融合させたこの作品は、ウマ娘ファンのみならず競馬ファンでも楽しめる傑作。その魅力をじっくり語らせていただきます。

「ウマ娘」ってそもそも何(知ってる人は読み飛ばしてください)

 「ウマ娘」とは前述したように「Cygames」がスマホゲームアプリやアニメを中心に展開するメディアミックスコンテンツで、一言で言うと、

「競走馬を萌えキャラに擬人化した『ウマ娘』の物語」

 一部架空のレースはあるものの、ウマ娘が出場するレースは実際の競馬に忠実。しかもレースの後にはウマ娘たちによるライブが開かれるというおまけ付です(アイドルマスターシリーズのプロデューサーが制作に関わっていたそうなので、その影響でしょうかね)。

 ウマ娘たちは、トレセン学園なる競走馬の学園に通う生徒として、トレーナーとともにレースでの勝利を目指す、というのがシリーズを通しての流れとなります。

 ちなみに、登場するウマ娘たちは史実の競走馬の名前と特徴をかなり忠実に受け継いでおり、髪の毛の色は競走馬の毛色にちなんだものとなっていることが多いです
 例外はハルウララですかね。ただ彼女も、髪の毛こそピンク色ですが、ワガママで気まぐれで弱いけれど、皆に愛されるという史実のハルウララの特徴をしっかりと受け継いでいます。

 「ウマ娘 シンデレラグレイ」の主人公であるオグリキャップは、シリーズにおいてアニメ版の一世代前に活躍した競走馬という位置付けです。


「ウマ娘 シンデレラグレイ」のあらすじ(ネタバレ注意)

 カサマツトレセン学園という地方のウマ娘教育機関。そこに所属するウマ娘たちが出場する地方レースは閑散としており、人気も実力も中央とは雲泥の差。ウマ娘たちにも、それを教えるトレーナーにもまるで覇気がありません。
 そこにオグリキャップという一人のウマ娘が入学してきたところから物語は始まります。

 オグリキャップの圧倒的な才能に魅了されたトレーナーの北原は、東海ダービーで優勝して天下をとろうと彼女をスカウトします。

 北原と組んだオグリキャップはライバルのフジマサマーチとしのぎを削り、成長し、そして中京盃で優勝します。しかしその優勝により、オグリキャップの中央への移籍話が持ち上がってしまいます。

 その移籍の申し出を北原への恩義、そしてフジマサマーチとの東海ダービーでの再戦の約束を理由に辞退するオグリキャップ。
 そして北原もオグリキャップの才能が地方に収まらないことを理解しながら、東海ダービーという自分の夢を諦めきれずにいました。

 そして臨んだ次のレース、北原はオグリキャップに「勝てば中央移籍、負ければ東海ダービー」という条件を付きつけます。
 困惑し自分の走りができないオグリキャップでしたが、北原の「走れ」という声に自分を取り戻し、レースに勝利、中央への移籍を決めるのです。

 中央への移籍後、オグリキャップは北原の叔父の六平をトレーナーとし、着実に勝利を重ねていきます。次第に注目を浴びるオグリキャップですが、彼女には一つ問題がありました。

 それはG1クラシックレースに出場するための条件、クラシック登録をしていないということ(作中ではオグリキャップの無知によるミスで登録できなかったということになっています。実際の競馬でもそうですが、当時は期限を過ぎると後から登録というのが出来なかったんですね)。

 そのため周囲からどれほど熱望されようと皐月賞、日本ダービーに出場することができず、彼女は次第に目標を見失っていきます(日本ダービーは、さも出場したかのような演出でしたが、実は他のレースに出場していたという悲しくも熱い展開)。

 ですがライバルのフジマサマーチの言葉で再びやる気を取り戻し、オグリキャップは怪物としての道を再び走り始めるのです。


「ウマ娘 シンデレラグレイ」の主な登場人物(ネタバレ注意)

オグリキャップ
本作の主人公。世間知らずで純朴な少女で、クールなようでかなりズレている
凄まじい大食漢(史実のオグリキャップもそうだったそうです)。
とても柔らかい膝を持っていて、幼い頃はその影響で膝が悪く、母親に毎日マッサージをしてもらってようやく歩けるようになった
そのことから走れること自体に強い喜びを感じていて勝負事には比較的無関心。
しかしライバルのフジマサマーチとの戦いを経て、次第に勝利へ執着するようになる。

ベルノライト
オグリキャップと同期のウマ娘で極めて常識的で優しい性格。
北原にスカウトされオグリキャップと同じチームになる。
走力的には全く平凡だが、実家がスポーツ用品店でシューズの知識などが豊富
オグリキャップの中央移籍に併わせて、サポートウマ娘として中央へ通う

フジマサマーチ
オグリキャップのライバル。カサマツトレセンに特待生として入ったエリート
勝利に強く執着する真面目でストイックな性格。
オグリキャップをライバルと認め、共に東海ダービーへの出場を誓い合う(直後にオグリキャップの中央移籍の話が持ち上がって流れてしまいますが)。
モデルは史実で地方競馬時代のオグリキャップのライバルだったマーチトウショウ(色々名前の使用に問題があって実名での登場がならなかったようです)。

北原 穣(きたはら じょう)
オグリキャップとノベルライトのトレーナー。
長身で壮年男性。かつては仕事をクビになってパチンコに明け暮れていたが、叔父の六平に連れられ東海ダービーを見て感動し、トレーナーとなる
オグリキャップの才能にほれ込んで彼女をスカウトした。

六平 銀次郎(むさか ぎんじろう)
北原の叔父で中央のトレーナー。
中央に移籍したオグリキャップとノベルライトのトレーナーになる。

シンボリルドルフ
トレセン学園の生徒会長。別格的な実績を持つウマ娘として描かれる。
オグリキャップの才能を見初め中央への移籍の打診を行った。
オグリキャップの日本ダービー出場のために走り回るが……

マルゼンスキー
シンボルドリフの友人でもある、ゆるふわお姉さん系ウマ娘。
かつて制度に縛られ、日本ダービーに出場できなかった経験を持つ。
シンボルドリフと同様、一世代前席巻した一流ウマ娘として描かれる。

タマモクロス
オグリキャップがカサマツにいた頃から彼女に目を付け、ライバル視していたウマ娘。
中央で連勝の山を築き上げていく。
ライバル心を抱いているのはオグリキャップと同様に芦毛というのもある様子(当時、芦毛の馬は勝てないと言われていた。
恐らく史実と同様、オグリキャップ最大にして終生のライバルとして立ちふさがる。


「ウマ娘 シンデレラグレイ」の感想、ここが面白い!

魅力は史実とウマ娘の見事な融合

 これはシンデレラグレイだけの話ではありませんが、ウマ娘は実在した史実の競走馬の特徴をかなり忠実に再現しており、よくある萌えキャラが可愛いだけではない、深みのある物語が出来上がっています。

 その中でもシンデレラグレイはかなり史実に沿った物語となっており、史実のオグリキャップと同様に「クラシック登録」という制度に阻まれて日本ダービーへの出場が叶わないところなど、競馬に詳しくないからこそ、グッと引き込まれる展開でした。

 日本ダービーにオグリキャップが出場したかのような演出と、実は別のレースに出場していたと判明した時の落差は恐らくこの物語でした描けないエピソードだったでしょうね。

こんな人におすすめ

 ウマ娘のファン、そして競馬ファン、どちらも必ず読むべしとおすすめする作品です。

 例え今はまだどちらにも興味がなくとも、是非気軽に手に取ってみてください。

 思わずハマってしまう方が続出すること間違いなしの作品です。

 ちなみに私の推しはハルウララです(シンデレラグレイには出てきませんが、いつか彼女を有馬記念で勝たせてあげたいと思っています)。



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