「罠ガール」感想(ネタバレ注意)~農業者、狩猟者、農林水産省、環境省から大絶賛! アニメ化はされるか!?~


 今回は「電撃マオウ」で連載中、異色の狩猟漫画「罠ガール」について紹介したいと思います。

 本作は、ご本人も兼業農家であり、わな猟免許を持つ緑山のぶひろ先生が、農家の鳥獣被害の実態を伝えたいと筆をとられた作品。私も兼業農家で幼いころからイノシシなどの被害はなじみ深く、法令なども含めて実にリアルだなぁ、と感心しながら読んでいます。

既に行政ともコラボ済みのこの作品、アニメ化や今後の展望も含め、その魅力を紹介していきたいと思います。

「罠ガール」の概要・あらすじ(ネタバレ注意)

 主人公の女子高生、千代丸はわな猟免許を持つ農家の少女(わな猟免許は18歳から取得可能です)。

 千代丸はある日、幼馴染のレモンから、レモンの家の畑でイノシシの被害が出ているので、罠でイノシシを捕獲して欲しいと頼まれます

 試行錯誤しながらなんとかイノシシを捕獲する千代丸。
 そして農作物を守るため、嫌々ながらもイノシシを仕留める千代丸とレモン。そこには楽しむために狩猟をするのではなく、仕方なく狩っているのだという少女たちの苦悩が滲んでいました。

 またある日、千代丸は高校の生徒会長、つむじから学校に忍び込んだタヌキの捕獲を依頼されます。

 やってみると、タヌキはイノシシほどの警戒感がないのか、あっさりと捕獲できてしまいます。
 そしてその縁で、つむじとも接点ができる千代丸たち。

 実はつむじのおじいさんは銃免許を持つ猟師さんで、つむじも猟や獲物の解体にはかなり詳しく、元々興味を持っていたのです。

 千代丸、レモン、つむじの3人を中心に、細やかな罠の仕組みや法規制、農家の被害実態など、リアルな「農家にとっての猟」が描かれていきます

 (ハントを楽しむ作品ではありませんので、そこはご注意を。ゲーム感覚の楽しい遊びの猟をイメージしている方にはおすすめしません


「罠ガール」の登場人物

朝比奈 千代丸(あさひな ちよまる)
主人公で18歳の女子高生。実家が農家でわな猟免許を持っている。
農具集めが趣味で、実用性のない農具のキーホルダーとかでも収集対象となるらしい
黒髪と短めのお下げが特徴の、飾り気のない外見をしている。
愛称は「ちーちゃん」。

昼間 レモン(ひるま れもん)
千代丸の同い年の幼馴染で、ふわふわした雰囲気の女子高生。
頭が少し(いやかなり)ゆるめで、読んでいて意味不明な行動に出ることもしばしば
外見は色素の薄い髪をツインテールにした、庇護欲をそそるタイプ。
作中でわな猟免許を取得する

夜空 つむじ(よぞら つむじ)
千代丸たちが通う高校の生徒会長。
ストレートの黒髪にメガネをかけた、ザ・委員長(いや生徒会長だけど)といった雰囲気の少女。
実家が猟師で、祖父が銃免許を持っており、獲物の解体経験なども豊富
つまりつむじが活躍する回は、かなり絵面的にえぐいことが多い


「罠ガール」の魅力、アニメ化はされるのか?

等身大の女子高生✖狩猟のリアル=農林水産省・環境省とのコラボ?

 この作品の魅力はとにかくリアルなこと。

 私自身も農家出身なのでわかるのですが、農家にとってイノシシなどの鳥獣被害は本当に洒落にならない問題なのです。
 畑が荒らされるのは勿論、家の周りをイノシシ(特に豚と交雑したイノブタは体格もデカくて狂暴)がうろついていたら、危険でなりません。

 猟にしたって、罠は結構な値段がするし、捕まえた獲物を仕留めるのも、山の中なら運ぶのも大変。好きでやっているわけじゃありません。

 この作品は、千代丸たちが猟を「楽しいこと」ではなく「やらなければならないこと」として嫌々やっているところがリアルで、農家にとっての猟の本当の部分を伝えているのだと思います。

 だからなのでしょうか、この作品は行政と『マンガで読む獣害対策』としてコラボまでしています。これって、一種の教科書として認められたようなものですよね。

アニメ化はされる? いつ?

 この作品に関して、現時点ではアニメ化の話は聞こえてきません

 まだ現時点で話のストックが足りないということもあるでしょうし(2021年3月時点でコミックス6巻まで発売)、内容的に少し難しめというところがネックになっているのかもしれません。

 どうしても鳥獣被害の実態や罠の仕組みなどの説明が多く、アニメとして描きづらいというのはあるでしょう。

 とは言え、内容的には評価の高い作品ですからNHKあたりでアニメ化される可能性は十分にありますよね。一農家としても、是非こういう作品を広く皆さんに知って欲しいところ。

 農水省や環境省の後押しでなんとか……


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