今回は「銀狼ブラッドボーン」原作者・艮田竜和が「マンガワン」で連載中のファンタジー×医療漫画「獣王と薬草」について解説します。
この作品は人類との戦いに敗れた魔族の生き残りが、人目を隠れて魔物とダンジョンを守り、治療しながら魔族の存続のために奮闘する物語。
敵役の魔族の立場でファンタジー世界の事情を描いた作品です。
本記事では「獣王と薬草」のあらすじや登場人物の解説も踏まえ、この作品についての忌憚のない感想を述べていこうと思います。
「獣王と薬草」あらすじ(ネタバレ注意)
150年続いた人類と魔族の戦いが集結した20年後。
魔族との領土争いが終われば消えると思われていた貴重な資源「モンスター」と世界各地の「ダンジョン」は今なお健在でした。
冒険者たちはモンスターを倒して素材を剥ぎ取り、未開拓エリアに到達してお宝を手に入れるため、ダンジョンに潜り続けています。
ティナは成り上がりを夢見る冒険者の一人。
彼女はある日、新人引率の依頼中に強力なモンスターと遭遇し、致命傷を負ってしまいます。
そんなティナを助けたのは、20年前に勇者に倒されたと思われていた最強の魔族、獣王ガロン。
ティナはガロンに治療の対価として絶対服従の血の契約を結ばされます。
そこでティナが見たのは、ガロンがモンスターたちを治療し、人類からダンジョンを守っている姿。
どうやらダンジョンという魔族の文明には、人類の知らない大切な役割があるようです。
今まで聞かされてきた魔族とは全く違ったガロンの姿に興味を持ったティナは、ガロンに冒険者として協力を申し出ます。
ちょっとした試験はあったものの、ガロンの信頼を得て協力者として認められたティナ。
ガロンの手伝いをする内に魔族やモンスターの新たな一面を知り、新しい冒険者としての在り方を見つけたいと思うようになります。
そんな中、獣王ガロンが生きているという情報が人類に知れ渡ることとなり……
「獣王と薬草」主な登場人物
獣王ガロン
魔王直下の六将軍最強と呼ばれた獅子族の魔族
20年前に勇者一行に倒されたと思われていたが、密かに生き延びていた。
魔王は戦闘能力が低かったようで、事実上最強の魔族。
人類から隠れ潜みながら各地でモンスターを治療し、人類からダンジョンを守っている。
詳細は不明だが「ダンジョン」は魔族にとって重要な「龍脈」を維持するために必要な存在らしい。
また並行して「あの方」と呼ばれる魔族の不治の病を治療する方法を見つけることで、滅びゆく魔族を存続させようと考えている。
義理堅く人類に対しても公正だが、やはり人類に対して強い憎しみを抱いてもいる。
ティナ・クーアイズ
冒険者として活動する魔法使いの少女。
初登場時、一人前とされるC級冒険者で「蒸気の窯」ダンジョン攻略の功績によりB級冒険者に昇格する。
好奇心旺盛で真っ直ぐな性格。
治療代の対価として公正な取引を持ち掛けてきたガロンに興味を持ち、自ら彼の旅についていくことを申し出る。
人類と魔族の新たな一面を見て衝撃を受けるが、冒険者をやめようとは考えず、新たな冒険者の在り方を見いだし、上に行って体制を変えようと考えている。
ミカゲ
ガロンの配下の魔族。
人間の男性にしか見えない姿をとっており、魔法で「影」を操る。
密偵・伝令役で魔法により他者を変装させることもできる。
初登場時はティナを試すような振る舞いをしたが、以降はティナのことを信頼し、好意的に接している。
「獣王と薬草」感想&評価
「魔族アゲ」要素が強め?
まだ始まったばかりの作品であり、コミックス1巻部分を読んだ評価は「保留」。
魔族サイドから世界を見た作品なので当然と言えば当然なのですが、魔族の事情が強くフォーカスされ、現時点では人類はいかにも分かりやすい「敵役」といった印象が強くなっています。
それ自体は仕方ないと言えば仕方ないのですが、このままだと敵役である人類があまりにも薄っぺらく見えてしまうため、今後人類サイドの事情をどこまで深掘りできるかで作品の評価がガラッと変わってくるのかな、と。
面白い作品には良い敵役が必要ですからね。
人類は何もわかってない暴虐な侵略者だ、という話で終わってしまうと、人類と魔族の視点を入れ替えただけの普通のファンタジー。
正しい、正しくないで割り切れる話で終わってほしくはないですね。
こんな人におススメ
上記の「人類サイドの深掘り」云々を別にすると、話の内容や展開的にはある程度テンプレを踏襲しつつ、変化を付けた「なろう系」の作品。
ただ「俺TUEEE」とか分かりやすいスカッとした展開はないので、そう言うのが苦手で、かつあまり重くないファンタジー作品が好きという方にはおススメです。
設定自体はしっかり練られており、作品としての深みや広がりも今後の展開次第ではありますが十分に期待できるでしょう。
ただ色々設定を練っている分、説明が多めなので、そこが引っかかる方はいるかもしれませんね。
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