「TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには」感想&評価(ネタバレ注意)~太極拳✖金的✖美大浪人=最強のコンビニ店員~


 今回はサイコミで配信中、冴えない最強コンビニ店員による痛快バトルアクション「TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには」について紹介します。

 この物語は国家さえもその強さの秘密を求めつけ狙う最強の男「TSUYOSHI」を巡る物語。
 一見すると小柄でひ弱そうな青年が、自分を狙って立ちふさがる格闘家やスパイをバッタバッタと薙ぎ倒す、非常に爽快感溢れる内容となっています。

 本記事ではあらすじや最強の男「TSUYOSHI」のチョロすぎる素顔を中心に、ネタバレも交えて本作の魅力を語ってまいります。

「TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには」あらすじ(ネタバレ注意)

最強を追い求めた格闘家が必ず行きつく人物”TSUYOSHI”

 空手家、星崎愛之助はライバル夢丘が空手を辞めてしまったことを知り、その理由となった人物、川端強(以下、ツヨシ)に勝負を挑みます。

 見た目は小柄で全く強そうに見えないツヨシでしたが、星崎はほとんど何も出来ずにツヨシに敗北してしまいます。

 ツヨシの強さの秘密を知ろうと彼に近づく星崎。
 彼はツヨシと同じコンビニでバイトをする女性、陳さんからツヨシを巡る世界の構図を知らされます。

 陳さんは中国武術省から送り込まれてきたスパイで、ツヨシの強さの秘密を探ろうと彼に近づき、刺客を送り込んでいました。

 実はこの世界では、国家間の対立を一対一の個人間の決闘でケリをつける代理闘争が裏で行われており、各国は強い格闘家を求めていたんです。

 しかし当のツヨシは全くそんなものには興味がなく、むしろ自分の格闘技の才能を目当てに近づいてくる格闘家やスパイにウンザリしていました。

 昔は陳さんが自分に気があるのではとドキドキしていたこともあるツヨシですが、既に陳さんがスパイであることは見抜いていて、余計に人間不信気味です。

 ツヨシの強さの秘密を探ろうと彼に近づいた星崎ですが、望まぬ才能に苦悩するツヨシを見て、ツヨシを守るために戦うことを決意します。

ナターシャの裏切り、中国とロシアによる川端強の管理権を巡る争い

 陳さんが選抜した精鋭、四拳勢の襲撃を圧倒的な強さで跳ねのけるツヨシ。

 無敵と思われたツヨシですが、彼にはどうしようもない弱点がありました。

 それはとことん”チョロい”こと。

 ロシアからの留学生で格闘技に興味があるという美少女、ナターシャがツヨシと同じコンビニで働きだし、彼に近づいてきますが、ツヨシはあっという間にナターシャに骨抜きにされてしまいます。

 あからさまに怪しく、かつて同じように陳さんに騙された経験があるにも関わらず、全く疑うことなくナターシャを信じ込むツヨシ。

 モテない男の悲哀ですね……

 そんなツヨシの想いとは関係なく、ナターシャもまたロシアから送り込まれたスパイであることが判明。

 ナターシャの裏切りに愕然とするツヨシを置き去りにして、中国とロシアはツヨシの管理権を巡って5対5の総当たり戦を繰り広げ始めます。

 グツグツと煮えたぎるツヨシの憤怒、その本当の恐ろしさに気づかないまま……


「TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには」主な登場人物

川端 強(かわばた つよし)/ツヨシ

 本作の主人公で22歳。

 外見は小柄で丸眼鏡をしたいかにも貧弱そうな根暗青年。

 美大を目指して絶賛4浪中で、日中は友人たちと借りたシェアアトリエで絵を描き、夜はコンビニでバイトをして暮らしている。

 健康法レベルの太極拳しか学んだ経験はないものの、超人的な才能により世界を震撼させるほどの武術家となっている。

 得意技は金的で、作中ではこれでもかというほど執拗に急所を狙い撃ちする。

 内面は見た目通りの根暗な普通の青年で、武術に対しては全く興味が無く、それを理由に近づいてくる人間にウンザリしている

 売られたケンカは必ず買うが、その際には次の二つの条件を付ける。

 ①戦うのは一度だけで二度目はない。
 ②負けてもそれを口外しないこと。

 あと腐れなくケリをつけたいという想いが滲み出た条件と言える。

 唯一(?)の弱点は非常に女性に対して”チョロい”こと。

星崎 愛之助(ほしざき あいのすけ)

 「鉄拳の破壊神(ボーン・クラッシャー)」との異名を持つ空手家。

 外見は大柄でごつめな好青年。

 根は非常に良い奴だが、何かと多才(美大出身)で金持ちでしかもそれに無自覚なため、諸々鼻について人に嫌われるタイプ。

 ライバルであった夢丘が空手を辞める切っ掛けとなったツヨシに勝負を挑み敗北。

 当初はツヨシの強さの秘密を知るために彼に近づいたが、ツヨシの苦悩を知ってツヨシを守るために戦うようになる。

 ある意味、物語のヒロイン枠。

夢丘 照(ゆめおか てる)

 かつての星崎のライバルで、物語開始前にツヨシにボコボコにされた男。

 ツヨシに敗北したトラウマで空手を辞め、今は見事なデブオタと化している。

 ただ、デブとなった今でも空手の腕はそれなり(デブのため持久力は皆無だが)。

 ナターシャに気があり、それをナターシャに利用され、SM特訓によりかつての細身を取り戻しただけでなく、痛みを克服したドMへと進化し、再び格闘家として立ち上がる。

陳神美(チン シェンメイ)/陳さん

 ツヨシと同じコンビニでバイトをしている美少女。

 語学留学生を自称しているが、その正体はツヨシの強さの秘密を探り、彼を取り込もうとする中国武術省のスパイ

 物語開始前に何度も怪しい行動をとった結果、既にツヨシにはその正体がバレている

 普通に強い武術家で、技術的には星崎より上。

劉晟(リュウ シェン)

 陳さんが選抜した精鋭「四拳勢」の1人で、少林拳の使い手。

 まだ年若い少年で、見た目通り子供っぽく挑発に乗りやすい。

 一人っ子政策に隠れて生まれた戸籍のない子「闇っ子」で、壮絶な環境で育った模様。

万雲雕(バン ウンチョウ)

 陳さんが選抜した精鋭「四拳勢」の1人で洪家拳の使い手。

 色黒で長い髪をポニーテールにした青年。

 全身を鍛え抜く洪家拳の訓練により急所が潰れており、ツヨシ最大の武器である金的が通用しなかった強敵。

厳楼嵐(ゲン ロウラン)

 陳さんが選抜した精鋭「四拳勢」の1人で、太極拳の使い手。

 ぽっちゃりした体型の中年男性で、純粋な太極拳の技量で言えばツヨシと互角以上と思われる。

 実力を隠した強キャラムーブをしていたが、ロシアとの総当たり戦ではニキータ相手にあっさり敗北する。

呂志布(リョ ジーフェイ)

 陳さんが選抜した精鋭「四拳勢」の1人で八極拳の使い手。

 グラサン口髭のいかにも怪しい雰囲気の中国男性で、”神槍”李書文の再来と呼ばれる。

 非常に実戦経験豊富で、「四拳勢」最強との位置付け。

ナターシャ・ヴラドレーナ

 ロシアから留学してきた格闘技好きの美少女。

 ……と、いう建前でツヨシに近づいてきたロシア武術省のスパイ。

 夢丘と同じ空手部に所属し、ツヨシと同じコンビニで働く。

 いかにも清純派な雰囲気でツヨシに取り入り、彼を取り込もうとした。

 その美少女っぷりには夢丘もメロメロで、夢丘はナターシャにいい所を見せようとした挙句、女王様にクラスチェンジしたナターシャのSM特訓により、ロシア側のドM兵士として再臨する。

 性格は国家第一主義でツヨシの個人的な感情にはほとんど斟酌しない。

 本人もシステマの使い手で普通に強い。

 身長165cm、B82cm、W56cm、H86cm。

ニキータ・ヴラドレーナ

 ナターシャの兄でフィギュアスケートの選手。

 裏の顔はロシア最強の格闘家であり、システマとフィギュアの回転を組み合わせた戦い方を得意とする。

マルコフ・チェゲノビッチ

 ニキータたちロシア陣営の格闘技の教官。

 筋骨隆々とした大男で、システマの達人。

 ソ連時代には「サンボマスター」の称号も得ている。


「TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには」感想&評価

単なる主人公最強ギャグ作品にはないツヨシの人間味が面白い

 主人公が冴えない見た目で実は最強という作品は多数ありますが、本作の魅力は主人公のツヨシが武術の才能以外は極々普通の青年だという点

 主人公最強物って、主人公が腕っぷりだけじゃなくて精神的にも成熟して(少なくとも成熟しているように上げて描かれて)いて、見た目以外は実は完璧ってパターンが多いですが、ツヨシの内面は本当にごくごく普通(か平均より少し下)の一般人。

 武術に熱意があるわけでも世間に達観しているわけでもなく、本当にただ武術の才能に振り回されているだけ。

 女の子にチョロかったり、優しくしてくれる友人に絆されたり、怒ればとても人間らしく”ブチ殺してやる”とキレています。

 そういう武術の才能以外本当に普通の青年であるという点が、読んでいて非常に共感でき、シンプルに面白いのです。

こんな人におすすめ

 スカッとできる物語が読みたいけど、最近多い”やたら主人公上げのキツイ最強物”は御免だ、という方に是非読んでいただきたい作品です。

 読めば間違いなくスカッとできます。

 その上で、読んだ方はツヨシという男の人間らしさに共感し、思わず拳を握ってしまうことになるでしょう。

 一方で、かわいいヒロインにモテモテ的な話を期待している方にはお勧めしません

 ツヨシは最強なだけで、決してそれ以外には恵まれていないのです。

 幸せな展開を期待してはいけません……



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