今回は「となりのヤングジャンプ」で連載中のリアルな日常系アウトドアコメディ「やまさん~山小屋三姉妹~」について解説します。
この作品はかわいい三姉妹が運営する山小屋「雲海小屋」を舞台に、そこに迷い込んできた同級生の少年や、山小屋を訪れる登山者たちを描いたコメディ作品。
アウトドア系漫画としての描写もリアルなのですが、どちらかというと「山小屋」という特殊な環境を舞台にした緩い日常、お仕事ものとしての要素が強い作品です。
本記事では「やまさん~山小屋三姉妹~」のあらすじや登場人物の紹介を交えつつ、その魅力を解説していきたいと思います。
「やまさん~山小屋三姉妹~」あらすじ
三姉妹が運営する山小屋「雲海小屋」
東京から田舎に転校してきた男子高校生・西園寺真。
彼は以前自分を助けてくれた同級生の吾妻華歩(あづまかほ)が山小屋(=家の仕事)の手伝いで学校に来れないと聞き、その助けになりたいと一念発起。
しかし山のことを何も知らない彼は学生服姿で山に入り込んだ挙句、滑落して気絶。
助けに来たはずの吾妻さんに逆に救助され、彼女が働く山小屋「雲海小屋」へと運ばれてしまいます。
山小屋で楽しそうに働く吾妻さんとそのお姉さん二人を見て、自分が勘違いしていたことに気づく西園寺。
しかし彼はそれが縁となって山の魅力を知り、山小屋「雲海小屋」でアルバイトとして働くようになります。
三者三様の個性を持った山小屋三姉妹。
その山小屋を訪れる多彩な登山者たち。
リアルで過酷、しかしどこかほのぼのした山の日常がコメディタッチで描かれていきます。
「雲海小屋」のモデルは「煙草屋旅館」
物語の舞台となる特盛連峰の山小屋「雲海小屋」にはモデルが存在します。
特盛連峰は栃木県にある那須岳、「雲海小屋」はそこにある「煙草屋旅館」がモデルとなっているそうです。
山小屋と言っても温泉なども完備されたちょっとした旅館のようなしっかりした施設ですね。
まあ、山なので電波や電気は通ってないようですが。
作者「坂盛(さかもり)」先生はリゾートアルバイター
作者の「坂盛(さかもり)」先生は、高校卒業後百貨店勤務を経て、リゾートアルバイターとして各地で働いていたという異色の経歴の持ち主。
当初は全く漫画家になるつもりはなく、20代後半で体調を崩したことを切っ掛けに漫画家を志したというのですから……
自分が積み上げてきた経験を漫画にしたいという思いが強く、描かれた作品はどれもリゾートアルバイターとしての経験がベースにあるものばかり。
どれもとてもリアリティのある内容となっています。
「やまさん~山小屋三姉妹~」主な登場人物
西園寺真(さいおんじまこと)
東京から田舎に転校してきた転校生。
年齢は16歳、高校2年生。
華歩(かほ)の高校の同級生で、彼女が山小屋(=家の仕事)の手伝いで学校に来れないと聞き、彼女の助けになれないかと山へ入り込み、うっかり死にかける。
ボンボンだが恵まれ舗装された自分の人生に漠然とした不満を感じており、何もない山の生活に魅力を感じ、山小屋で働くようになる。
性格は温厚で心優しく、成績優秀、顔も整っており、諸々王子様的なスペックの持ち主。
ただ体力はあまり(?)なく、なよっとしていてMっぽいところが玉に瑕。
吾妻華歩(あづまかほ)
山小屋三姉妹の三女。
年齢は16歳の高校2年生。
見た目はショートカットの活発そうな美少女で、頭のてっぺんで雑に結んだ前髪がチャームポイント。
人付き合いは苦手でかなり不愛想。
勉強が嫌いで学校を休んで自発的に山小屋を手伝っている。
山の人間らしく体力はあり、歩荷もこなすが、大雑把で細かい仕事は苦手。
とにかく山が大好きな野生児で、応急処置や山に関わることだけはしっかり勉強している。
吾妻稜(あづまりょう)
山小屋三姉妹の次女。
年齢は24歳。
見た目は緩く波打った髪をサイドテールにした気の強そうな美女。
インスタなどが大好きな典型的な今どき女子で、電波も通っていない山の生活とはあまり相性が良くない。
が、無職のため山小屋を手伝っている。
体力はないが経済観念はしっかりしており、仕切りたがり。
SNSなどで山小屋の宣伝をしているが、思春期気味なところがあり「小屋を愛する健気な娘」と思われるのが苦手。
基本的にはこの作品におけるツッコミ役を担っている。
吾妻沢子(あづまさわこ)
山小屋三姉妹の長女。
年齢は29歳、怪我をした父親に代わって山小屋のオーナー代理を務めている。
見た目は家庭的な雰囲気のおっとりした美女。
実際、性格は見た目通り穏やかで優しく、お人よし。
ただ山小屋で働いているだけあって、体力や山の知識は高く、山人としてのスペック的には完全に華歩の上位互換。
とにかく山と登山者を愛しており、その情熱と愛情はとても広く深い。
彼女の魅力に絆された登山者たちが次々とその沼にハマっている。
「やまさん~山小屋三姉妹~」感想&評価
かわいくて緩いのにやたらリアルな山の日常
第一印象は絵がかわいくてすっきり、読みやすそうな漫画だな、というもの。
で、読んでみて直ぐに、これ登山漫画としてもリアルだなと印象が一変。
更に読み進めると、今度は「山小屋」という特殊なお仕事ものとしての要素が顔を出します。
ゆるゆるとした雰囲気ではあるんですが、描かれている内容は結構シビアでリアル(目が飛び出てる要救助者がいたり、物やゴミを運ぶ大変さだったり)。
とても色んな顔を持った作品だな、というのが最終的な印象ですね。
もちろん、三姉妹を始めとした登場人物は非常に魅力的で個性的。
ゆるゆるとした雰囲気ながら事件は尽きず、飽きさせない内容となっています。
なお、いろんな顔があるとは書きましたが、恋愛要素は今のところ皆無です。
こんな人におススメ
派手な展開が好きという方でなければ男女年齢を問わずおススメできる作品です。
山好きに刺さりそうなのは言うまでもありませんが、個人的には山や登山とは縁遠いインドア派の方にこそおススメしたい。
別にこれを機に「山に興味を」なんて高尚なことを言うつもりはありません。
ただ、この作品は「山」がとても丁寧でリアルに描かれていますので、普段の自分の生活にない世界観を知ることは、シンプルに胸を動かすものがあります。
あくまでゆる~い雰囲気で、だけどしっかり新鮮な感動もある、読んで損のない作品ではなかろうかな、と。
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