「黄泉のツガイ」感想&評価(ネタバレ注意)~コミックス1巻のあらすじ、登場人物の解説付~


 今回は「鋼の錬金術師」で知られる荒川弘先生が月刊少年ガンガンで連載中の最新作「黄泉のツガイ」について紹介します。

 この作品は山奥の俗世から隔絶された村で育てられた少年ユルが、ある日突然「ツガイ」と呼ばれる怪物とそれを使役する「ツガイ使い」との戦いに巻き込まれる現代伝奇バトル漫画。

 様々な勢力、人物の思惑が複雑に絡み合い、誰が敵で誰が味方か、全く先が読めない展開が続いています。

 本記事ではあらすじや用語解説、登場人物の紹介などを交えつつ、「黄泉のツガイ」の忌憚のない感想を語ってみようと思います。

「黄泉のツガイ」あらすじ(ネタバレ注意)

コミックス1巻(4話まで)のあらすじ

 現代日本の片隅、結界によって俗世から隔絶された山奥の小さな村に住む少年ユル。

 彼は村の牢の中に幽閉され「お務め」を果たしているという双子の妹アサと共に、野鳥を狩って静かに暮らしていました。

 そんなある日、結界を破って外部から銃を持った者たちが村を襲撃します。

 襲撃者の中には「ツガイ使い」と呼ばれる不思議な力を持つ者も混じっていました。

 アサが危険だと感じたユルは抜け道を通ってアサの元へ駆けつけますが、そこで見たのは謎の少女が「アサ」を殺している光景。

 しかもその少女は、自分こそが本物のアサだと名乗ります。

 混乱するユルは村人デラによってその場から逃がされ、その逃亡の途中で村の守り神とされる「ツガイ」「左右様」を目覚めさせ、その主「ツガイ使い」となることに。

 左右様の助けもあって村から無事に脱出を果たしたユル。

 彼は左右様やデラたちからいくつかの情報を伝えられます。

 ユルがアサだと思っていたのは彼を村に縛り付けるための偽物で、本物のアサは村を襲撃した方であったこと。

 ユルとアサは「昼と夜を別つ双子」と呼ばれる特別な存在で、襲撃者の狙いはユルであったこと。

 ユルは両親がユルとアサを置いて村を出て行ったと思っていましたが、実は両親は本物のアサを連れて村を逃げ出しており、置いて行かれたのはユル一人であったこと。

 情報の洪水。
 ユルからすれば、今まで自分が信じていた世界が根本からひっくり返ったようなものでしょうね。

 自分を騙していた村人は信頼できず、かと言って突然現れた自称「アサ」も信頼できない。

 そこでユルは真実を知るため、自分を捨てて村を出て行った両親を探し出し、話を聞こうと決意します。

 しかしユルたちの前には、アサと行動を共にする「ツガイ使い」の一派、影森家が立ちふさがり……

用語解説

ツガイ
「幽霊」「妖怪」「化け物」「UMA」「異形」「対なるもの」
様々な呼び方をされる異界の存在。
その姿や能力は多種多様で全くのバラバラ。
ただ、いずれも二体一対のコンビとなっている。
基本、ツガイの姿はツガイ使いや波長の合った者にしか見えない。

ツガイ使い
ツガイと契約し、ツガイを使役する人間。

東村(ひがしむら)
ユルが育った山奥の村。
結界により外界と切り離され、現代文明と隔絶した暮らしをしている。
何故そのような暮らしをしているのか、その目的は不明。

影森家
東村を出て下界で地位を築いた分家。
考え方の違いから東村と決別した。
複数のツガイ使いを抱えている。

番小者(つがいこもの)
詳細は不明だが、東村におけるエージェントのような存在。
外界と東村の行き来したり、外界で暮らして東村の活動をサポートしている模様。

昼と夜を別つ双子
東村で夜と昼が等しい日に日の出を境に生まれた男女の子供。
「解」と「封」の二つの特別な力を手にする資格を持ち、それが生まれた時代は双子を巡って世が割れたと言われている(直近で400年前……関ケ原?)。
「解」……この世の万物を「とく」力
「封」……この世の万物を「とじる」力


「黄泉のツガイ」主な登場人物

ユル

 本作の主人公である16歳の少年。

 東村で生まれ育った「昼と夜を別つ双子」の一人。

 卓越した弓矢の腕を持つ狩人であり、敵と見做したものには容赦がない。

 幼い頃両親が自分たち兄妹を捨てて村から逃げてしまったため、双子の妹であるアサを何より大切に思っていた……が。

 実はそのアサは村人がユルを村に縛り付けるために作った偽物で、本物のアサは両親と共に村から逃げていたことが判明。

 真相を知るため、両親を探しだそうとする。

 村の守り神でもあるツガイ「左右様」と契約したツガイ使い。

アサ

 ユルの双子の妹であり「昼と夜を別つ双子」の一人。

 右目に眼帯をしており、偽物のアサと比べ発育が良く、やさぐれた目をしている。

 影森家と行動を共にしており、ユルを狙って東村を襲撃した。

 ユルに対して害意はなく、むしろ彼のことを兄様と呼んで慕っている模様。

 既に「昼と夜を別つ双子」の力の一つである「解」と呼ばれる力を手にしている。

左右様

 ユルと契約した「ツガイ」で東村の守り神的存在。

 外見は鬼のような角の生えた男女で、ユルと契約する前は狛犬に似た石像になっていた。

 非常に力が強く頑丈で、血の臭いで個人を特定できるくらい鼻が利く。

右様
二本角の男性体の鬼で、見た目も性格も明るく豪快。

左様
一本角の女性体の鬼で、クールで大人しそうに見えて非常に血の気が多い。

デラ(田寺リュウ)

 東村の番小者をしている中年の男性。

 行商をしながら村の中と外を行き来し、村の活動を支援している。

 かなり荒事にも慣れているようで、襲撃を受けた東村からユルを逃がし、保護している。

 「田寺家」はそれなりに名の通った家らしく、影森家からも警戒されていた。

 今のところツガイ使いである描写はないが、ツガイの姿はガッツリ見えている。

ハナ(段野ハナ)

 デラと組んで東村の番小者をしている若い女性。

 非常にサッパリざっくりした性格で、何だかんだ面倒見が良い。

 世間の目をくらますため、ユルはデラの子供で、ハナはそんなデラと再婚した若い妻、という設定を押し付けられてしまう。

 好きな男のタイプはジェイソン・ステイサム。

 ツガイ使いであり、猫(虎徹)と犬(二狼)のツガイ「前虎後狼(ぜんここうろう)」と契約している。

ガブ

 アサと共に東村を襲撃してきたツガイ使いの少女。

 幼い見た目ながら非常に戦闘向けのツガイを持っており、痛みに耐性がある上、殺人に全く躊躇が無い。

 アサとはかなり親しい様子。

 歯茎に大量の目がくっついた空飛ぶ入れ歯みたいな見た目の「ガブリエル」というツガイと契約している。

 ガブリエルは上顎と下顎の二体一組のツガイで、ひと噛みで人間の身体を消し飛ばすぐらい強力で、銃弾や手榴弾でも傷つかないくらい頑丈。

ジン

 影森家所属のツガイ使いの青年。

 眼鏡に無精ひげを生やしたインテリヤクザ風の見た目で、アサやガブとも親しい様子。

 契約しているツガイは「掃除屋(スカベンジャー)」というチョウチンアンコウのように囮に擬態したツノで敵を引き寄せ、ガブリと一飲みにしてしまうタイプ。

 「愛ちゃん」と「誠くん」の二体一組で、愛ちゃんが呑み込んだものを誠くんが吐き出すことができる模様。

ヤマハおばぁ

 東村の長である元気な老婆。

 赤ん坊だったユルとアサをとりあげた人物で、アサの偽物をつくってユルを村に縛り付けていた。

 その目的は今のところ不明。


「黄泉のツガイ」感想&評価(ここが面白い)

オカルトとバトルのバランスが秀逸な荒川弘先生の最新作

 一言で感想を述べると謎有り、現代異能バトル有りの荒川弘先生らしい作品です。

 現代日本を舞台としながら「ツガイ」「閉ざされた村」「昼と夜を別つ双子」といったオカルト要素を散りばめ、非常に謎の多い世界観。

 「ツガイ」というオカルト要素だけでなく、体術あり、駆け引きありのバランスの良いバトル。

 あなたがかつて「鋼の錬金術師」を読んで面白いと思ったことがあるのであれば、間違いなくおすすめできる作品です。

 コミックス1巻を読んだ段階では、正直なところ謎が多すぎてまだ世界観の全容も上手くつかめていない状態。

 面白いのは間違いないのですが、個人的には「もっと情報をくれ!」という感想が先に立ってしまいますね。

登場人物の思惑が複雑に絡み合い、今後の展開が全く読めない

 今のところ登場人物のそれぞれの思惑が複雑に絡み合い、誰が敵で誰が味方かもわかっていない状況です。

 妹のアサはユルのことを大切に思っており、東村からユルを保護し、救出しようとしていたようですが、その行動はあまりに苛烈。

 アサと行動を共にしている影森家の狙いも不明で「ユルを守ろうとしているから味方」とはとても言えません。

 また、かつて存在した「昼と夜を別つ双子」を巡り、国を割る戦いが引き起こされた、という左右様の説明を聞くと、最終的にユルとアサは敵対する、という可能性もありそうですよね。

 一方、ユルを騙して村に縛り付けていた東村についても「騙していたから敵」とは限りません。

 デラやハナも基本的には善人ですし、影森家のような敵対勢力からユルを守るために、敢えてユルを騙していたという可能性も十分に考えられます。

 あるいはどちらの勢力もユルとアサを利用しようとしている、という可能性も……

 今のところ各勢力の思惑に不明点が多く、今後の展開が全く予想できない「黄泉のツガイ」。

 興味を持たれた方は是非是非ご一読を。



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