「十勝ひとりぼっち農園」感想&評価~いつの間にか十勝を代表する漫画家に、編集長やかずさんのフォローが素敵~


 今回は「週刊少年サンデー」で連載中の農業体験漫画「十勝ひとりぼっち農園」について解説します。

 この「十勝ひとりぼっち農園」は作者の横山裕二先生が日本一のカレーを作るため北海道十勝に移住して野菜を育てる失敗だらけの農業体験記。

 サンデー本誌の巻末でひっそりと連載しているあの漫画ですね。

 それが気が付けば何故か十勝を代表する漫画家になっていた横山先生。

 本記事では「十勝ひとりぼっち農園」のあらすじや登場人物の解説を踏まえ、その魅力を語ってみようと思います。

「十勝ひとりぼっち農園」とは?(あらすじ・場所)

あらすじ

 前作(非科学研究所)の連載が終了し無職となっていた横山裕二先生は、ある日サンデー編集長に呼び出され、あるミッションを言い渡されます。

 それは十勝へ行って野菜を一から育て、日本一のカレーを作って皆をもてなすのだ、というもの。

 要は十勝へ移住して農業体験漫画を描けということですね。

 ただそうは言っても農業経験皆無の漫画家(一応実家は山口の農家)がいきなり畑をやれと言われてできるほど農家は簡単なものではありません。

 畑のための土地探しに住居など移住準備に始まり、土地の開墾、知り合い作りやら農家の師匠探しなど畑が軌道に乗るまでがまず大変。

 そして何とか野菜作りが始まっても、思い込みで作業をしたり人の忠告を聞かなかったりで失敗続きです。

 しかし横山先生は持ち前のコミュ力(のみ)で多くの人々の助けを得て、畑と漫画連載を継続。

 いつの間にやらマラソン大会のゲストランナーや地元での講演依頼がくるほどの十勝を代表する漫画家へとのし上がっていくのです(?)。

食の王国「十勝」

 横山先生が移住した北海道十勝平野は食料自給率1100%超の日本最大の食糧生産地。

 荒川弘先生の「銀の匙」の舞台となった地でもあり、他の地域とはスケールの違う大農家がゴロゴロしています。

 横山先生の師匠でもある「かずさん(後述)」もその一人ですね。

 横山先生の畑自体は小さなものですが、北海道河東郡音更町に土地を購入し、4年目には会社まで設立して地元で話題となっていました。


「十勝ひとりぼっち農園」主な登場人物

横山裕二(作者)

 コミュ力豊富なオッサン漫画家(1977年生まれ)。

 思い込みとノリで行動するタイプで、人の忠告を聞かず、ことあるごとに悉く失敗を繰り返す。

 独身で結婚願望はあるが、今のところ全くそうした気配はない。

 憎めないキャラクターで取り敢えずみんなから愛されてはいる。

 「株式会社十勝ひとりぼっち農園」を設立し社長に就任している。

編集長(元編集長・市原)

 横山先生に十勝行きを命じた編集長。

 130kgを超える巨漢で食欲旺盛。

 いい加減そうに見えるが編集長にまで上り詰めた経験と眼力は確かであり、横山先生に度々的確なアドバイスを送る(それを横山先生は大抵無視して酷い目に遭う)。

 現在はサンデー編集部を退社しているが、その後も作中に登場し続けており、なんなら横山先生より人気がある。

担当安達(前担当)

 連載開始当初の担当。

 都会育ちのしっかり者だったが、1年目の収穫祭を期に担当を変わる。

担当ミヤガワ(現担当)

 2代目の担当。

 本誌で安室コスをしてもてはやされたことをしばしばネタにされるチャラい男。

 初日から飛行機に乗り遅れて遅刻した。

かずさん

 編集長の紹介で横山先生に協力してくれている農家さんであり師匠。

 中札内村で「株式会社鎌田農園」という大農場を経営している凄い人。

 作中ではほぼレギュラーとして登場しており、ダメ人間の横山先生を気にかけている。

 というかふるさと納税で「かずさんのにんにく」とかあるんだが?

マキさん

 かずさんの奥さん。

 作中では準レギュラー。

 横山先生を気にかけてくれる良い人。

大御所漫画家(あだち充・青山剛昌・荒川弘)

 作中で登場するサンデー大御所漫画家さんたち。

 あだち先生や青山先生はカレーや野菜の試食担当として、荒川先生は十勝の大農家出身で「百姓貴族」など農業エッセイ漫画の大先輩。


「十勝ひとりぼっち農園」感想&評価

本誌巻末でひっそりと連載していた作品が……

 「十勝ひとりぼっち農園」は2018年から連載されている作品ですが、筆者がこの作品を改めて読み直したのはつい最近。

 連載当初からサンデー本誌の巻末でひっそりと良く分からん企画ものの漫画をやってるな~、と認識こそしていましたが、ほとんど流し読みしていました。

 正直すぐに終わる漫画だろうと思っていたのですが、意外に長く続き、本屋で単行本を見かけたのを切っ掛けに改めて通して読み直してみたのがつい先日。

 正直、雑誌だと一話あたりのボリュームが少ないので読みごたえがないのですが、単行本でまとめて読んでみるとエッセイ漫画としてかなり面白いんじゃないかな、という印象です。

 絵や話の内容は完璧にギャグ系。

 ただ体験の内容は非常に丁寧に描かれており、横山先生がガチもんの失敗を次々やらかしていくので中々飽きさせない作品です。

こんな人におススメ

 内容はギャグですが、どちらかと言えば大人向けの作品。

 失敗の内容とか体験談とかも、ある程度社会人経験のある方の方がハマる内容となっています。

 もちろん農業の方もしっかりと描かれているので、農業に興味がある方にもおススメ。

 休日に単行本でのんびり読んでみたくなるような作品ですね。



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