今回は「週刊少年サンデー」で連載中の大人気ファンタジー「葬送のフリーレン」から、作中でちりばめられた数々の伏線や謎について考察してまいります。
「葬送のフリーレン」は魔王を倒したその後の世界を描いた物語ですが、その魔王の存在を始めとして世界観そのものに大きな謎が存在しています。
フリーレンの新たな旅路にも大きく関わってくることになるだろういくつもの謎と伏線。
本記事では物語をより一層楽しむ為、これまでの主要な伏線・謎を整理し、考察してまいります。
「葬送のフリーレン」魔王の謎
強いだけでは勝てない存在?
魔王は勇者ヒンメル一行に倒されるまで千年以上にわたって魔族のトップに君臨してきた大魔族。
名前は不明で周囲からは「魔王」とだけ呼ばれています。
作中では未登場ですが、周囲の発言からするととてつもなく強い存在であることは間違いありません。
当然、それを倒した勇者ヒンメル一行が凄いという話なのですが……気になるのはどうして千年以上誰も魔王を倒せなかったのか、という点。
勇者ヒンメル一行は強いには強いのですが、この世界には彼らを上回る強者が人類にも魔族にも結構存在しており、決して無敵の存在ではありません。
特に神代から生きるエルフの大魔法使いゼーリエなどはその強者の筆頭。
単純な実力で言えばゼーリエはヒンメル一行より上であり、彼女が魔王を倒せなかったとは思えません。
しかし弟子のフランメはゼーリエには魔王は倒せないと断言します。
「私達じゃ無理なんだよ」
「だってさ師匠」
「平和な時代に生きる」
「自分の姿が想像できねぇだろ?」
この発言からすると魔王はただ強いだけでは倒せない、何か特殊な存在であると読み取れますが……?
人類との共存を目指していた?
作中では無名の大魔族ソリテールの口から、魔王が人類との共存を目指していたことが分かっています。
そしてその結果、人類との大戦争を引き起こすことになってしまったとも。
意味不明な論理展開ですが、魔族は人とは全く精神構造の違う人食いの化け物。
黄金郷のマハトも人類との共存を目指した結果、人々を殺し合わせたり黄金に変えたりしていましたから、共存を目指して戦争という流れも経緯は不明ですがあり得ない話ではないのでしょう。
ただ精神構造が人類と違えど、魔族も彼らなりの理屈を持って行動していることは確か。
果たして魔王は最終的にどのような形で人類との共存を目指していたのか……(後述の「魂の眠る地」の項目でその可能性について記載)
「葬送のフリーレン」勇者の剣の謎
この世界には女神によって授けられた「勇者の剣」が存在します。
伝説には「勇者の剣を引き抜けるのは、この世界を滅ぼす大いなる災いを撃ち払う勇者のみ」とあり、数々の英雄が石の台座に刺さったその剣を抜こうと挑戦しましたが、誰も抜くことができなかったと伝わっています。
世間には勇者ヒンメルがその勇者の剣を抜いて魔王を倒したと伝わっていますが、実は勇者ヒンメルが使っていた剣は偽物。
ヒンメルは勇者の剣を抜くことができませんでした。
それでも勇者ヒンメルは諦めることなく、勇者の剣などなくとも魔王を倒して世界に平和をもたらした……それはそれで凄いことなのですが、気になるのは勇者の剣にまつわる言い伝えの文言。
魔王を倒したヒンメルが言い伝えにある「勇者」でないとしたら、勇者の剣が撃ち払う「この世界を滅ぼす大いなる災い」も魔王じゃないってこと?
素直に考えればこの世界にはまだ魔王以上の災いが残されているということになりますが……
「葬送のフリーレン」クラフトの謎
作中において忘れ去られた謎の英雄として描かれているのがエルフの武僧クラフトです。
クラフトは同じエルフのフリーレンでさえ知らないほどの大昔に世界を救ったとされる英雄。
今ではその名も功績もほとんど忘れ去られており、各地にクラフトとその相棒であった人間の僧侶の像が残されるのみとなっています。
少なくとも1000年以上生きているフリーレンが知らないとなると、クラフトはゼーリエと同じで神代から生きているエルフなんでしょうかね?
気になるのは、像のモデルとなったクラフトは武僧ではなく剣を使う戦士だった様子。
あれ? 世界を救った剣士って、普通勇者って呼ばれません?
そう言えばクラフトの像の剣って、どこか勇者の剣にデザインが似ているような気も……
「葬送のフリーレン」全知のシュラハトの謎
「全知のシュラハト」とは魔王の腹心で千年後の未来を見通す魔王を操るとされた大魔族。
作中では勇者ヒンメル一行の旅が始まる前に、人類最強の「南の勇者」と相討ちになっています。
全知のシュラハトと南の勇者は互いに未来を見る力を持っており、互いに未来視の世界でなんどもシミュレーションを繰り広げた結果、目的のためには互いに相討ちになるしかない、と判断したようです。
気になるのはシュラハトの目的。
二人ともこの後、勇者ヒンメル一行が魔王を倒すことを予知していました。
南の勇者が相討ちを選ぶのは分かります。
しかしシュラハトは結局魔王がヒンメルに倒されるのでは相討ちになってまで南の勇者を倒す意味がありません。
この理由について、シュラハトは次のように語っていました。
「これは魔族の存亡を」
「懸けた戦いであり」
「敗戦処理であり」
「千年後の魔族のための戦いだ」
つまりシュラハトは魔族の未来のためには魔王がヒンメル一行「に」倒されることが必要だと判断した?
魔王の正体、そして魔王とヒンメル一行の戦いがいかなるものだったかに関する解説が待たれます。
「葬送のフリーレン」魂の眠る地の謎
フリーレンは師匠である大魔法使いフランメの手記にあった「魂の眠る地(オレオール)」に赴き、ヒンメルの魂と対話するために旅をしています。
手記にあった記載は次の通り。
「大陸の遥か北の果て」
「人々が天国と呼ぶ場所」
「魂の眠る地(オレオール)」
「多くの魂が集まる場所で」
「私はかつての戦友達と対話した」
そして「魂の眠る地」とは魔王城があった場所です。
このフランメの手記の内容が事実がどうかについては、フランメは結構いい加減な人物だったようでフリーレン自身も半信半疑ですから横に置いておきましょう。
それを確認するために旅をしているわけですしね。
気になるのはこの「魂の眠る地」が魔王城にあるという点。
フランメは1000年前の人物で、当時すでに魔王は魔族のトップに君臨し、人類と戦争を繰り広げていました。
フランメはその魔王城に行ったことがある?
また、どうして魔王がそんな場所に拠点を置いたかも気になります。
本当にそこに「魂の眠る地」があるのだとしたら、人類と戦争を繰り広げた魔王が目指した人類との共存方法って、ひょっとして天国で仲良くやろう的なものだったり……?
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