「幼稚園WARS」感想(ネタバレ注意)~「ジャンプ+」でインディーズ連載を勝ち取った期待作、作者の千葉侑生はどんな人?~

 今回は「ジャンプ+」でインディーズ連載を勝ち取った(注)期待作「幼稚園WARS(ようちえんうぉーず)」について解説します。

 「幼稚園WARS」は世界の重鎮の子が通うブラック幼稚園を舞台に、子供たちを狙って襲い来る殺し屋たちを元犯罪者の特殊教諭たちが返り討ちにしていく痛快コメディ作品。

 殺伐としたバトルにほのぼのした絵、幼稚園児レベルの恋愛要素がほど良いアクセントとなった良作です。

 本記事では「幼稚園WARS」のあらすじや主な登場人物、作者の紹介などを踏まえ、その魅力を深掘りしてまいります。

(注)21話よりインディーズ連載から通常連載へ移行済み。

「幼稚園WARS」あらすじ(ネタバレ注意)

引用元:幼稚園WARS

 物語の舞台は命を狙われやすい世界の重鎮たちの子供が通うブラック幼稚園。

 そこでは本作の主人公”たんぽぽ組”のリタ先生がいつものように、

「出会いないよね……」
「幼稚園の先生って……」

 と嘆き、園児たちに慰められていました。

 そこに突如現れる園児を狙った殺し屋。

 遠距離から放たれた狙撃は、しかしリタ先生のスコップで容易く防がれてしまいます。

 動揺する殺し屋を一瞬で見つけ出し、追い詰めるリタ先生。

 その殺し屋がイケメンだったので一瞬ときめいたりもしましたが、彼が「映画のエンドロール観ないで映画館出る派」だったため、最後は容赦なく撃ち殺してしまいます。

 実はリタ先生はただの先生ではなく、「魔女」と呼ばれた元伝説の殺し屋。

 1年間子供たちを守り抜くことができれば自由の身になれるという取引をかわした囚人だったのです。

 このブラック幼稚園はそんな特殊教諭たちによって守られる世界一安全な幼稚園。

 殺し屋、詐欺師、上司殺しの警官など、一癖も二癖もある先生たちが集まっています。

 そんな中でもリタ先生は絶賛彼氏募集中のイケメン好き。

 イケメンの殺し屋を見つけては興奮しているものの、結局いつもフィーリングが合わずぶち殺してしまっています。

 果たしてリタ先生は無事に子供たちを守り抜き、イケメン彼氏を作ることができるのでしょうか?

「幼稚園WARS」作者・千葉侑生先生はどんな人?

 作者の千葉侑生(ちばゆう)先生はギター職人を経て漫画家になったという異色の経歴の持ち主。

 絵は昔から得意だったそうですが、全く漫画家になろうとは思っていなかったそうです。

 それが専門学校時代、漫画アプリ「comico」の漫画賞に賞金目当てで応募。

 見事入賞し、楽器店の修理部門に就職が決まった直後にデビュー作「人生カンパニー」の連載が決まったそうです。

 その後は楽器店を辞めて漫画家に専念。

 「ジャンプ+」で縦スクロール漫画「ドリキャン‼」連載を経て、「幼稚園WARS」のインディーズ連載を勝ち取りました。

 身一つで島のジャングルで生き抜いたり、40度の熱で手足の爪がはがれて死にかけたりした経験を持つアウトドア派ですが、そうした経験は今のところ一切漫画に生かされていません。


「幼稚園WARS」主な登場人物

リタ

 本作の主人公でありブラック幼稚園”たんぽぽ組”の女性教員。

 かつて「魔女」と呼ばれ恐れられた元・伝説の殺し屋で、現在は減刑と引き換えに要人の子供たちを守っている。

 普段はかわいい系の明るい女性だが、スイッチが入ると冷徹な殺し屋へと変貌。

 ただし、とてつもなくイケメンに弱くてチョロいため、イケメンを前にすると一瞬で殺し屋モードは解けてしまう。

 彼氏募集中で星座占いが大好き。

 基本イケメンにしか興味がなく、イケメンであればそれが敵対する殺し屋だろうとかまわないが、(しょうもない)好みにうるさく、フィーリングが合わないとあっさりぶち殺してしまう。

 戦闘能力に関しては世界最強クラス。

 詳しい過去は不明だが、殺し屋時代は日本にいたらしい。

ダグ

 ブラック幼稚園”たんぽぽ組”の男性教員。

 スラム出身の元詐欺師て非常に手癖が悪い。

 戦闘力は並だが要領が良く、紙芝居やピアノ演奏など「普通の幼稚園の先生」としては非常に優秀。

 重度のニコチン中毒で刑期を終えたらタバコを1日2箱吸う生活を送ると豪語している。

 イケメンだが出会ったばかりの頃にリタを揶揄い過ぎてしまい、リタから警戒されている。

 当初はリタのことをチンチクリンと馬鹿にしていたが、リタに命を救われたことが切っ掛けで恋に落ちてしまった。

ハナ

 ブラック幼稚園”たんぽぽ組”の新人女性教員。

 フルネームは「ハナ・ブラッドリー」。

 見た目は無表情小動物系。

 殺し屋「ブラッドリー一家」の末娘で、爆弾を金属バッドで殴り飛ばして攻撃するという豪快な戦闘スタイルの持ち主。

 元々兄とコンビを組んで活動していたが、1年前に任務に失敗し、兄は一族に命を狙われ、ハナは刑務所に入れられることに。

 その後、兄が一族に人質にとられてしまい、リタの命を狙うことになる。

 最終的にリタとダグの協力で兄共々一族から救われるが、その際にダグに惚れてしまう。

エリナ(園長)

 ブラック幼稚園の女性園長。

 赤髪ポニーテールでメイド服を着た中年女性で、犯罪者ではなく元軍人。

 その詳しい過去などは不明だが、いざとなればリタを殺すと宣言していることから、その戦闘能力は相当なものと思われる。

 副園長兼保健室の先生のゴードンとは古い付き合いらしい。

ゴードン

 ブラック幼稚園の副園長兼保健室の先生。

 フルネームは「ゴードン・Z・スカイ」。

 顔に傷痕のあるグラサン強面のヤクザ顔の中年男性だが、犯罪者ではなく元軍人。

 見た目は怖いが戦いを好まない心優しい男。

ルーク

 ブラック幼稚園”きく組”の男性教員。

 フルネームは「ルーク・スミス」。

 上司殺しの罪で捕まった元警官で、金髪クール系のイケメン。

 頭脳派で戦闘能力もリタと伍する傑物だが、少女漫画好きの残念系。

 リタ、ダグ、ハナを貶しつつ、裏ではその三角関係を楽しんでいる。

ナターシャ

 ブラック幼稚園を襲撃してきた凄腕の女殺し屋。

 幼い頃から遊び代わりに殺し屋稼業をさせられ、周囲からは天才と呼ばれていた。

 壊れないおもちゃ(敵)を求め、自分と同類である「魔女」リタとの戦いを欲して襲い掛かってきたが……

 実際に彼女が欲していたのは壊れないおもちゃではなく友達だった。

 リタに倒され、死の間際でようやくそのことに気づく。


「幼稚園WARS」感想(ここが面白い)

とにかくテンポのよいコメディ作品

 「幼稚園WARS」はとにかくテンポが良く、読みやすい作品です。

 キャラクターの個性がはっきりしているためストーリー展開に無駄がなく、分かりやすい。

 奇をてらった設定や展開などもなく、ストレスなく読めるタイプの作品ですね。

 かといって最近増えてきたチープな軽い作品かというとそんなことはなく、物語の骨子はしっかりしています。

 16話で幼いナターシャが大量の黒服を首チョンパしていくシーンがあるのですが、これなんかは彼女の過去と心情の変化が非常に分かりやすくカッコよく描かれていました。

 要はキャラクターの個性の描き方が上手いので、ストーリーがシンプルで読みやすいものとなっているのでしょう。

こんな人におすすめ

 内容そのものは男女年齢を問わないコメディ作品。

 テンポが非常に良くスルスル読めるので、タイパを気にする最近の人には特に会うような気がします。

 一方、画風がかわいらしいので、そういうのが合わない(恥ずかしい?)と感じる人は一定数いそうですね。

 ただまあ、そうした絵の第一印象で食わず嫌いを起こしてしまうのはもったいない良作であることは確か。

 できれば「ジャンプ+」の無料公開話だけでも読んでみて欲しいですね。



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