今回は大瀬戸陸先生がヤングマガジンで連載中の「ねずみの初恋」について解説します。
この作品はヤクザに殺し屋として育てられた少女・ねずみと、普通の少年・碧(あお)の恋を描いた物語。
純粋だからこそ残酷で、醜悪だからこそ人を引き付ける、読んでいてヒリヒリするような世界観が特徴です。
作画のかわいらしさを物語が見事の裏切ってくるこの「ねずみの初恋」。
本記事ではあらすじや登場人物の解説を踏まえ、その魅力を深堀していこうと思います。
「ねずみの初恋」あらすじ
本作の主人公はヤクザに殺し屋として育てられた少女「ねずみ」。
愛を知らずに育ったねずみちゃんは、ある時、平凡で何の取り柄もないフリーターの青年・碧(あお)に一目ぼれされ、告白されます。
最初は断ったねずみちゃんでしたが、碧が泣いて頼み込んでくるのでそのまま付き合い、同棲を始めることに。
初めて愛されることを知ったねずみちゃんは碧と幸福な日々を過ごしていきます。
しかしそんな日々は半年間で幕を下ろします。
ねずみちゃんを殺し屋として飼っているヤクザが碧の存在と、彼がねずみちゃんの殺しの現場を目撃したことを知り、彼を捕縛。
ねずみちゃんに碧を殺すように迫りました。
しかしねずみちゃんはそれを拒否。ヤクザは碧を殺そうとしますが、ねずみちゃんは自分の命を盾に、自分が碧を殺し屋に育てるので助けて欲しいと訴えます。
半ば面白半分でその提案を受け入れるヤクザ。
彼らは1か月で碧を殺し屋にできなければ殺すといいます。
ねずみちゃんと一緒にいるためならとそれを受け入れ、殺し屋としての訓練を積む碧。
彼は1か月後、何とか初仕事をこなし、二人の存在は組織に認められることになりました。
しかし残酷な殺し屋の仕事に碧の心は次第に擦り切れていき、そしてねずみちゃんの心も、愛を知ったことで殺し屋として不具合を起こしていくことになります。
果たしてこの残酷で切ない初恋の結末は?
「ねずみの初恋」主な登場人物
ねずみ
本作の主人公であり、幼いころからヤクザに殺し屋として育てられた少女。
見た目はあどけない雰囲気の美少女だが、殺し屋としての技術は一流。
倫理観や一般常識に欠ける部分があり、キスのことをエッチだと思い込んでいたりと性的なことに関しては初心。
碧との生活の中で愛を知り、殺し屋としては徐々に不具合を起こしていくことになる。
詳細は不明だが、幼いころに同じ境遇の子供たちや自分を育てていたヤクザの幹部を皆殺しにしたことがある。
碧(あお)
ねずみちゃんに一目ぼれし、彼女に告白して付き合うことになった青年。
フリーターで優しい以外何の取り柄もない平凡な男。
ただし、ねずみちゃんへの好意は本物で、彼女の前ではヤクザに殺されかけても啖呵を切り、彼女と一緒にいるためだけに殺し屋となることを受け入れる。
ただし一般的な倫理観は持ったままで、殺しを続けることで徐々に心が擦り切れていく。
数年前に姉を殺されているが、実はその犯人はねずみちゃん。
鯆(イルカ)
ねずみちゃんを飼っているヤクザの親分。
まだ若いインテリヤクザ風の優男で、物腰柔らがだが底知れず、とても残酷。
道具としてのねずみちゃんをとても重宝している。
過去にねずみちゃんに兄貴分らしき男を殺されているが……?
テング先生
ねずみちゃんを殺し屋として教育した老人。
ヤクザの一員で、時に暴力も振るうが、碧を助けようとしたねずみちゃんをフォローするなど、ねずみちゃんに対する情らしきものも時折のぞかせる。
「ねずみの初恋」感想&評価
純粋だからこそ残酷でキレイごとじゃない
とてもかわいらしい絵の作品で、萌え系なのかなと思って読み始めましたが、すぐに裏切られました(良くも悪くも)。
主人公のねずみちゃんはとてもかわいくて純粋なのですが、ストーリーは非常に残酷でグロめ。
ねずみちゃんと碧の恋心がピュアなだけに、その恋の為に殺しをこなしていくという展開が非常にヒリヒリして良いです。
碧は基本善人ですが、微妙に中身がぶっ壊れていてキャラが掴みづらいです。
気になるのはねずみちゃんが碧の姉を殺した事実が、今後二人の関係をどう左右することになるのか。
「ねずみの初恋」というタイトルからも、中々ハッピーエンドとはいかなそうな雰囲気が漂っています。
こんな人におススメ
あまり隙間時間に気軽に読むタイプの作品ではないです。
軽い気持ちで読むと続きの展開が気になって微妙な気分になります。
ヒリヒリするような、ちょっと怖くてグロいものが見たいという方に、ゆっくり時間をとって読んでいただきたい作品。
作者の過去作を見ても、あまりハッピーエンドは期待しない方が良さそうなので、そういう残酷な結末を受け入れられるという方だけ読んでください。
多分、そういう方にはものすごくハマります。
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