今回は山口つばさ先生が「アフタヌーン」で連載中の青春アートストーリー「ブルーピリオド」から、受験編のヒロイン的存在とされる「桑名 マキ(くわな まき)」について解説します。
桑名マキは東京美術学院(予備校)で主人公の八虎たちと共に藝大受験に取り組んだ少女。
予備校のコンクールでは連続して1位を取るなど高い絵の実力の持ち主で、未熟な八虎にとっては仲間であると同時に追いかけるべき目標の一人として描かれていました。
作中では周囲からの評価は高かったものの藝大不合格となってしまった桑名マキ。
本記事ではそんな彼女のプロフィールや魅力、藝大不合格の理由とその後を中心に解説してまいります。
「ブルーピリオド」桑名マキのプロフィール
基本プロフィール(誕生日、年齢、身長、声優など)
誕生日 | 4月23日 |
年齢 | 17歳(初登場時・八虎と同学年) |
身長 | 161cm |
所属 | 東京美術学院(予備校、高校は不明だが美術系) →1年浪人 →東京藝術大学彫刻科(学生) |
声優 | 宮本侑芽 |
桑名マキは東京美術学院(予備校)で主人公・矢口八虎と出会った同い年の少女。
八虎と同じく東京藝術大学油画科への入学を目指しており、何かと八虎と関わっていくことになります。
外見は髪の毛を半ばから明るい色に染めたセミロングの髪が特徴のギャル系美少女。
髪型は後にボブカットに変えています。
細身ながら周囲が驚くほどの健啖家で、大のアイドル好き。
特にK-POPが好きで、最近は韓国語を話す男以外男に見えなくなってきたとまで発言しています。
家族全員が藝大出身というサラブレット一家の生まれで、浪人生も交えた予備校の公開コンクールで連続1位をとるなど、高い絵の技量の持ち主。
しかしそれだけに周囲からの期待も大きく、プレッシャーに押しつぶされそうになっていました。
「受験編」のヒロイン的存在?
桑名マキは八虎と同い年の美少女で、共に藝大受験に取り組む仲間ということもあって「受験編(コミックス1~6巻)」のヒロイン的存在として語られることが多いキャラクターです。
しかし八虎と桑名マキはあくまで異性の友人。
ヒロインというのもファンがそう言っているだけで、作中でそれを意識させる描写はほとんどありません。
そもそも「ブルーピリオド」は恋愛描写がほとんどなく、受験編でも八虎は男ばかり追いかけていました(注)。
(注)高橋世田介が関わるとテンションおかしくなったり、鮎川龍二と一緒にセルフヌードを描いて見せあったり。
憧れの女性という意味でも、最後に美味しい所を持っていったのは森先輩。
桑名マキは確かにかわいいしポテンシャルは高いのですが、今のところヒロインというより「仲間」枠のキャラクターです。
「ブルーピリオド」桑名マキと姉ユキの存在
桑名マキを語る上で欠かすことができないのが、彼女の姉・桑名ユキの存在です。
ユキは数年前に藝大に現役で主席合格した才女。
マキは姉のことをずっと意識し、姉には敵わないと劣等感を抱いていました。
だから姉が現役主席合格と聞いた時も、
「オメデトウ」
「余計なことすんじゃねー」
二つの相反する気持ちが入り混じっていました。
マキはずっと、
「あの人さえいなければ」
「もっと楽しく描けたのに」
と姉の存在を疎ましく思っていたのです。
ただ実際、客観的に見てマキが姉に絵で劣っているかというとそんなことはなく、むしろ戦略的で絵作りが上手いのはマキの方。
マキの劣等感はもはや理屈ではなく、本当の敵は姉ではなかったのです。
ちなみに、複雑な関係性の桑名姉妹ですが、姉妹仲そのものは非常に良好。
同じアイドル好きの同志として、作中では姉妹仲良くドル活に勤しむ姿が描かれていました。
「ブルーピリオド」桑名マキは藝大受験に失敗(落ちた)
周囲から実力は十分、ムラもなしと現役での合格を期待されていた桑名マキですが、彼女は藝大受験に失敗してしまいます。
合格発表のシーンでは、合格した八虎の横で膝をついて崩れ落ちる桑名マキの姿が対照的に描かれていました。
実力は十分、未熟な八虎が合格したにも関わらず桑名マキが不合格となった理由。
それは後に桑名マキ自身の口から語られていました。
予備校のコンクールには「1位をとるとその年は受からない」というジンクスがあります。
それは高い評価を得たことで絵を変えることが怖くなり、絵から挑戦や工夫、言い換えれば「鮮度」が失われてしまうから。
桑名マキはそのことを理解し挑戦を心がけていましたが、2次試験ではほとんど無意識に、コンクールで1位を取った時の絵を焼き増ししてしまっていたのです。
「ブルーピリオド」桑名マキは浪人生活を経て彫刻科に入学
藝大油画科を不合格となり、それでも諦められず1年浪人生活を送ることを選択した桑名マキ。
しかし不合格のショックは大きく、しばらくの間は立ち直ることが出来ずにいました。
そんな彼女を救ったのが、藝大に入学したものの周囲とのレベルの差に落ち込み、ボロボロになっていた八虎。
偶然動物園で出会った二人は、互いの近況を話し合うことで自分自身の現状に向き合います。
桑名マキは、八虎の現状を知り、彼を励ますことで逆に前に進む力を貰いました。
「ほんとはなんだって」
「やっていいはずなんだよね」
「自分の人生」
「自分のものなんだから」
ありふれた八虎の言葉。
しかしその言葉に心動かされた桑名マキは、以前から興味のあった彫刻科で学んでみることを決意。
1年間の浪人生活を経て何と油画科ではなく藝大彫刻科へと入学を果たしたのです。
家族のプレッシャーという呪縛から解き放たれ、力強く歩み出した彼女は、以前より一層魅力的に成長していましたね。
「ブルーピリオド」桑名マキの名言(名ゼリフ)
それでは最後に桑名マキの名言をいくつか紹介してシメとさせていただきます。
「落ち込んでる人見てると」
「アタシはまだ大丈夫って思えるじゃん?」
「私サイテーだわ」
「弱ってる友達見て」
「メンタル保ってたんだもんね……!」
藝大受験は浪人するのが当たり前の厳しい世界。
メンタルを崩して倒れる人間も珍しくありません。
そんなギリギリの中で、彼女たちは必死に自分を保っていました。
そんな中、拒食症で入院した桑名マキの友人が体調を取り戻し、美大進学をあきらめてお絵描き教室でバイトをすることになります。
「やーよかったよマジで」
「絵が得意でも」
「ずっとやってても」
「すごく好きでも」
「戦うことがツラいなら」
「それを選ばなくても」
「いいんだよね」
「自分に無理のない」
「選択すんのって」
「案外むずいじゃん」
安心しているようでも、自分に言い聞かせているようでもあり、彼女らしい思いやりにあふれた言葉でした。
そして受験失敗後、八虎と再会して思わずこぼれた本音。
「落ちてよかったなんて」
「死んでも思わないけど」
「ちょっとだけ落ちて」
「安心したんだよね」
「維持する努力を続けてたら」
「報われるって幻想が」
「ぶっ壊れて」
どん底にありながらも自分と向き合い、着実に前に進もうとする彼女。
その積み重ねが、翌年の藝大合格という結果に繋がっていきます。
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