今回は「東京喰種トーキョーグール」の作者・石田スイ先生が連載中の異能力バトル漫画「超人X」について紹介します。
前作から3年ぶりの新作ということで期待が高まる「超人X」。
口コミや評価などを見てみると、ネット上では見事に賛否両論、意見が二分される結果となっています。
何故そのような評価になるのか、何がつまらなくて何が面白いのか。
本記事では「超人X」のあらすじや登場人物の紹介を踏まえ、賛否両論の理由について考察してまいります。
「超人X」あらすじ
物語の舞台は西暦1998年、「超人」と呼ばれる異能力者の出現・増加によって世界が混乱し、国家が「自治県」へと分断された世界。
主人公の高校生・黒原トキオは、親友の東アヅマと飛行機墜落事故現場のボランティアに参加した帰り道、アヅマに恨みを持つ不良に襲撃されます。
柔道と空手の達人だったアヅマでしたが、その不良は「超人になれる注射剤」により「軟体の超人」と化しており、アヅマたちでは手も足も出ません。
このままでは殺されると判断したアヅマは、不良が落とした2つの注射器を指差し、それを使い戦うことを決意。
トキオもアヅマにだけ危険な真似はさせられないと、互いに注射器を使います。
そしてその注射により「超人」となったのはトキオ。
トキオは「獣化の超人」となり、超人的な身体能力を得て不良を撃破します。
超人の力を得たことで超人たちの戦いに巻き込まれていくトキオ。
彼は善の超人組織「ヤマトモリ」に所属し、謎の組織に属する悪の超人たちと戦っていくことになるのですが……
「超人X」用語解説(超人・レイズ・カオスなど)
超人
文字通り人ではあり得ない超常の力を持つ存在。
遺伝の他、当人の強い願望やストレスなどが原因で超人化が起こる。
超人は変身系と生成系、あるいはそのダブルに分類される。
一種の「病」ではないかとも言われているが……
レイズ(修復)
超人のもっとも根源的な力の一つ。
破壊と生成が織り成す再生現象。
力の行使は身体を蝕み、使うほどに超人性は高まるが、反面人間性を失っていく。
そのため連続行使はリスクが大きい。
カオス(混沌)
超人の暴走状態。
能力の横溢、過剰集中、自我の喪失、可能性の無限化。
超人としての力は増すが、場合によっては永久に自我を失うこともある。
自治県
この世界では50年以上前に国家の概念が崩壊し、政治は自治県単位で行われている。
物語の舞台はヤマト県。
ヤマトモリ
ヤマト県における善の超人組織。
キーパー(番人)と呼ばれる良き超人が在籍し、悪の超人たちから人々を守っている。
超人の教育機関としての一面もある。
超人X
どの時代にも不思議と必ず一人は現れる、一つの世界を滅ぼすほどの力を持つ超人。
予見の獣
トキオたちが敵対する謎の組織が狙う超人。
注射器で超人となった「獣の超人(=トキオ)」を指す言葉。
「超人X」主な登場人物(ネタバレ注意)
黒原 トキオ(くろはら ときお)
本作の主人公。
長い前髪で右目を隠した陰気そうな雰囲気の男子高校生。
いつも親友であるアヅマの後ろについて、彼に守ってもらっていた。
謎の注射剤により「獣化(ハゲタカ)の超人」となる。
気弱でネガティブだが善良で、人助けがしたいと「ヤマトモリ」に所属することとなる。
運動神経はそれほど良くなく、成績も悪い劣等生だが、実は本気になれば凄いタイプ。
ただし当人に本気でやる理由がないため、これまでその力は発揮されなかった。
東 アヅマ(ひがし あづま)
トキオの親友。
外見はメガネをかけたマッシュルームカットのかわいい系の少年。
空手・柔道の大会を5連覇中でスポーツ万能、成績は学年トップの完璧人間。
正義感が強く、いつもトキオを守ってきた。
しかし同時に、得体の知れない素質を隠し持つトキオに劣等感を抱いており、注射器によってトキオだけが超人化したことで徐々にその想いが顕在化していく。
後にウメザワリリカに致命傷を負わされたことで超人化。
鉄の超人であることが判明。
乙田 エリイ(おった えりい)
本作のヒロイン?
ガガ県出身の農家の少女で、野菜の品評会に参加するため乗った飛行機で「煙の超人」チャンドラ・ヒュームに遭遇。
チャンドラに殺されかけたことが原因で彼と同じ「煙の超人」となるが、その本来の能力は剥奪能力?
その後「ヤマトモリ」に保護され、チャンドラのような悪人をぶっとばしたいと、そのまま「ヤマトモリ」に所属する。
願いは大体「金」で叶うと言い切る潔いチンチクリン少女。
両親は既に亡く、トメイト農家の祖父母に育てられた。
母親はガガで300人を超える賊集団の首領だった。
籠村 シモン (かごむら しもん)
ヤマトモリに所属するキーパーの少年。
学ランと学帽が特徴のクールなイケメン。
籠村の一族は血を混ぜた血墨で肉体に刺青をほることで力を継承できる「剣の超人」の末裔で、シモンもその力を継いでいる。
しかし一族は能面姿の超人に滅ぼされ、生き残ったシモンはその雪辱を晴らすためにキーパーとなった。
不愛想に見えて意外と情に厚いタイプ。
百萬 マイコ (ももま まいこ)
ヤマトモリに所属するキーパーの少女。
トキオたちより1歳年上で、豊満なボディを持ったショートカットで優しい雰囲気の美少女。
「百人力の超人」で格闘能力に優れる。
父親が超人で幼い頃から力を使っていた。
星・サンダーク (ほし さんだーく)
ヤマトモリに所属するキーパー兼教官の男性。
金髪ロングヘアとデカくてバランスの悪い濃ゆい顔が特徴のマッチョ。
見た目はエリイの理想の男性。
佐藤 一郎(さとう いちろう)
ヤマトモリに所属するキーパー兼教官の男性。
ホストのような見た目の優男で、残酷さと優しさを併せ持つ。
テレパシーのように脳内イメージを他者に伝えることができる超人。
相手に「とてつもなくエグイ映像」を見せて失神させることもできる。
チャンドラ・ヒューム
「塔の一派」と呼ばれる組織に属する超人。
黒いスーツに身を包んだ神経質そうな見た目の中年男性で、非常に残忍で自分勝手。
「煙の超人」で、高温の煙で敵を攻撃したり、煙を発して飛行したりできる。
エリイが乗っていた飛行機を墜落させ、彼女が超人となる切っ掛けを作った。
辻 ナリ(つむじ なり)
謎の組織に雇われ、トキオを狙った悪の超人。
見た目は明るい見た目のGカップ美女。
「獣化(蛇)の超人」で、巨大な蛇に変身することができる。
ウメザワリリカ
謎の組織に雇われトキオを狙っていた悪の超人。
見た目はマスクをつけた大人しそうな少女で、マスクのしたの口には裂けたような大きな傷跡がある。
「切り絵の超人」で判明している能力は二つ。
ペーパームーン<10月の女王>
自分が切った紙へその形に相応しい「機能」を与える。
ペーパートリップ
触れたものを「紙」に変える(誰かが「紙」に触れることで能力は解除される)。
リカルド・テラー
謎の組織に雇われトキオを狙っていた悪の超人。
クトゥルフ系怪人のような顔面をした男性で「畏怖の超人」。
その能力も非常にコズミックホラー的。
リカルド・テラー・ナイト~おやすみパパ~
私(リカルド)はあなたが怖れるものに姿を変える。
その怖れが大きければ大きい程、恐怖的で強力な力となる。
「超人X」感想&評価(つまらない? 打ち切り?)
「超人X」はつまらない? 打ち切りになった?
さて、ネット上でじわじわ話題になっている「超人X」ですが、その口コミや評価は「面白い」と「つまらない」に大きく二分。
読む人によって大きく意見が異なっています。
「つまらない」という人の評価を見ると、多いのは「東京喰種トーキョーグール」に似通っていて、導入で読む気が失せたという意見。
あとは、異能力バトルものという手あかがついたジャンルというのも大きいようですね。
ちなみに、元々「超人X」は「となりのヤングジャンプ」で不定期連載されている作品ですが、反響が大きかったため、一時期「週刊ヤングジャンプ」で出張連載していたこともあります。
今は「週刊ヤングジャンプ」での連載はしておらず、そのため「つまらない」から「打ち切り」になったのだと勘違いしている人もいるようです(「となりのヤングジャンプ」で連載は続いています)。
逆に「面白い」という人の評価を見ると、序盤は分かりにくかったけれど、読み進めていくうちに面白くなった、という意見が多数。
つまり「つまらない」と「面白い」の境目は、序盤を乗り切って読み進めているかどうかに大きく左右されているのです。
遅効性、序盤さえ乗り切れば面白くなってくる作品
個人的には「超人X」は遅効性の作品。
「面白い」という意見に全面的に賛同します。
同時に、確かに序盤の展開は分かりにくくて、ややアーティステックな印象が強いため、ここで離脱する人がでるのも分かるなぁ、という印象。
「超人」の設定とかは非常に好み。
レイズとかカオスとかはFEARのTRPG「ダブルクロス」に似通って、僕らTRPG好きには非常に刺さりますね。
正直、序盤で読むのを辞めてしまったという方は、もったいないので是非もう少し読み進めていただきたい。
本当に後からじわじわ来るタイプの作品なので、今読んでみればまた印象がガラッと変わるかもしれませんよ。
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