今回はヤングジャンプで連載中の大人気漫画「ゴールデンカムイ」から、物語後半に登場人物たちに大きな影響を与えた重要人物「海賊 房太郎(かいぞく ぼうたろう)」について解説します。
海賊房太郎はアイヌ民族の金塊の行方が記された刺青を持つ囚人の一人。
作中屈指の美丈夫であり、金塊を手に入れ王になりたいという夢を持つ、ゴールデンカムイでは珍しいスケールの大きな陽キャです。
決して善人ではなく、夢のためなら手段を選ばない男でしたが、だからこそその在り方は登場人物に大きな影響を与えました。
本記事では海賊房太郎の過去やモデル(元ネタ)、彼が物語に与えた影響などを中心にその魅力を語ってまいります。
「ゴールデンカムイ」海賊房太郎のプロフィール
基本プロフィール(外見、性格、年齢、誕生日、本名、声優など)
海賊房太郎は身体にアイヌ民族の金塊の行方が記された刺青囚人の一人です。
外見は長く艶やかな黒髪と、独特の眉と髭が特徴的な美丈夫。
杉元より頭一つ高い長身で、手の指の間はヒレのようになっていて足のサイズは36cmと大きく、その名前の通り泳ぎに向いた身体つきをしています。
実際に泳ぎに関しては常人離れしており、息継ぎ不要で30分間、最大200mの深さまで潜ることができるのだとか。
性格は味方である内は明るく気ぶりの良い男ですが、目的(=夢)のためなら手段を選ばず、裏切りや犯罪も一切躊躇いません。
実際房太郎は、泳ぎの腕を利用した55件の強盗殺人に加え、傷害、放火、窃盗まで何でもありの重罪人。
年齢は明かされていませんが、見た目や経歴からすると30歳前後と考えられます。
誕生日は8月13日。
声優は関智一さん。
ちなみに海賊房太郎というのは泳ぎが達者なことからきた通称で、本名は大沢房太郎(おおさわふさたろう)です。
実在のモデル(元ネタ)は海賊房次郎
海賊房太郎のモデル(元ネタ)は、明治時代の北海道で実在した強盗犯、海賊房次郎(本名:大沢房次郎)です。
泳ぎが達者なことから海賊と呼ばれた囚人で、監獄の波止場では水揚げ頭として多くの囚人たちを取り仕切っていたと言われています。
当時としてはかなりの大柄で、故郷の大相撲では大関を張ってきたこともあるのだとか。
名前や経歴、泳ぎが得意なところまで、本当に海賊房太郎そのままですよね。
ただ、実在した房次郎の方は犯罪者ではあったものの、監獄内で自分にしかできない役割、自分の居場所を得て模範囚となっていったと言われています。
「ゴールデンカムイ」海賊房太郎の過去(家族・親分)
疱瘡により家族を失い、迫害された過去(夢・杉元との共通点)
海賊房太郎の過去は杉元佐一に似ています。
北海道の旭川近郊で14人家族の一員として生まれた房太郎は、幼い頃に疱瘡で家族全員を亡くしました。
当時疱瘡は、病気そのものだけでなく、それにかかった者やその家族も恐れられ、疎んじられることが多く、生き残った房太郎も村八分にされてしまったそうです。
主人公の杉元も父親を結核で亡くし、彼自身も村を出ざるを得ませんでした。
杉元と違うのは、房太郎がそれをきっかけに「王様になりたい」という夢を持った点。
房太郎は金塊を手に入れたら、どこか東南アジアの小さな島を手に入れ、そこで家族をたくさん作って王様として暮らしていきたいのだと語ります。
誰にも侵されない自分と家族のための国。
それはシンプルで、とても真っ直ぐで、彼にとっては何物にも代えがたい夢でした。
若山親分相手に色仕掛けまでしたなりふり構わぬ姿勢
国を作り王となるという夢の為であれば、海賊房太郎は一切手段を選びません。
それが良く伝わってくるのが、かつて房太郎が同じ刺青囚人だった若山親分に色仕掛けで近づいたエピソード。
若山親分が男色家だと知る房太郎は、親分が油断した瞬間を狙って殺そうと、男娼まがいのことをして近づいたことが判明しています。
実際には若山親分に見破られ、逆に手下に囲まれてピンチに陥った房太郎でしたが、その時点で親分は刺青囚人の一人・上エ地圭二が刺青を台無しにしていたことで「刺青の暗号はもう解けない」と刺青に興味を失っていたため、殺されることなく見逃されました。
ちなみに、「若山親分」「男娼」と言えば、親分の恋人・仲沢達弥(勿論男)が嫉妬した親分の浮気相手が連想されますが、浮気相手は既に殺されており、房太郎とは別人。
ちなみに浮気相手を殺したのは家永カノです。
「ゴールデンカムイ」海賊房太郎が登場人物に与えた影響
杉元とアシリパの仲を進展させる起爆剤?(好きな人には~)
何度かの衝突はあったものの、互いの目的のために手を組むことになった海賊房太郎と杉元一行。
その道中で房太郎は杉元たちに大きな影響を与えています。
杉元に対しては、今まで他人のためにばかり生きてきた彼に「自分のために生きる」という選択肢をつきつけ、金塊争奪戦後に杉元がどう生きるのかを考えさせていました。
自分と似た過去を持ちながら真逆に生き方をする房太郎の存在は、杉元にとって中々複雑なものだったようです。
そしてアシリパに対しては、杉元への想いをより一層自覚させる役割。
「好きな人には」
「自分の好きなものを」
「好きになってほしいもんねぇ」
杉元に脳みそを食べさせようとするアシリパの心情を目ざとく、微笑まし気に指摘する房太郎。
耳を真っ赤にするアシリパさんはかわいかったですねぇ。
裏切りながらも最期は白石を庇って死亡
一時杉元たちと手を組んだものの、結局裏切ってアシリパを攫い、しかも第七師団にアシリパを奪われていまった海賊房太郎。
再会した杉元にボコボコにされながらも、第七師団からアシリパを取り戻すべく、再び杉元たちと手を組み、宣伝車で鶴見中尉たちが乗るポンプ車を追跡します。
宣伝車を運転していた房太郎はポンプ車に近づきますが、敵の射撃を受けて運転も出来ないほどの重傷を負ってしまいます。
代わりに白石が運転するも、今度は白石が菊田の二丁拳銃に狙われてしまうことに。
絶体絶命の白石を庇ったのは何と房太郎。
「これが王者になる男の勇姿ってやつだ」
「よく見て覚えておけ、シライシ」
「忘れるなよ」
そして息を引き取った房太郎。
房太郎は白石のことは気に入ってはいましたが、身を呈して庇うほどではなかったはず。
にも関わらず白石を救ったのは、白石ならば最後まで生きて、自分のことを覚えて、誰かに語り継いでくれると感じたからなのか。
あるいは、王になることよりそれこそが海賊房太郎の本当の願いだったのかもしれません。
→最終回では白石が房太郎の「王様になりたい」という夢を代わりに叶えており、白石を選んだ房太郎の目の確かさが証明されています。
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