今回はヤングジャンプで連載中の大人気漫画「ゴールデンカムイ」から、見た目は美女、中身はジジイ「家永 カノ(いえなが かの)」について解説します。
家永カノはアイヌ民族の金塊の行方が記された刺青を持つ囚人の一人。
一見すると麗しい妙齢の美女ですが、その正体は狂気の手法によって美と若さを手に入れた元医者の老人であり、れっきとした男です。
本記事ではそんな家永カノの正体(本名や過去など)や活躍(つまみ食い)、最期(死亡)を中心に、そのキャラクターを深掘りしてまいります。
「ゴールデンカムイ」家永カノのプロフィール
基本プロフィール(外見、性格、年齢、初登場、声優など)
家永カノは身体にアイヌ民族の金塊の行方が記された刺青囚人の一人。
外見はその美しさのあまり牛山が熱烈な接吻をし、白石が愛の告白をしたほどの美女ですが、その正体は老人であり男。
実年齢は永倉新八らに近い高齢、60代後半のご老体です。
どうしてそんなことにと思われるでしょうが、家永カノは元医者であり、ある狂気の手法によって(詳細は後述)この美しさと若さを獲得しています。
性格は一言で言うと我慢が効かない男。
自分好みの若くて美しい人間を見ると、つい「つまみ食い」したいという欲求が顔をだします(こちらも詳細は後述)。
本名は「家永親宣(いえながちかのぶ)」で、名前の一部をとって「カノ」と名乗っているようです。
網走監獄を脱獄後は札幌に潜伏しており、ある老夫婦に取り入ってホテルの女将に成りすましていました。
初登場は第50話で、ホテルにやってきた杉元一行と牛山との間でトラブルを起こしホテルは崩壊。
家永カノはその際牛山に命を救われ、そのまま土方一派と行動を共にするようになりました。
声優は大原さやかさん。
実在のモデルは一人ではない?
家永カノのモデルと言われている実在の人物は複数存在します。
その一人がシリアルキラーの「H・H・ホームズ」。
彼が建築した「the World’s Fair Hotel」の構造が、家永カノが潜伏していた札幌世界ホテルに取り入れられているそうです。
また、名前やカニバリズムという繋がりでは、佐川一政やアンドレイ・チカチーロも候補に挙がっています。
「ゴールデンカムイ」家永カノの過去と同物同治
若さと美しさに異常な執着を見せ、同物同治によりそれを実現する
家永カノは若さと美しさに異常な執着を持っており、同物同治という手法によりそれを実現しています。
同物同治とは東洋医学、薬膳の考え方の一つで「身体の悪いところを直すには、食材となる動物の同じ部位を食べるのが良いですよ」というもの。
肝臓が悪いならレバーを食べろ、みたいなことですね。
……で、家永カノはこれを若さと美しさに置き換えた結果、多くの殺人を犯し、カニバリズムに走ってしまったのです。
どう考えても迷信とかまじないの類ですが、家永カノに関しては「効果は抜群」だったようで、実際に若さと美しさを得るに至っています。
ちなみに、初登場では牛山の強靭な肉体、アシリパの美しい目を手に入れようとして色々やらかしていました。
完璧な存在に思えた妊婦の母(過去)
家永カノが今のように若さと美しさに執着するようになったきっかけは、彼の母親にありました。
かつて家永は妊婦だった母親に完璧さを見出しており、出産して赤ん坊を抱いた母親はきっと聖女のような完璧な存在になるのだろうと夢想していました。
しかし母親は階段で足を踏み外して流産。
決して珍しくはない、誰にでも起こり得る事故でしたが、そのことが切っ掛けで家永は美しさと若さに異常な執着を見せるようになったのです。
現在の家永カノの姿は当時の母親の姿と瓜二つ。
あるいは家永カノの若さと美しさを形作っているのは同物同治などではなく、彼の母親への執着なのかもしれません。
「ゴールデンカムイ」家永カノの活躍(つまみ食い)と最期(死亡)
医者としての腕は確かで杉元の命を救う(ただしつまみ食いはする)
家永カノは「ゴールデンカムイ」の王道をいくキャラクターの一人。
つまりは”デキる変態”です。
網走監獄襲撃事件で尾形に銃で頭を撃たれ杉元佐一に脳の外科手術を施し、彼の命を救ったのがこの家永カノ。
脳の一部が損傷するような怪我を負った人間の外科手術を当時の医療技術で成功させたのですから、その手腕たるやまさに天才的と言うほかないでしょう。
……まあ、この時こっそり、杉元の脳の一部を「つまみ食い」していたようですが、これは手術代がわりということで。
ちなみに、家永カノの「つまみ食い」癖はいたるところで顔を出しており、土方一派と行動を共にしていた際も奥山夏太郎の若い肌に食指が動いていていましたが、良識派の牛山先生がそれを押しとどめていました。
完璧な存在となっていくインカラマッを守って死亡
網走監獄襲撃事件以降、第七師団に拘束されて軍医のようなことをしていた家永カノ。
そこで判明したのがインカラマッの妊娠でした。
徐々にお腹が大きくなっていくインカラマッ。
家永は「彼女を食べても自分にそのお腹の曲線は作れない」と理解し、母として完璧な存在になろうとするインカラマッの出産を手伝いたいと申し出ます。
しかしこの時インカラマッは第七師団に、谷垣に対する人質として囚われている状態でした。
インカラマッを連れて逃げようとする谷垣、そこに追手として現れる月島軍曹。
そのピンチを救ったのが家永でした。
彼は月島に睡眠薬の入った注射を刺し、月島を足止めしようとします。
睡眠薬は効いたものの、月島の銃弾を受けてしまった家永。
彼は死の間際、谷垣にインカラマッのことを託します。
「インカラマッさんはこれから完璧になっていく」
「見逃さないで、谷垣さん」
かつて自分が守り得なかった母親を思い、家永は死んでいきました。
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