今回は大人気漫画「ゴールデンカムイ」から、作中でも最も残念でがっかりな刺青囚人「上エ地 圭二(うえじ けいじ)」について解説します。
上エ地圭二はアイヌ民族の金塊の行方が記された刺青を持つ囚人の一人。
物語終盤に登場した刺青囚人の一人で、その道化のような見た目で金塊争奪戦を大いにかき回すのかと思いきや……結局何ら影響を及ぼさなかったがっかりな男です。
本記事では何故どのように上エ地圭二が”がっかり”なのか、その理由や作中での活躍(?)、実在するモデルなどを中心に解説してまいります。
「ゴールデンカムイ」上エ地圭二のプロフィール
基本プロフィール
上エ地圭二(うえじけいじ)はアイヌ民族の金塊の行方が記された刺青を持つ刺青囚人の一人。
年端もいかない子供ばかりを狙うシリアルキラーで、脱獄後は飴売りを装って各地を渡り歩き、子供を殺し続けていました。
外見は顔や全身に自作の刺青を施し、派手な帽子を被った道化師風の男。
その異様な刺青を隠すため、普段は白い布のようなもので顔を覆っています。
とにかく人の「がっかりした顔」を見るのが大好きで常習的に嘘を吐く迷惑な男。
過去には海賊房太郎に(実在しない)叔母が面会したがっていたと嘘を吐き、散々期待させておいて、最後は騙されていたと知った房太郎の顔を見て笑い転げるという悪魔のような振る舞いをしたこともあります。
モデル(元ネタ)は実在したシリアルキラー
上エ地圭二(うえじけいじ)のモデルは「キラー・クラウン」「殺人ピエロ」などの異名で知られるシリアルキラー、ジョン・ウェイン・ゲイシーだと言われています。
ジョン・ケイシーはアメリカの名士の生まれで、普段はパーティーなどでピエロに扮して子供たちを楽しませていましたが、その裏で33人もの人間を殺していたため、死刑となりました。
上エ地圭二とは、名前や主に少年をターゲットとしたシリアルキラーであった点、後述する父親からの抑圧や出生など、非常に共通点が多いです。
「ゴールデンカムイ」上エ地圭二の過去
優秀な父を持ち抑圧されて育った過去
上エ地圭二(うえじけいじ)は函館戦争で武功を立てた新政府軍の軍人を父に持ち、裕福な家庭に生まれました。
しかしそれ故に彼は、父のような優秀な軍人になれ、という周囲の過度な期待に鬱屈した少年時代を過ごすことに。
そしてある日、父親が自分が可愛がっていた犬のジローを処分してしまったことが切っ掛けで、上エ地圭二の心のタガは外れてしまいます。
彼は針を使って自らの額に「犬」という刺青を入れ、父親に見せました。
それは愛犬への想いと父親への反抗心の表れだったのですが、それを見た父親はとんでもなく「がっかりした顔」をすることに。
その父親の表情にこの上ない満足を覚えた上エ地圭二は、以降他人の「がっかりした顔」を見ることがその行動原理となったのです。
子供ばかりを狙うシリアルキラーとなった理由
上エ地圭二(うえじけいじ)にとって刺青を入れる行為とは、父親に失望される弱い自分を脱ぎ捨てるためのものでした。
そしてそれだけで満足できなかった彼は、弱かった頃の自分を思い出させる少年を殺害するするようになってしまいます。
まるでそうすることで、強い自分に生まれ変われると思っているかのように。
多数の子供たちを殺害した彼は収監され、彼の父親はそのことを受けて自害してしまいました。
網走監獄から脱獄した上エ地圭二は、刺青を入れる前と同じ年頃の少年を殺して回りながら、父親と同じくらいがっかりした顔を求める悪魔のような存在となったのです。
「ゴールデンカムイ」上エ地圭二が刺青を台無しにした理由
上エ地圭二(うえじけいじ)は前述した通り、アイヌ民族の金塊の行方を記した刺青を持つ刺青囚人の一人。
しかし彼の刺青は、彼が自ら全身に施した無数の刺青により解読不可能なまでに台無しにされていました。
これはひとえに、金塊を求める者たちのがっかりした顔を見たかったため。
金塊を求めて血みどろの争いを繰り広げてきた者達に自分の刺青を見せ、彼らのがっかりした顔を見たいがための行動でした。
実際、上エ地圭二は登場前に若山親分に台無しになった刺青を見せて、親分をがっかりさせることに成功していました。
「ゴールデンカムイ」上エ地圭二は残念でがっかり(死亡)
札幌で娼婦ばかりを狙った連続殺人が起き、それが刺青囚人の一人、マイケル・オストログの犯行と察した金塊争奪戦の関係者が札幌に集結。
そこに上エ地圭二も現れます。
彼の目的は関係者が一堂に揃った中、台無しになった自分の刺青を見せてみんなの「がっかりした顔」を見ることでした。
目論み通り関係者が一か所に集まった時を見計らって、上エ地圭二は煙突の上に登場。
服を抜いて自分の刺青を見せ、
「暗号はもう解けないよ~」
と渾身の一言を叫んだ……のですが、何故かそれを見た関係者は彼に無関心。
それもそのはず。
既に彼らは、刺青の暗号が24枚すべて揃わなくても解読できる類のものだと気づいていたのです。
それでも彼らが刺青を集めていたのは、何枚あれば解読できるか分からなかったのと、他の勢力を妨害するため。
今更、上エ地圭二の一枚が駄目になっても大した影響はありません。
そのことに思い至らない上エ地圭二は無視されて煙突の上で癇癪を起こします。
「金塊に呪われて醜くなった」
「自分にがっかりしろよ!」
「がっかりしたその顔を」
「僕に見せろぉ!」
その結果、足を滑らせ煙突から落下する上エ地圭二。
しかし落下する最中、窓に映った自分がかつての父親と同じ「がっかりした顔」をしていることに気づき、大喜びしながら地面に激突、死亡しました。
何というか、ただひたすらに残念でがっかりで迷惑な男でした。
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