「送球ボーイズ」感想&評価(ネタバレ注意)~作者のハンドボールへの想いが伝わる力作~


 今回は「裏サンデー」で連載中の「送球ボーイズ」について紹介させていただきます。

 この作品はマイナースポーツであるハンドボールをテーマにした本格スポーツ漫画。中学生から社会人になるまでハンドボールをしていた作者が、ハンドボールへの関心を高めたいという思いを持って手掛ける力作です。
 ルールを知らなくてもスルスル読める、非常にとっつきやすい作品ですので、この機会に是非興味を持っていただければ。

「送球ボーイズ」のあらすじ(ネタバレ注意)

 物語の舞台は富山県氷見市。ハンドボールが盛んで、中学校では体育の授業でハンドボールが必修という珍しい田舎町です。

 そんな氷見市ですが、高校に行くと有力な選手な市外の高校に引き抜かれ、市内の公立校である火鼠高校は結果を残せずにいました。
 しかし物語の4年前、火鼠高校はインターハイ常連校を破ってインターハイに出場その姿に憧れた少年、佐倉凪は火鼠高校ハンドボール部に入部しますが、ずっと補欠で使い走りをさせられる日々が続いていました。
 しかも4年前の勝利以降、火鼠高校の戦績はパッとしません。

 そんな風にくすぶっていた凪の前に、東京から転校してきた少年、志熊栄都が現れます。
 ハンドボール未経験だった栄都。彼はハンドボールに興味を持ち、入部を希望しますが、主将に低身長を理由に入部を拒否されてしまいます。

それでも食い下がる栄都にキャプテンは「栄都が一方的に攻撃して10分間で1本でも点を取れたら入部を認める」とテストをします。
 体格と経験で圧倒される栄都ですが、特技であるミラーリング(模倣)を駆使したシュートで見事に点を取り、入部を勝ち取ります

 物語は栄都と凪、この二人を中心にハンドボール部の成長と躍進が描かれていきます

(補足)
・富山県氷見市は実在するハンドボールの聖地。
・ハンドボールはタックルも有り、身長・体格が非常に重要視されるスポーツ。


「送球ボーイズ」の主な登場人物

志熊 栄都(しぐま えいと)
本作の主人公の一人。東京から引っ越してきて、祖母の家に同居している。
小柄で中世的な顔立ちの美少年で、非常に明るく社交的。
実家がダンススタジオを経営しており、本人もダンス経験者。そこで得た柔軟性、バランス感覚、ミラーリング(模倣)能力を活かしてハンドボール部で躍進する。
必殺技は身体を水平近くまで傾けて放つプロンジョンシュート(ムササビシュート)。
ダンスで失敗して家庭がバラバラになった経験を持ち、そのことがトラウマ。
女装癖がある

佐倉 凪(さくら なぎ)
本作のもう一人の主人公。悩みがちなごく普通の感性を持った少年
ハンドボール部に入ったが、実力ある先輩に囲まれてくすぶっていた。
部内で一番足が速く、スタミナもある。
また頭脳明晰で相手の分析や作戦立案も得意、集中力もあると非常にハイスペックだが、メンタルがとても弱く本番で実力を発揮できないタイプ
アニメ好きで田舎の暮らしにウンザリしており、都会に憧れている。
なお、女装した栄都に一目惚れした不憫な男。

大月 雪弥(おおつき ゆきや)
ハンドボール部の2年生キャプテン。大柄でメガネ。
頑固で真面目な性格で、熱意もある実に理想的なキャプテン。ただ、過去のいい加減な先輩たちに嫌気が指したのか、物語序盤はかなり他人に攻撃的な面が目立つ。
なお、メガネは先端恐怖症でコンタクトレンズがつけれない(途中で克服する)

鹿毛 祥(かげ しょう)
ハンドボール部の2年生副キャプテン。手足の長い細身のオネエ。
温和な性格で人当たりも良い。ただししばしば口調がオネエとなる。
ハンドボール部のキーパー。

福田 大芽(ふくだ たいが)
ハンドボール部の1年。坊主頭、熱血、バカと3拍子揃った典型的なアレ
肉と筋トレを愛し、友情に厚い馬鹿。そしてモテない。
某バレー漫画の坊主に似ている。

石垣 花(いしがき はな)
ハンドボール部2年生マネージャー。小柄だがクールな美人で、とてもモテる。
ハンドボール経験者で、あまり異性に興味がない。
犬が苦手で凪の幼馴染。


「送球ボーイズ」の感想と評価、アニメ化は?

ハンドボールへの熱い思いが伝わる力作、ルールを知らなくても面白い

 作者がハンドボール歴豊富ということもあり、ハンドボールのルールや技術、地域性なども含めて非常にリアルな本格派の作品となっています(若干、漫画らしい演出はありますが、そこは許容範囲でしょう)。

 作者の基本的な画力も高く、一人一人のキャラクター設定もとても精緻で、熱意が伝わってくるような力作であることも買いですね。

 強いてこの作品の課題を挙げるなら、ややインパクトに欠けることでしょうか。
 リアルにハンドボールという競技を描いているので、ある程度やむを得ない部分はありますし、変に必殺技とか演出過多になるのもどうかとは思いますが、もう少しキャラクターが立ってくれば、という気はします。

今後の展開、アニメ化はある?

 さて、2021年4月現在でコミック18巻まで連載が続いている人気作。
 当然アニメ化などが気になってくるとは思いますが……正直に言って、今のままではアニメ化は厳しいのかな、と感じています

 根強い固定ファンはいますし、間違いなく面白い。しかしややインパクト、爆発力に欠けること、ハンドボールというマイナースポーツがテーマであることから、アニメ化のハードルは高いような気がします(いっそ、「灼熱カバディ」レベルのマイナースポーツがテーマなら、それだけでインパクトはあったでしょうけどね)。

 ただ、実際のハンドボール競技の動向、コラボなどが絡んでくれば、アニメ化もワンチャンあるような気はします。

 ハンドボール日本代表が国際大会で優勝とかしたら……(なお、ながらく日本代表はオリンピック出場も逃している模様)。


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