今回はTRPGリプレイ、その中でも日本で最も有名かつスタンダードな作品「ソードワールド」の中から、特におすすめのシリーズを5つ、紹介させていただこうと思います。
「TRPGって何?」「リプレイってどういうもの?」という、全く聞いたことが無いという方にもわかる内容となっておりますので、是非これを機に興味を持っていただければ幸いです。
TRPGって何? リプレイって?
「TRPG」とは「テーブルトーク・ロール・プレイング・ゲーム」の略称で、平たく言うと「みんなでテーブルを囲んで役割を演じるゲーム」のことです。
演じる役割は人それぞれ。戦士や魔法使い、盗賊、時にはドワーフやエルフといった他種族を演じることも珍しくなく、皆がそれぞれの役割を演じ、協力することでゲームは進行していきます。
必要なものはサイコロと紙と鉛筆、お菓子と飲み物があればなお良しです。
ゲームは数人で遊びますが、その内一人はGM(ゲームマスター)としてシナリオの進行役を担当することになります(GMの呼称は、ゲームの種類によって変わることがあります)。
自分たちが作ったキャラクターを演じながら、GMが用意したシナリオをプレイヤーの判断とサイコロの出目をたよりに進めていき、物語を作り上げていくわくわく感はRPGならではのもの。
コンピューターゲームとかでもRPGという言葉は使われていますが、元々RPGと言えばこのTRPGを指す言葉だったんですよ。
コンピューターゲームと違って、ルールを厳密に順守する必要もなく、時にはファジーな判断をすることができるところも、TRPGの魅力です。
そして「リプレイ」というのは、実際にTRPGを遊んだ様子を読み物として書き起こしたもの。
TRPGを知らない方にもTRPGの遊び方、魅力を分かりやすく伝えられる内容となっており、純粋に読み物としても非常に面白いです。
またプレイヤーたちの会話が大半を占めていますので、小説とか文章を読むのが苦手な方でもストレスなく読むことができると思います。
キャラクターのデータとかを読み込んだり、考察することが大好きという方には特におすすめですね。
今回紹介する「ソードワールド」とは日本で最も有名なTRPGの一つで、スタンダードな剣と魔法のファンタジー世界を題材としたものとなっております。
何度かルール改定が行われており、旧版の世界観はあの「ロードス島戦記」や「魔法戦士リウイ」と世界観を同一にしているんですよ。
ちなみに、TRPG用語集を作成しましたので、興味のある方はこちらからどうぞ。
①「へっぽこーず」(新ソードワールドRPGリプレイ集)
日本のTRPGの復権のきっかけにもなった、旧版ルールでのシリーズ作品です。
GM(リプレイはGMがそのまま作者となります)は秋田みやび先生という女性なのですが、ほとんどTRPG未経験という初心者で、非常にマスタリング(ゲーム進行)も拙く、最初は失敗してばかりでした。
そうした初心者でもTRPGができるという実例、GMの成長も含めて、当時下火だったTRPG人気を再燃させた作品です。
内容は人類最高の筋力を持つ正義の神官戦士イリーナと、ほら吹き魔術師のヒースらが結成した初心者パーティが国家を救う英雄にまで成長する物語。
ですが彼ら、最初の冒険ではゴブリンに一杯食わされて冒険失敗から始まるヘッポコぶり。ついた通称が「へっぽこーず」というわけです。
リプレイとしては珍しく10巻にも渡って連載された長編シリーズとなっております。
②「ぺらぺらーず」(新ソードワールドRPGリプレイ集NEXT)
「へっぽこーず」に次いで、新米GM第2弾として始まったのが「ぺらぺらーず」です。
この作品でもGMは新人の藤澤さなえ先生という女性だったのですが、前作との違いは、プレイヤーたちの熟練具合と、主人公(?)クレスポの貧弱さでしょう。
「へっぽこーず」ではプレイヤーたちもヘッポコで失敗も多かったのですが、「ぺらぺらーず」ではプレイヤーたちが非常に狡猾な戦術を駆使してGMを翻弄します。
それもそのはず「ぺらぺらーず」は全員が盗賊ギルド所属という異色のパーティ。ほとんどまともに戦うということがありません。
そして主人公の少年クレスポは非常に生命力・精神力ともに貧弱で(キャラクター作成時のサイコロの目が振るわなかった)、平均の半分以下。戦ったらすぐに死んでしまいそうなので、戦いを避けざるを得なかったという側面もあります。
パーティ全員が紙装甲だったことからついた通称が「ぺらぺらーず」。戦うだけがRPGじゃない、というお手本のような作品ですね。
③「新米女神の勇者たち」
さて、ソードワールドは大きく二度ルール改訂をしており、その第1弾「ソードワールド2.0」の発表と共に始まったのが、この「新米女神の勇者たち」シリーズです。
GMは「へっぽこーず」の秋田みやび先生。
「ソードワールド2.0」は旧版ルールとは世界観を一新しており、人と神の垣根が非常に近く、より豪快な戦いを再現できるルールとなっています。
物語としては、約250年前に人から神になったばかりの新米女神のために、魔法戦士のジークやエルフの神官エアたちが奔走する内容となっており、続編も含め15巻にも渡って連載された、恐らくソードワールドリプレイで最も人気のある作品でしょう。
④「千竜と刃の革命」
こちらは「ソードワールド2.0」によるリプレイシリーズの一つで、ドラゴンライダーをテーマにした内容となっています(プレイヤーにドラゴンライダーはいませんが)。
全3巻のシリーズで、何故この作品を紹介したのかというと……それは作者の「ベーテ・有理・黒崎」について知って欲しかったからです。
ベーテはTRPGが盛んなアメリカで育った巨漢のアメリカ人(ハーフ)で、アメリカ仕込みの豪快なマスタリングは圧巻の一言。
ただ、彼の手がけたシリーズはどれもキワモノが多いため、まずは比較的スタンダードなこのシリーズから読んで彼に興味を持ってもらえたらなぁ、と。
⑤「バブリーズ」(ソードワールドTRPGリプレイ第三部)
ソードワールドを語る上で、この作品を避けて通ることはできないでしょう。
1990年代に旧版ルールで連載された全4巻のシリーズ作品で、TRPGファンからは不朽の迷作(誤字に非ず)として愛される「バブリーズ」。
これまで紹介したシリーズと異なり、GMもプレイヤーもベテランぞろい。
とにかくルールの穴を突いたようなえぐいプレイスタイルと数々の迷言で話題となりました。
そして「バブリーズ」の名前の由来。それは危険な任務解決のために、GMがうっかり与えてしまった「スケープドール」というマジックアイテムが実はとてつもなく高額なアイテムだったことにプレイヤーたちが気づき、それを売却して莫大な利益を得たことに端を発します。
その売却益で高価な装備品を買い込み、高価な消耗品を湯水のごとく使い、冒険者や傭兵を雇って同行させるなど金にものを言わせた戦術で繰り広げられる快進撃はまさに爽快そのもの。
彼らのバブル景気は物語の最期まで弾ける兆しを見せませんでした。
彼らが原因でマジックアイテムの価格や消耗品のルールが後にガラッと変更になっていますから、その影響力たるや……
ちなみにパーティメンバーの一人、エルフで途中肌が黒くなったことで有名なスイフリーのプレイヤーはロードス島戦記の作者、水野良先生だと言われています。
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