ワールドトリガー「逃亡者編」~アニメオリジナルエピソード、ゼノとリリス、再放送でカットされた理由、原作との矛盾など~

 今回は大人気漫画ワールドトリガーから、かつてアニメ第1期後半に放送されたオリジナルエピソード「逃亡者編」について解説いたします。

 ワールドトリガーをアニメ第2期から、あるいは最近知ったファンの方は、この「逃亡者編」を全く知らない方も少なくないでしょう。

 当時ファンの間でも何かと物議を醸しだしたこの「逃亡者編」、実はアニメ再放送でもまるまるカットされており、第2期では既になかったことにされています。

 どんなエピソードだったのか、何故そのようなことになったのか、当時を振り返りながら語っていきましょう。

ワールドトリガー「逃亡者編」のあらすじ(何話から何話まで?)

乱星国家エルガテスからの逃亡者を中心に描かれるアニメオリジナルエピソード

 アニメオリジナルエピソードは、B級ランク戦ラウンド3からラウンド4の間に挟み込まれた1週間ほどの物語です。

 玉狛第二はB級上位との戦いを前に、三門市を離れ合宿所のある四塚市で強化合宿を決行します。

 そんな彼らの前に現れたのは、乱星国家エルガテスから逃亡してきたトリオン兵を操る少年ゼノと、彼に付き従う少女リリス

 エルガテスから追われているゼノたちは千佳を人質にとり、一時的に自分たちを匿うよう要求します。やむを得ずゼノたちに協力する玉狛第二。

 そんなゼノたちを狙ってギーヴという男と、彼に従う自立型トリオン兵カロンが襲い掛かってきます

 やがて判明するギーヴたちの狙いとリリスの正体。
 実はリリスは人ではなく、エルガテスで作られた最新鋭の人型トリオン兵だったのです。

 ゼノは実戦投入されそうになったリリスを連れ出し、ギーヴたちはそれを追ってきたという構図ですね。

 戦いの中でを人質に取られ、ギーヴたちとの決戦に挑む遊真たち。

 遊真たちに追い詰められたギーヴ、そしてカロンは最後の手段に出ます。

 実は本人も知らなかったことですが、ギーヴもまた人ではなく人型トリオン兵でした。

 カロンはギーヴに四塚市民から吸いあげたトリオンを注ぎ込み、強化・暴走させ、遊真たちにぶつけてきます。

 完全に制御不能となったギーヴはカロンに自爆させられそうになりますが、それに抵抗し、カロンを道連れに消滅していきました。

 そして戦いの後、追手を逃れたゼノとリリスは別の星へと旅立っていったのです。

アニオリ貴重な水着回も、再放送ではまるまるカット

 このアニメオリジナルエピソードは当時49話から63話まで15話に渡って放送されました。

 当初の予定では48話で終了予定だったようですが、アニメが好評だったため続くこととなり、繋ぎのために急遽オリジナルエピソードを挟み込んだようです。
 そのため、原作者である葦原先生もほとんど関与できていなかったみたいですね。

 56話には貴重な水着回もあったりと、中々原作にはない展開だった「逃亡者編」でしたが、後の再放送ではまるまるカットされ、アニメ第2期でも既になかったことにされています

 詳しくは後述しますが、このエピソードを残していると色々設定上矛盾がでてきちゃうんですよね(話の良し悪しは別にしたとしても、ね)。


ワールドトリガー「逃亡者編」のオリジナルキャラクター

ゼノ~トリオン兵を愛する天才エンジニア~

 乱星国家エルガテスから逃亡してきた天才エンジニアの少年。

 性格は口が悪くてプライドが高く、ナチュラルに他人を見下して「友達がいない」タイプ。

 警戒心が強く、人間嫌いの気があり、当初は遊真たちに対しても全く気を許していなかった。

 粗暴そうな見た目に反して、トリオン兵のエンジニアとしては非常に優秀。
 ただし、自分のトリオン兵を家族同然に可愛がっていたため、(その他性格的なものもあって)周囲からは孤立していた。

 そんな中、たまたま忍び込んだ研究所で「トリオン兵」の「美少女」リリスという、彼の性癖にドストライクの存在と出会い、ハートを射抜かれる。

 そしてリリスが自分との思い出を抹消され、兵器として実戦投入されることを知り、彼女を連れてエルガテスから逃亡した。

 ……ゼノのこの行動を純愛ととるか、ただの窃盗ととるかは、見た人の判断に委ねたい。

リリス~「麗しき破壊の女神」と呼ばれる謎の少女

 乱星国家エルガテスからゼノとともに逃亡してきた少女。

 ゼノと対照的に非常に社交的で天真爛漫な性格の持ち主で、すぐに玉狛支部のメンバーとも仲良くなった。

 その正体は人間ではなく、エルガテスの科学者Dr.ラミアによって作られた最新鋭の人型トリオン兵。

 追跡者であるギーヴからは「麗しき破壊の女神」とも呼ばれ、戦闘モードになると姿が変化して凄まじい戦闘能力を発揮する。

 その容姿を活かしてスパイ活動や破壊工作をすることも視野に開発されており、実は研究所でのリリスとゼノの交流はテストケースとしてしっかりモニタリングされていた。

 トリオン消費が大きいことが欠点で、定期的にトリオン供給を受ける必要がある。

 作中では吸血鬼のごとくゼノの首筋に噛みついていたが、後に千佳がリリスにトリオンを分ける際は胸に手を当てるだけだったので、噛みついていたのは高度な彼らのプレイだったと推察される。


ワールドトリガー「逃亡者編」の感想と評価

原作との矛盾、キャラ崩壊、コレジャナイ感が強い

 まず感想としては、とにかく原作との矛盾が多い

 大きなところでは次の三つでしょうか(細かく言えばキリがない)。

 陽太郎雷神丸の前でトリオン兵にボコボコにされる。
 ②三門市以外に大きな被害が出る。
 ③ランク戦の日付が1週間ズレる。

 ①は後に判明したことですが、雷神丸は実は陽太郎を守る使命を持った強力なトリガーなので、陽太郎が傷ついたら町が火の海になっていたはずです。

 ②はボーダーはゲート誘導システムで三門市以外にゲートが開かないようしているので、三門市の外に被害が出るってあり得ないし、実際にあったら組織が崩壊しかねない大問題なんですよね。

 ③は小さいことのようですが、原作では日程を細かく管理してランク戦とか遠征なんかのスケジュールが決まっていますから、1週間でもズレると話が噛み合わなくなります。

 こうした矛盾が「逃亡者編」が再放送ではまるまるカットされ、第2期ではなかったことにされている理由でしょうね。

 加えて言うなら、「逃亡者編」では登場人物のキャラ崩壊がひどいです。

 「考えて動ける」ボーダー隊員がどこかバカっぽくで呑気だったり、千佳の警戒心がやたら薄かったり、クールな遊真が感情剥き出しに怒るとか、違和感バリバリ。

 とにかく、「コレジャナイ感」が凄かったです。

「つまらない」とは言わないが、正直「見なくていい」

 別に「逃亡者編」をつまらないと言うつもりはありません。

 アニメオリジナルエピソードなんて、大なり小なり原作と乖離して違和感があるものですし、そこに目くじらを立てても仕方ありません。

 矛盾や違和感に目をつむれば、それほど悪い出来でもありませんしね。

 アニメオリジナルエピソードを偏見なく、端的に評価するならこうです。

「ワールドトリガーの設定でよくある子供向けアニメを作ったらこうなるんだろうな」

 もし逃亡者編を見たことがない人で、見るべきか迷っておられたら、こうお伝えします。

「見なくていい」

 見ても話が繋がりませんし、多分期待しているものとは違う。

 ワールドトリガーと名がつくものなら全て見たいし知っていたいという方でなければ、敢えて見る必要は薄いでしょう。

 ……まあ、怖いもの見たさに見てみる、というのはありかもしれませんね。



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