今回は山口つばさ先生が「アフタヌーン」で連載中の青春アートストーリー「ブルーピリオド」から、藝大受験編における最大の功労者「大葉 真由(おおば まゆ)」について解説します。
大葉真由は主人公の矢口八虎が通う予備校・東京美術学院の講師。
大きな身長とすごく大きな声が特徴の明るい女性で、的確にアメとムチを使い分けた指導で八虎を藝大合格に導きました。
ただ明るいだけではなく人情家で、作中では数々の名言で知られる大葉先生。
本記事ではそんな彼女のプロフィールや名言を中心に解説してまいります。
「ブルーピリオド」大葉真由(大葉先生)のプロフィール
基本プロフィール(誕生日、年齢、身長、声優など)
誕生日 | 12月30日 |
年齢 | 不明 |
身長 | 185cm |
所属 | 東京美術学院(予備校)講師 |
声優 | 和優希 |
大葉真由(以下、大葉先生)は主人公の矢口八虎が通う東京美術学院(予備校)の女性講師。
作中では八虎が本格的に予備校に通うようになった高3から彼を担当し、明るく的確な指導で八虎の実力を高めてくれました。
メインキャラである高橋世田介、桑名マキ、橋田悠も大葉先生の生徒です(世田介は途中で予備校を辞めちゃいましたけど)。
大きな身長とすごく大きな声が特徴の名物講師。
常に朗らかな雰囲気を漂わせていて、緊張感高まる受験間際でも話の頭に水棲生物のプチ雑学をぶっ込むなど、ハイテンションを崩しません。
ちなみにプライベートでは3児(全員息子)の母で、家でもやはり声はでかいようです。
藝大受験編における最大の功労者
大葉先生は高校2年から絵を描き始めた未熟な八虎を、1年足らずで美大の最難関・東京藝術大学に合格させた藝大受験編最大の功労者です。
勿論、八虎が合格したのは彼が努力したからこそですが、いくら八虎が努力しようと、その方向性がずれていたらとても藝大受験には間に合いません。
足りないものだらけであれもこれもと学ぼうとする八虎に対し、今一番必要なものは何か、課題を明確にしてくれたのが大葉先生でした。
八虎もそれに先生が驚嘆するほどの数の課題をこなすことで応えます。
藝大受験編はある意味、八虎と大葉先生のスポコン物語でもありました。
大葉先生にとっても八虎は印象的な生徒だったようで、八虎の卒業後も予備校でしばしば話題に出しているそうです。
「ブルーピリオド」大葉真由(大葉先生)の的確な指導
それでは作中で、大葉先生が八虎にどのような指導をしたのか、具体的に見ていきましょう。
課題①絵作り(自分の好きを知る)
八虎の担当になって大葉先生が最初に与えた課題は「絵作り」。
それまで八虎は、美術部でデッサンを中心に基礎的な技術ばかりを学んでおり、「自分の絵」を描くということをやってきませんでした。
要は八虎の絵は、作者の想いが投影された「作品」ではない、ということ。
そのためにまずは、色んなものに触れて自分の好きなものを知る。
まさに作家としての第一歩ですね。
課題②構図
色んな絵に触れて、好きな絵の模写をしてみても、ただ上澄みをすくったような絵にしかならない八虎。
大葉先生が与えた次の課題は「構図」でした。
全ての名画に共通するものは「構図」。
構図で大切なポイントは、
①大きな流れがある
②テーマに適している
③主役に目が行く
④四隅まで目が行く
構図も絵作りの一環ですが、どんな作品が良いものなのか感じることが出来なくては、構図の意味を理解することはできません。
順を追って学ぶことこそが重要だったわけです。
この構図は頭の良い八虎とは相性が良く、後々まで彼の重要な武器になっていきます。
課題③対応力(自分勝手力)
続いて大葉先生が与えた課題は「対応力」。
ただ”あるもの”を描くだけでなく、「『わたしの大事なもの』をテーマに描きなさい」とかいった課題に対応する力ですね。
言い換えれば「自分勝手力」。
楽しんでしまう力です。
真面目で自分に自信がない八虎にとっては一番苦手な分野で、最後まで八虎はこれに悩まされることになります。
これを八虎は美術部の森先生や友人たちのアドバイスもあって何とか克服。
ギリギリで受験に間に合わせることになります。
この他にも八虎は早くから「色」について学ぼうとしたり、色んな分野に手を出そうとしていましたが、それをそっと押しとどめ、扱う「武器」を明確にしてくれたのも大葉先生。
色んなモノに手を出して中途半端になるより、「武器(=長所)」がはっきりしている方が作品として魅力的ですからね。
生徒間で互いに作品やスケッチブックを講評させ、互いの良い所を見つけさせるなど色々工夫をこらしていました。
「ブルーピリオド」大葉真由(大葉先生)の名言
それでは最後に、大葉先生の数々の名言を紹介してシメとさせていただきます。
「矢口にとって」
「縁は糸の形してた?」
「本当にしてたならそれでいい」
イメージ課題で「縁=糸」と安直な反応を返してきた八虎。
課題を深掘りできていないことは明らかですが、大葉先生はただ問題提起だけをし、八虎に自分で考えることを促します。
指導者としてのセンスを感じる言葉ですね。
藝大合格作品と自分の作品を比較し、どうやったら自分の絵をそこまで引き上げられるか尋ねる八虎。
大葉先生はそれを意味がないとバッサリ切り捨てます。
「1位の絵じゃなくて」
「矢口の『最高の絵』を」
「目指さなきゃね」
良いものを知ることは大切ですが、比較し過ぎて自分を見失っては意味がない。
絵だけでなく様々なことに通じる至言ですね。
「マジメさに価値があるのは」
「義務教育までよ」
周囲の空気を読み過ぎてしまう、作家としての八虎の悪癖。
それを大葉先生は「イイ子でいることを評価してくれるのは、そうだと楽な先生と親だけでしょ?」とバッサリ切り捨てました。
大葉先生にとっても心苦しい発言だったでしょうが、八虎に「対応力(=自分勝手力)」を身につけて欲しいと期待を込め、敢えて厳しい言葉を投げかけています。
「努力は運の幅を」
「広げてくれるじゃないの」
「先生たちが生徒の努力」
「認めなくてどうすんですか」
今年の油画は現役生にとって運の良い課題だったなと話題にする予備校講師を笑顔で嗜める大葉先生。
内心ブチ切れてるんだろうなーと想像しながら読むと非常に良いです。
「作品は」
「諦めたらそこで完成よ」
藝大に合格し、これまでの感謝を告げる八虎に送った最後の言葉。
某有名バスケ漫画のパロディですが、これから八虎に待つ苦難の藝大生活を案じながら送った言葉なのだと理解しながら読むと、続く言葉と併せて一層その奥深さが理解できます。
「でも受かったときの」
「嬉しさって」
「ほんとに一瞬だから」
「今は」
「たくさん浮かれましょ」
コメント