今回はくずしろ先生がヤングガンガンで連載中、血の繋がらない姉と妹のどこか切ない関係を描いた「兄の嫁と暮らしています。」について紹介します。
この作品はたった一人の血縁だった兄を無くした高校生の少女と、その兄の妻だった女性が、互いを想い合い、寄り添いながら暮らしていく様を描いた物語。
2人の互いを想い合うからこそすれ違う、ちょっと切ない距離感が尊い良作です。
本記事ではただの家族愛とも百合とも言えない2人と、彼女たちを取り巻く人々との関係が描かれたこの作品の魅力について語ってまいります。
「兄の嫁と暮らしています。」あらすじ(ネタバレ注意)
主人公の岸辺志乃は17歳の女子高生。
幼い頃に交通事故で両親を亡くし、兄の大志と二人で暮らしていましたが、その兄も結婚。
義理の姉である岸辺希と三人で暮らすようになります。
しかし半年前、大志は風邪をこじらせ亡くなってしまいました。
義姉である希は身寄りのない志乃の面倒を見るため、そのまま志乃と二人で暮らしていくことを選びます。
志乃は希が自分と一緒に暮らしてくれていることを有難く思いつつも、自分の存在がまだ若い希の重荷になっていることに引け目を感じていました。
一方、希はそんな志乃の遠慮を感じ取り、自分が頼りないから志乃が頼ってくれないのだと寂しさを感じています。
二人の大志を亡くした傷はまだ癒えておらず、互いの向こう側に大志の影を見つけながら、傷をなめ合うように過ごす日々。
互いを想い合いながらも一歩踏み込めず、二人で過ごす日々に幸せを感じながら、その幸せに浸りきれない。
これはそんな不器用な義理の姉妹、そして二人を取り巻く優しい人々との関係を描いた物語です。
「兄の嫁と暮らしています。」主な登場人物(ネタバレ注意)
岸辺 志乃(きしべ しの)
本作の主人公で17歳の女子高生。
外見は色素の薄い髪を肩のあたりで切り揃えたシャープな顔立ちの少女。
性格は一見クールで飄々としているが、意外と依存心が強いタイプ。
義姉である希のことは心から慕っていて、自分と一緒に暮らしてくれることを嬉しく思っている反面、自分がまだ年若く将来のある希の足かせとなっていることを申し訳なく思っている。
学業成績は非常に残念で、あまり真面目とは言えない生徒だったが、教師である目時の言葉もあって前向きに取り組んでいくようになる。
岸辺 希(きしべ のぞみ)/(旧姓:小西)
本作のもう一人の主人公で、小学校の教師を勤める24歳の女性。
志乃の兄、大志と結婚して志乃の義理の姉となり、大志が亡くなったあとも志乃の世話をするため一緒に暮らしている。
外見はロングヘアのほんわかした雰囲気の美女で、やや抜けているように思われることが多いが、中身はしっかりした優等生タイプ。
志乃のことはとても大切に思っていて、大志の思い出を共有できる志乃の存在に癒され、ややもすれば依存さえしている。
志乃の保護者としてしっかりしようと奮闘しているが、志乃が自分に甘えてくれないことを寂しく感じている。
岸辺 大志(きしべ たいし)
志乃の兄で希の夫。
物語開始半年前に風邪をこじらせそのまま亡くなっている。
幼い頃に両親を亡くし志乃と二人で暮らしていて、その仲は非常に良好だった。
互いに日々の出来事を報告し合い、何かあれば手帳に記念日として残し、希との交際の状況さえ志乃には筒抜けだったもよう。
樋浦 翔太郎(ひうらしょうたろう)
志乃の幼馴染でクラスメイトの男子。
兄の大志とも仲が良く、昔はよく一緒に遊んでいた。
ゲーム好きで、ゲーム機のない志乃の家で遊ぶ際はゲーム機ごと持ってきて遊ぶのが通例となっており、今でもしばしばゲームソフトとセットでゲーム機を志乃に貸している。
ゲームばかりやっているようで、意外に成績は悪く無い。
樋浦 律子(ひうらりつこ)
翔太郎の姉。
大志の幼馴染で、希の高校時代の親友でもある。
高校時代に希と大志の恋を実らせた立役者。
アメリカで働いていたが、突然仕事を辞めて帰国してきた。
非常にバイタリティ溢れる女傑で、弟と同じくゲーム好き。
みなと
志乃の幼馴染でクラスメイトの女子。
スポーティーな雰囲気の長身の少女で、一見ざっくばらんで適当だが、意外と周囲をよく見ており、志乃のフォローに回ることが多い。
中学時代はバレーボールで県選抜に選ばれたこともある。
目時(めとき)
志乃の学校の男性教師。
地理担当で、以前は大志や希の担任だったこともあり、兄を亡くした志乃のことを何かと気にかけている。
勉強しなければならない理由は、「自分の進路の幅を広げるためであり、将来やりたいことができた時に諦めたり苦労しないようにするため」というのが持。。
「兄の嫁と暮らしています。」感想&評価
この2人の関係は百合なのか、家族愛なのか……
第一印象は、志乃と希の義理の姉妹の距離感が非常に近くて切なくて、これは果たしてただの家族愛と呼んでよいのだろうか、というものです。
ただ義理の姉妹が本当の家族になるまでを描いた物語にしては、ちょっと距離感がおかしいんじゃないの、と。
勿論、それはそれで非常に尊い印象がして良いですし、こういう家族愛があっても良いのですが、互いにちょっと真剣すぎて百合百合しく感じてしまうんですよね。
勿論、実際の百合描写は全くないし、そういうことを感じる方が不純で間違ってるというのは理解してるんですが、作者は絶対意図的に匂わせてますよ、これは。
1話1話は非常に短く読みやすい、互いを想い合う2人がただただ切ない
そうした百合かそうでないか論争を別にすると、物語は1話1話が非常に短く、その上で全体にしっかりとした骨子があるのでとても読みやすい作品です。
絵も非常に綺麗で、媒体は少年漫画ではありますが、女性にも受け入れられやすいのではないでしょうか。
むしろストーリーを考えると女性向きかもしれません。
中々ジャンル分けしづらい内容ではありますが、志乃と希の関係性が非常に不器用でじれったく、思わず感情移入してしまう良作。
試し読みもできますから、是非是非一度読んでみてはいかがでしょうか。
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