今回は人気配信者の「ぱぱびっぷ」氏と「まだら牛」氏が発表した無料かつ商用利用も可能なTRPG「エモクロアTRPG」について紹介したいと思います。
ルールブックがネット上で公開されていますが、システムは非常にシンプル。
キャラクターの作り込みや育成要素はほとんどなく、会話やロールプレイが軸となるタイプのゲームという印象を受けました。
手軽にTRPGを遊んでみたいという方には、無料という部分も含めおすすめのゲームです。
なお、「そもそもTRPGって何?」という初心者向けの解説記事も別途用意しておりますので、興味のある方はリンクからご覧になってください。
「エモクロアTRPG」製作者
「ぱぱびっぷ」氏
さて、エモクロアTRPGの製作者の一人である「ぱぱびっぷ」氏。
彼はTRPGセッションの配信、企画、シナリオ、動画の製作などを行っている配信者で、現在のようにTRPGセッションの配信が一般的となる前から活動されていた先駆者の一人です。
配信者としてだけでなく、「にじさんじ」が発表したマーダーミステリー「消えた緑仙の謎」では、川上草魚さんとともにシナリオ製作を担当してらっしゃいます。
「まだら牛」氏
もう一人の製作者である「まだら牛」氏。
彼もまた古参のTRPG配信者の一人であり、同時に登山関連のメディア制作をにも携わっているという異色の存在です。
その二つを組み合わせて生み出されたクトゥルフ神話TRPGシナリオ「狂気山脈~邪神の山嶺~」と、実際にそれをプレイした「登山家たちのクトゥルフ神話TRPG」は彼の代表作ですね。
また、対戦カードゲーム「OVERЯOID」の監修者としての一面も持っておられます。
チーム「ダイスタス」
「ぱぱびっぷ」氏と「まだら牛」氏のお二人がチームを組んで結成したのが「ダイスタス」。
この結成発表と同時に、ネット上で「エモクロアTRPG」が公開されました。
「ダイスタス」はTRPGが表現者にとって、開かれた自由に利用できるツールとなることを目指して、TRPGの二次創作は勿論、商用利用についても認めています。
自分たちのような配信者、そしてそれを楽しむユーザーが、より自由に安心して活動できる場を提供したい、という思いあっての活動なのでしょうね。
「エモクロアTRPG」の概要
世界観と特徴~ライトな怪異もの、クトゥルフに近いシステム~
「エモクロア」とは「Emotional(感情)」+「Folklore(伝承上の存在)」を組み合わせた造語で、人の感情に変異を及ぼし、不可思議な事件を引き起こす怪異のことを指します。
代表的なところでいくと「アマビエ」「アンゴルモア」「こっくりさん」「くねくね」などでしょうか。
プレイヤーは「共鳴者」と呼ばれ、怪異そのもの、あるいは怪異が引き起こした事件などに共鳴し、事件の当事者となった存在です。
ほとんどの共鳴者はごくごく普通の一般人。特別な力を持つ者もいないではありませんが、それにしたってちょっとした「霊感」だったり、武術を学んでいる程度です。
「エモクロアTRPG」はそんな一般人が怪異にまつわる事件を四苦八苦しながら切り抜けていくホラーTRPG。
クトゥルフと比べるとかなりライトな内容ですが、クトゥルフの「SAN値」に代わってエモクロアでは「共鳴レベル」が存在し、怪異に近づきすぎて共鳴レベルが10を超えると、キャラクターロストしてしまうシステムになっています。
まあ、セッション終了後は共鳴レベルがリセットされますから、クトゥルフと比べるとかなり優しいシステムです。
ルール(キャラクター作成、判定、戦闘、成長など)
キャラクターは「身体」「器用」「精神」「五感」「知力」「魅力」「社会」「運勢」の8つの能力値を持ち、運勢以外の能力値に各1~6、合計25を自由に割り振って作成されます(運勢だけはダイスを振って決めます)。
またそれに加えて30ポイントの技能ポイントを割り振って技能を取得することになるのですが、「霊感」や「奥義」のような特殊な技能を最大レベルで取得しようとすると、それだけで技能ポイントを使い切ってしまいますから、超人的なキャラクターは作ることができません。
ベースが決まったら、後はそのキャラクターが共鳴しやすい感情を設定し、背景を決めて完成です。
判定はDL(このゲームにおけるGM、ゲームマスター)から指定された技能のレベルと同じ数のダイスを振り、判定値以下のダイスがいくつあったかで決まります。
普通は1個判定値以下のダイスがあれば良いのですが、難しい判定の場合は2個以上の成功を求められることもあります。
戦闘も上記判定の延長で、運動や武術系の技能を持っているとダメージが増加するイメージですね。
また、このゲームではシナリオをクリアしてもキャラクターは基本的に成長しません。
つまりどうあがいても超人的なキャラクターは作れないということです。
その代わりに、シナリオクリア報酬として「残響」を一つ獲得することができ、それを後のシナリオで消費すれば一度だけ有利な効果が得られます(全セッションを通じて一度だけです)。
「エモクロアTRPG」の感想と評価
とにかくルールと世界観がシンプルで分かりやすい
この「エモクロアTRPG」の特徴はとにかくルールと世界観がシンプルなことです。
ルールは数分もあれば読めてしまいますし、世界観にいたっては「エモクロア」っていう怪異がいるんだな、で終わり。
極端な話、キャラクターさえ作れれば、あとのルールはゲームをしながら確認していっても十分対応できるでしょう。
登場する怪異や設定次第でいくらでも物語の幅が広がりそうなところも買い。
シンプルながら、非常にポイントをおさえたクオリティの高いTRPGと言えるでしょうね。
強いて難点を挙げるなら、キャラクターの成長要素がないことでしょうか。
データマンチの気がある筆者としては、そこだけは少し物足りません。
キャラクター作成ツール、オンセン用ツール、無料シナリオなどサポートも充実
オンラインでのサポートが非常に充実しているのも、この「エモクロアTRPG」の特徴です。
やはりこのあたりは配信者ならではの気配りですね。
最初からキャラクター作成ツール、オンラインセッション用のDiceBot、無料シナリオなどが公式ホームページに完備されています。
本当に至れり尽くせりですから、是非是非一度試してみてください。
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