「ゴールデンカムイ」犬童四郎助(犬童典獄)~土方に執着する理由は復讐? 網走監獄を牛耳る男の真実、偽物の存在など~

 今回は大人気漫画「ゴールデンカムイ」から、網走監獄を牛耳る鬼の典獄「犬童 四郎助(いぬどう しろすけ)」(犬童典獄)について解説します。

 犬童典獄はこの物語の発端となった、刺青囚人たちが脱獄した網走監獄のトップ。

 表向きは職務に忠実で厳格な男ですが、私欲のために網走監獄を私物化するなど偏執的な一面も持ち合わせています。

 その執着は兄の仇である土方歳三に向けられており……

 本記事では犬童典獄のプロフィールや作中での活躍、土方歳三との因縁とその最期(死亡)を中心に語ってまいります。

「ゴールデンカムイ」犬童四郎助のプロフィール

基本プロフィール(外見、誕生日、年齢、声優など)

 犬童四郎助(犬童典獄)は金塊争奪戦の発端となった「のっぺら坊」ら刺青囚人たちが収監されていた網走監獄の典獄。

 典獄とは監獄のトップ、現在の刑務所長にあたる役職です。

 見た目は厳格さを煮詰めたような男性で、年齢について言及はありませんが恐らく60代。

 性格は土方歳三から「厳格で潔癖な規律の鬼でありながら自分を私情で幽閉する矛盾を持ち合わせている」と評されており、かなり二面性の強い人物であったことがうかがえます。

 土方に強い恨みを持っており(詳細は後述)、彼を屈服させるためだけに30年以上に渡って処刑もせず幽閉し続けるなど、彼への執着はもはや病気。

 また、アイヌの埋蔵金を狙ってのっぺら坊を監禁し、鶴見中尉率いる第七師団に対抗するため監獄の武装化をすすめるなど欲深い一面も見られます。

 誕生日は不明。

 声優は土師孝也となっています。

モデル(元ネタ)は網走監獄の初代典獄?

 犬童四郎助(犬童典獄)のモデルは、網走監獄の初代典獄であった有馬四郎助(ありましろすけ)ではないかと言われています。

 有馬四郎助は囚人たちから鬼典獄と恐れられ、監獄事業について特に規律を重んじていた人物です。

 その経歴、名前からして、ほぼ間違いないでしょうね。


「ゴールデンカムイ」犬童四郎助の暴虐

 犬童四郎助(犬童典獄)は網走監獄を私物化し、暴君として君臨していました。

 彼がそう振舞うようになったのは、アイヌの金塊の行方を知る「のっぺら坊」を手中におさめたことが切っ掛けです。

 アイヌの金塊を手に入れるため、のっぺら坊を違法に監禁。

 金塊を狙う第七師団に対抗するため大量の武器を購入し、一監獄に過ぎない網走監獄の武装化を進めています。

 しかもその軍資金を稼ぎ出すため、囚人たちを命の危険がある硫黄山で違法に働かせるなどやりたい放題。

 そのせいで失明してしまった都丹庵士らからは命を狙われるほど恨まれていました。

 また、のっぺら坊の影武者を作るために、無関係な囚人の顔の皮を剥いだこともありましたね。

「ゴールデンカムイ」犬童四郎助の偽物

 作中では犬童四郎助(犬童典獄)の偽物が登場したこともあります。

 その正体は刺青囚人の一人、鈴川聖弘。

 鈴川は変装の名人で、白石が第七師団に捕まった際、その救出に(いやいや)協力。

 犬童に変装し、巧みな話術で第七師団に白石の引き渡しを求めました。

 この時の変装は犬童を良く知る土方たちも感嘆するほどで、外見だけでなく口調も雰囲気もそっくり。

 白石の呼び出しに成功し、救出まであと一歩のところまでいった鈴川。

 しかしそこに鶴見中尉の差し金で鯉登少尉が訪れ、鈴川に罠をしかけます。

 薩摩出身の犬童にだけ伝わるよう、薩摩弁で話しかける鯉登。

 咄嗟の薩摩弁にも見事に対応した鈴川でしたが、それで油断したのか「相当な飲兵衛だと聞いた」と言われ、犬童本人は下戸にも関わらず「最近は弱くなった」と答えてしまったことで、鯉登に正体を見破られ、射殺されてしまいました。


「ゴールデンカムイ」犬童四郎助と土方歳三

 先にも述べた通り、犬童四郎助(犬童典獄)は土方歳三に強い恨みを抱いています。

 その理由は当初、彼が明治政府側の人間で、函館戦争で兄を亡くしたことが原因だ、と言われていました。

 要は、土方に兄を殺されたので恨んでいる、ということですね。

 犬童の土方に対する恨みは深く、土方が函館戦争を生き抜き、政治犯として捕まったと聞くと、自らの権限を利用して当時勤めていた樺戸集治監に独断で土方を幽閉。

 罪を問うて処刑することもせず、ただ土方を屈服させ、心を折るためだけに30年以上に渡って幽閉し続けていたのです。

 自分が網走監獄に異動になった際には、土方も一緒に連れて行っていった犬童。

 その後、土方が脱獄した後も、いずれ彼が「のっぺら坊」を狙って網走監獄を訪れることを見越し、虎視眈々と迎え撃つ準備を固めていました。

 ただ兄を殺されただけにしては、土方に対し異常な執着を見せる犬童ですが、実は彼が土方を憎んでいるのは、兄を殺されたことが理由ではなかったのです。

「ゴールデンカムイ」犬童四郎助の最期(死亡)

 杉元・土方一派、第七師団によって勃発した網走監獄への襲撃。

 その最中、犬童は因縁の土方歳三と相対します。

 自らに恨みを持つ都丹庵士を退けた犬童。

 彼は都丹の安否を確認する土方に手錠をかけ、チェーンデスマッチを挑みます。

 卓越した剣術で土方の左腕を切り裂き、戦いを優位に進める犬童。

 しかしその時、土方は犬童の本音を暴き立てました。

「徳川将軍家への忠を仇で返した貴様ら新政府は」
「銃を国民に教えるという自己矛盾を抱えている」
「貴様らは怖いのだ」
「殉教者となった旧幕府軍人が怖くてたまらんのだ」

「私のような田舎育ちの農民が」
「貴様ら武士を凌ぐ忠義を貫いているという」
「真実に耐えられんのだ」

 その言葉に激昂した犬童の隙を突き、土方は自らの血で犬童の目を潰し、切り伏せます。

 そして土方に自分の真実を明らかにされた犬童は最期の瞬間納得し、

「やれ、最後の侍」

 土方の一撃で首を落とされ、どこか満足げに果てていきました。



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