今回はヤングジャンプで連載中の大人気漫画「ゴールデンカムイ」から、アニメ版では当然のごとくカットされた作中屈指の変態「姉畑 支遁(あねはた しとん)」について解説します。
姉畑支遁はアイヌ民族の金塊の行方が記された暗号をその身に刻む刺青囚人の一人。
動物学者であり、動物たちをこの上なく愛しているのですが……なんというか愛が行き過ぎて犯罪者となってしまった男です。
この記事に関しても、あまりストレートに書きすぎると間違いなく規約に引っかかる何とも悩ましい存在。
本記事では姉畑支遁と「ウコチャヌプコロ」、アニメ版でのカットや特典DVDとなった経緯を中心に語ってまいります。
「ゴールデンカムイ」姉畑支遁のプロフィール
基本プロフィール(外見、性格、声優など)
姉畑支遁はその身にアイヌ民族の金塊の行方が刻まれた刺青囚人の一人です。
外見はくるくるにカールした頭髪が特徴の、ちょび髭メガネの小柄な中年男性。
本編108~113話において登場し、そうそうたる変態が集うゴールデンカムイの中にあって、その図抜けた変態性で読者に強烈なインパクトを残した男です。
自称動物学者で動物をこの上なく深く愛しており、その愛が行き過ぎた結果、動物相手に愛ゆえの行為に及んでしまう変態(というか、植物でもイケる)。
その上、行為の後は自己嫌悪に苛まれ、動物を殺害してしまうという自分勝手なサイコパスでもあります。
作中のエピソードでは彼が刺青囚人であることに加え、姉畑のやらかした行為の濡れ衣を着せられた谷垣源次郎の疑いを晴らすため、杉元たちは姉畑を追うことになります。
アニメ版ではカットされていますが、コミックス特装版の付属DVDにて映像化されており、声優は堀秀行さん(詳細は後述)。
モデル(元ネタ)は当然あの博物学者だが……
姉畑支遁のモデルは、かの有名なシートン動物記の作者・アーネスト・トンプソン・シートン氏。
名前もそうですが、見た目もかなり実物に寄せてます(大分ちんちくりんにはなってますけど)。
作者はもはや隠す気もないのか、110話のサブタイトルは「支遁動物記」。
海外にいる先生の子孫とかに訴えられたら間違いなく敗訴ですね。
ちなみに、ヒグマに攻撃された際のリアクションは完全にかの有名なムツゴロウさんで、ファンブックでは次のような作者コメントが記されており、こちらも隠す気がありません。
「ムツゴロウさんも飼ってたメスのヒグマに迫られてそういう雰囲気になったがやっぱり出来なかったとの本人の証言がある」
……ムツゴロウさんが姉畑支遁を生み出した元凶なのか、それともやっぱり問題はこのエピソードを悪用した野田サトルなのか……まあ、後者だな。
「ゴールデンカムイ」姉畑支遁とウコチャヌプコロ
ウコチャヌプコロとは?
作中において、姉畑支遁は鹿を相手に「ウコチャヌプコロ」に及んだ上、その鹿を殺害したことでアイヌ民族の逆鱗に触れてしまいます。
まあ、その濡れ衣を擦りつけられて実際に殺されそうになったのは谷垣源次郎ですが。
「ウコチャヌプコロ」とはその行為を指してアシリパが発したアイヌ語。
意味は「ウコ=お互いに」「チャヌプ=知る」「コロ=~している」で、直訳すると「互いを知り合う行為」ですが、一般的には「動物同士の交尾」を指す言葉です。
ちなみにこれは動物同士の行為を指す言葉なので、人間同士の場合は「オチウ」と呼ばれます。
アシリパは動物相手に、しかもオスメス関係なく行為に及ぶ姉畑に全く理解が及ばなかったようで、
「人間が鹿とウコチャヌプコロしても」
「子供なんか出来ないのに」
「ましてやオスの鹿と」
「ウコチャヌプコロする意味がわからない」
と困惑しきりでした。
ちなみに杉元は「ウコチャヌプコロ」という言葉が気に入ったのか、作中で何度もボソボソこの言葉を呟いていました。
ヒグマを相手に本懐を遂げた壮絶過ぎる最期
鹿相手に「ウコチャヌプコロ」に及び殺害した冤罪を着せられ、処刑されそうになった谷垣の無実を晴らすため、姉畑支遁を追う杉元一行。
その手掛かりは、姉畑がヒグマに強烈な興味を抱いていたという谷垣の証言でした。
姉畑がヒグマ相手に「ウコチャヌプコロ」に及ぼうとしていると考えた杉元たちは、ヒグマの糞などを頼りに姉畑を捜索します。
流石にヒグマが相手では、姉畑がヒグマに食い殺されて刺青が無くなってしまうという事情もありました。
しかし姉畑は杉元たちの想像を遥かに超えた男でした。
彼はヒグマの糞まみれになることで臭いを消し、ヒグマにとりつくことに成功。
彼を発見した杉元たちの目の前で、ヒグマ相手に「ウコチャヌプコロ」に及んだのです。
その凄まじい光景にドンびくアイヌ民族たちと、彼らとは対照的に大興奮の杉元。
「やりやがった!」
「マジかよあの野郎ッ」
「やりやがったッ!」
「姉畑支遁すげぇッ」
てゆーか、その後杉元、姉畑のことを「姉畑先生」呼ばわりしてるし、何尊敬してんだよ。
とうとう本願成就した姉畑でしたが、何と彼はその行為の果てに死亡。
腹上死というやつです。
アシリパは身勝手な行為で動物たちを傷つけた姉畑に憤慨しきりでしたが、何故か男どもは姉畑先生に一種の敬意や哀れみを感じてしまったのか、センチな雰囲気です。
尾形でさえ、
「男ってのは出すもん出すとそうなんのよ」
と、姉畑の行為を擁護するかのごとき発言をしていました。
……いや、流石にあれを「男」で括られると困る。
「ゴールデンカムイ」姉畑支遁とアニメ版でのカット、特典DVD
アニメでは当然のごとくカット(誰もが納得)
ゴールデンカムイがアニメ化され、姉畑支遁のエピソードが近づくと、ファンの多くはアニメでは彼の存在がカットされるだろうと予想していました。
そして予想は外れることなく、当然にカット。
流石に姉畑支遁は放送するにはヤバすぎたため、これに関しては原作を愛するファンも「当然の判断」と深く納得。
アニメ監督はこのカットの理由について丁寧にTwitterで説明していましたが……改めて説明されんでも分かっとるわ!
まあ、変態ぞろいのファンの中には、姉畑支遁の映像化を熱望している者もいたので、そうした変態的なファン、姉畑の人気に配意しての説明だったのでしょう。
しかし、そこで終わらないのがゴールデンカムイの悪いところ。
コミックス23巻特典DVD「支遁動物記」として禁断の映像化
アニメではカットされた姉畑支遁でしたが、その後、特装版コミックス23巻の特典DVD「支遁動物記」として、見事映像化されています。
その力の入れようは凄まじく、オリジナルのシートン先生の伝記漫画を彷彿とさせるパッケージ。
煽り文句も徹底しており、
「学べるアニメ ゴールデンカムイ囚人伝」
「命をかけて大自然に挑んだ男」
「自然を愛した刺青囚人 姉畑支遁の生涯」
……馬鹿どもが。限度というものを知らんのか。
マジな話、一回ゴールデンカムイの関係者は訴えられるべきだと思う。
それはそれとして、大いに笑い、楽しませていただきましたけども。
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