「人類蝕」感想&評価(ネタバレ注意)~「生者の行進Revenge」コンビが描くスリラー、あらすじ、主な登場人物~


 今回は「生者の行進Revenge」のみつちよ丸先生と佐藤祐紀先生のコンビが描くスリラーサスペンス「人類蝕」について解説します。

 この作品は人の身体を乗っ取る正体不明の怪物「マミリーさん」と、その怪物を巡る事件に巻き込まれてしまった少年たちの物語。

 ホラー的な要素は勿論、主人公コンビの成長と奮闘が大変魅力的な作品です。

 作者の前作「生者の行進Revenge」とも地続きとなっている「人類蝕」。

 本記事ではそのあらすじや登場人物の解説をまじえつつ、その魅力を深掘りしてみようと思います。

「人類蝕」あらすじ

人間の身体を乗っ取る謎の怪物「マミリーさん」

「マミリーさん」

 それは世間を騒がせている連続ミイラ化事件。

 普通の人々が次々とミイラになって発見され、しかもその遺体は死後数日普通に動いて生活していたという噂から、その遺体は「マミリー(マミー+ファミリー)さん」と呼ばれていました。

 しかし主人公の少年、星太が気になっていたのは、そんな噂よりも最近親友の隼人が元気がないこと。

 隼人が一週間も続けて学校を休み、気になった星太は隼人の家を訪れます。

 そこで星太が遭遇したのは異様な化け物に身体を乗っ取られた隼人の母親。

 実は隼人の母親は世間で噂の怪物「マミリーさん」に身体を乗っ取られ、隼人もその能力で心を操られてしまっていたのです。

 霊媒体質により「マミリーさん」の支配を受け付けなかった星太ですが、「マミリーさん」は星太の力に目を付け、彼の目を抉り取って隼人に食べさせてしまいます。

 それが切っ掛けで星太と隼人は肉体を共有。

 「マミリーさん」の支配をはねのけ、母親の肉体を「マミリーさん」から解放します。

 しかし星太の意識は肉体を離れて隼人の中に入ったまま。

 「マミリーさん」も滅びたわけではなく、星太の肉体を乗っ取っており……

 こうして、密かに人類を侵食する「マミリーさん」と少年たちの戦いが始まったのです。

前作「生者の行進 Revenge」との繋がり

 この「人類蝕」は作者の前作「生者の行進 Revenge」と世界観を共有する物語です。

 前作のラスボスであった犬飼さとしが警察に捕まり、その後捜査に協力することを条件に保護観察となり、警察官の笹塚と共に登場しています。

 世界観を共有してはいても内容的には全く別物なので、前作を読まなくても話の理解に全く問題はありません。

 ただ、前作を読んだ方なら思わずニヤリとしてしまうシーンが……


「人類蝕」主な登場人物

立花星太

 本作の主人公の一人。

 小学五年生の少年で、幽霊が見える特殊体質。

 実家は地元では有名な神降ろしの家系で、双子の妹は歴代屈指の霊能力者。

 幼い頃に両親を事故で亡くし、親戚たちは妹の親権だけを欲しがり、星太は分家の親戚の家に養子に入った。

 その為、一見明るく活発だが、その内には鬱屈したものを抱えている。

藤原隼人

 本作のもう一人の主人公。

 星太の同級生で親友。

 毒親で酒浸りの母親と二人暮らしで、母親とは共依存の関係にあった。

 そうした生い立ちからか引っ込み思案で気弱。

 母親が謎の怪物「マミリーさん」に殺されて肉体を乗っ取られ、事件に巻き込まれる。

卜部月子

 星太の双子の妹。

 とても強力な霊能力者で人の心を読むことができ、権力者に利用されて心がすさんでしまっている。

 自分の心を守るため、心の中に神様を作り出した。

笹塚恭一郎

 犬飼と行動を共にしている刑事。

 常識人で心優しいおじさんで、犬飼に振り回されている。

犬飼さとし

 作者の前作「生者の行進 Revenge」のラスボス。

 殺人罪で捕まったが、その特殊な能力を認められ、捜査協力を条件に笹塚刑事の下で保護観察となっている。

 とても強力な霊能力を持っているが、愉快犯的な性格であまり信用できない。

濱口司

 家裁から母親を亡くした隼人の未成年後見人に指名された人物。

 ジ・アースの理事長。

 五年前にミイラ化により妻を亡くし、ミイラ化に関する研究機関を作った。

 実は既に肉体を「マミリーさん」に乗っ取られている。

濱口玲奈

 隼人を引き取った濱口司の娘。

 17歳の気難しく気の強い美少女で、学校ではいじめられていたりストーカーにあったり散々な目に遭っている。

 ただ本人がとても強いのでかわいそうなイメージは全くない。

 マヨラーで嫌なことがあるとマヨが止まらなくなる。

 隼人の母親に似ており、隼人とは相性が良い。


「人類蝕」感想&評価(ネタバレ注意)

スリラーサスペンスの王道

 話の展開としては霊能力を持つ人類たちと、宇宙からの侵略者との対決構図。

 最近の漫画の展開としては王道と言えるでしょう。

 主人公コンビを始めとして、登場人物の個性がしっかりしていて、記号的でないところが第一の魅力。

 登場人物が多く、群像劇としての要素が強い作品ですが、あまり話が散らばっている印象がないのが良いですね。

 敵味方のパワーバランスが良く、ただ逃げ惑うだけの展開でないところも好感が持てます。

こんな人におススメ

 絵もキレイで話のテンポも良く、ホラー、スリラーが苦手でなければ誰でもおススメできる作品。

 媒体は少年漫画ではありますが、どちらかというと女性に受けそうな内容の気がしますね。

 逆にバトルやスカッとするような展開はないので、そういう分かりやすい話を求めている方にはハマらないでしょう。



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