「波よ聞いてくれ」感想&評価(ネタバレ注意)~ラジオ業界をテーマにした異色の人気作、アニメがつまらないと酷評された理由~


 今回は月刊アフタヌーンで連載中の異色のラジオ漫画「波よ聞いてくれ」について紹介します。

 「波よ聞いてくれ」は北海道のラジオ局を舞台に、ひょんなことからラジオパーソナリティーとなってしまった主人公、ミナレの奮闘を描くコメディ作品。

 行儀の良いお仕事ものではなく、むしろラジオ外のぶっ飛んだ展開が物語の主軸となっています。

 2020年4月からアニメも放送されましたが、実はそちらは「つまらない」と低評価。
 本記事ではその理由なども含め、原作漫画の見どころなどについて紹介してまいります。

「波よ聞いてくれ」あらすじ(ネタバレ注意)

失恋トークを勝手にラジオで流されパーソナリティーデビュー

 主人公のミナレは札幌市のスープカレー屋に勤める女性従業員。

 ある日ミナレは、職場のラジオから自分の声が流れていることに気づきます。

 実はその前日、ミナレは偶然居酒屋で知り合ったラジオ局のディレクター、麻藤相手に自身の失恋について愚痴っていたのですが、その内容が録音されラジオで勝手に流されていたのです。

 放送を止めさせようとラジオ局に乗り込んだミナレですが、麻藤にいいように言いくるめられてしまい、そのままラジオでアドリブトークを披露することとなってしまいます。

 そこで常人離れした喋りのセンスを見せたミナレは、何とそのまま深夜帯に冠番組を与えられ、パーソナリティーとしてデビューすることになるのです。

回ごとに企画を変える「波よ聞いてくれ」は架空実況、オーディオドラマと何でもあり

 冠番組「波よ聞いてくれ」は、ディレクターである麻藤の方針で回ごとに企画を変える異色のラジオ番組です。

 架空実況やオーディオドラマなど、多彩な企画や取材を次々とこなしていくミナレですが、そのプライベートや周囲はトラブル続き。

 恋愛面は三角関係が二つも出来てるわ、元カレとも再会するわ、取材に行けば怪事件に巻き込まれるわ、ヤバイ宗教団体とバトルになるわ……

 ただ喋りが面白いだけだったミナレは、ラジオという世界を通じて、ラジオを超えた世界へと引き込まれていくことになるのです。


「波よ聞いてくれ」主な登場人物(ネタバレ注意)

ラジオ局関連(ミナレ、麻藤、瑞穂、まどかなど)

鼓田 ミナレ(こだ みなれ)
本作の主人公で、スープカレー屋VOYAGERに勤める25歳の女性。
外見は金髪のサバサバした雰囲気の美人。
麻藤との出会いを切っ掛けにラジオ業界に足を踏み入れ、冠番組「波よ聞いてくれ」を持つ。
常人離れした喋りのセンスを持ち、アドリブで26分間喋っても一度も噛むことがない。
その場の勢いで生きており、私生活では数々の残念なエピソードを量産し続けている。

麻藤 兼嗣(まとう かねつぐ)
ラジオ局MRSのチーフディレクターで、49歳バツイチのオッサン。
ミナレをラジオ業界に引きずりこんだ張本人。
かつてはTV局に勤めていたが、シセル光明なるずば抜けたトークセンスを持つ女芸人と出会ったことが切っ掛けでラジオ局に移る

南波 瑞穂(なんば みずほ)
ラジオ局MRSのADを務める若手女性社員。
パーソナリティーとなったミナレを自室に居候させ、何かと協力している。
かわいらしい雰囲気で女子力が高く、男性人気も高そうだが男と付き合ったことはない。
同僚の甲本から想いを寄せられているが、自身は構成作家の久連木に想いを寄せている。

茅代 まどか(ちしろ まどか)
ラジオ局MRSの人気番組「September Blue Moon」のメインパーソナリティ。
ショートカットの颯爽とした雰囲気の美女で久連木から想いを寄せられている。
ミナレを高く評価し、ライバル視している。

久連木 克三(くれこ かつみ)
ラジオ局MRSの雇われ構成作家をしている胡散臭い雰囲気の初老の男。
本職は官能小説家だが、一般小説も一応書いている。
業界歴は長く、急遽原稿を仕上げたり、読者投稿をでっち上げたりと便利に使われている。

甲本 龍丞(こうもとりゅうすけ)
ラジオ局MRSのミキサーをしている青年。
実直な性格で瑞穂に想いを寄せているが報われない。

VOYAGER(中原、マキエ、宝田)

中原 忠也(なかはら ちゅうや)
VOYAGERのキッチン担当を務める青年。
ヤンキーのような外見をしているが、情に厚い暑苦しい男。
ラジオを虚業と評し、ミナレがラジオ業界に進むのを反対する。
ミナレに想いを寄せている。

城華 マキエ(たちばな マキエ)
VOYAGERの女性従業員。
怜悧な雰囲気を持つ大和なでしこ風の美女。
過保護な兄に軟禁されていたが、その兄が事故でVOYAGERの店長に怪我をさせたことをきっかけにVOYAGERで働くことになる。
忠也に想いを寄せている。

宝田 嘉樹(たからだ よしき)
VOYAGERの店長。
くるっとカールした前髪が特徴の男性で、同性愛者。
スープカレー激戦区札幌で繁盛店を経営する辣腕。
ミナレのことは店の雰囲気を壊すとして嫌っているが、接客スキルは認めていてクビに出来ないでいる。


「波よ聞いてくれ」感想&評価

ラジオってこんなにぶっ飛んだものだったっけ? これ「どうでしょう?」

 第一印象は、これラジオ版「水曜どうでしょう」かよ、というものです。

 北海道が舞台で、毎回企画が変わって、パーソナリティが滅茶苦茶喋りが上手くてボヤキがちで、ディレクターがぶっ飛んでいる(流石に番組には出てこないけど)。

 宗教団体とのバトルが始まったときとかは「探偵はBarにいる」かよ、とも思いましたね。

 いや、別にパクリとかそういうのではなく、それを彷彿とさせるぐらい面白いという意味で。

 キャラクター、特に主人公のミナレが非常にぶっ飛んでいて、彼女は常に思いつくまま叫んでいる印象がありますが、そのトークにキチンと筋があってオチがしっかりついているあたりは、素直に秀逸で面白いと思いますね。

原作は面白いのにアニメが低評価だった理由、アニメ2期の可能性

 原作は非常に好評だった「波よ聞いてくれ」ですが、2020年に放送されたアニメは実際のところ散々なものでした。

 いや、もちろん面白いという評価もあったんですよ?

 しかし第一話を見た段階で「ラジオ部分が致命的に面白くない」と酷評し、そのまま離れてしまった方は非常に多くいました。

 その要因は大きく二つ。

 一つはあのセリフ回しを面白く表現することが難しい、要は作風がアニメに合っていないということ。

 もう一つは原作を改変し、第一話にいきなりヒグマとの戦いの架空実況という分かりにくいものを持ってきてしまったことです。

 一つ目はやむを得ないにせよ、二つ目は最初に持ってきても視聴者がポカーンとしてしまって、ついていけなくなっちゃいますよね。

 まあ、アニメも二話以降は徐々に面白くなっていったんですが、そこまで視聴者が付いてこれず……

 正直、第1期がこれだけ盛大にこけているので、第2期の可能性はかなり低いでしょうね。

 とは言え、原作は変わらず面白いので、是非是非一度読んでみてくださいね。



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