今回は「殺し屋は今日もBBAを殺せない」の作者ヨシアキが「裏サンデー」・「マンガワン」で連載中の新作「雷雷雷(ライライライ)」について解説します。
「雷雷雷」は宇宙害蟲の駆除業者で働く少女が、ある日突然エイリアンに攫われ、宇宙害獣に変身する改造人間になってしまうという物語。
「駆除業者」とか「害獣」に「変身」とか、あれあれどこかで聞いたような設定ですが、この「雷雷雷」はあちらとは全くテイストの違うコミカルで爽快な内容となっています。
本記事では「雷雷雷」のあらすじや登場人物の解説も踏まえつつ、その魅力を深掘りしてまいります。
「雷雷雷(ライライライ)」あらすじ
50年前、人類は世紀末から続いていたエイリアンとの戦争に勝利しました。
しかし戦争の傷跡は大きく、中でもエイリアンが残した「宇宙害蟲」と「宇宙害獣」という二つの異生物が、人類復興の妨げとなっていました。
物語の主人公は宇宙害蟲駆除業者「サオトメバスターズ」で働く少女・市ヶ谷スミレ。
彼女はある日突然エイリアンに攫われ、身体を改造されてしまいます。
解放された直後は何の異常もなく、エイリアンに攫われたことが本当にあったことなのかさえ分からなくなってしまうスミレ。
しかし翌朝スミレが目覚めると、彼女の右腕は筋骨隆々の宇宙害獣のものに変化していました。
しかも頭の中からは宇宙害獣の声がして、スミレの身体を勝手に動かそうとするのです。
スミレの身体を乗っ取ろうと暴れまわる宇宙害獣。
そんな折、スミレは街を襲う別の宇宙害獣に遭遇し、殺されかけてしまいます。
助かるために自分の身体を宇宙害獣に明け渡すスミレ。
無事に敵対する宇宙害獣を撃破して危機を脱したスミレですが、その身体は宇宙害獣に乗っ取られたままです。
そこに民間軍事会社「ライデン社」で宇宙害獣の駆除を生業とするハヅキがやってきて、スミレはあっさり首チョンパされてしまいました。
死んでしまったかと思われたスミレでしたが、宇宙害獣は首だけになっても生き続けており、しかも斬られた害獣の身体からスミレの首がポンと生えてきます。
害獣と融合し、害獣に変身できる愉快な身体になってしまったスミレ。
彼女はハヅキが働く「ライデン社」に捕獲され、その稀少性と有用性を認められ、監視付きではありますがライデン社の戦闘員としてスカウトされます。
しかしスミレの力は正体不明で不安定。
また「R.R社」なる別組織の存在も匂わされ、単に害獣の力を使って人類のために害獣たちをやっつけようぜ、とはいかないようで……
「雷雷雷(ライライライ)」主な登場人物
市ヶ谷スミレ
本作の主人公で害蟲駆除業者「サオトメバスターズ」で働く18歳の少女。
父親が幼少期に投資に失敗して多額の借金を残して失踪。
中学卒業後は借金返済のために上京し、職を転々としていた。
小動物系でかわいい顔立ちをしているが、「ニチャア」とした卑屈な笑顔が玉に瑕。
その生い立ち故に卑屈で何事に関しても諦めがちだが、大事なものを護るためなら本気で力を振るえるタイプ。
真面目そうに見えるが職場では遅刻常習犯であり、結構だらしなくて図太い。
ある日突然、何の脈絡もなくエイリアンに攫われて改造され、心臓が宇宙害獣のコアに置き換えられてしまう。
当初は宇宙害獣に身体を乗っ取られそうになってしまうが、首チョンパされて害獣と身体が分離してからは害獣に変身できる愉快な身体となった。
以降は民間軍事会社「ライデン社」の給料に釣られてライデン社の職員となり、同僚のハヅキの監視付きで宇宙害獣を駆除するために働くことになる。
ダスキン
スミレの身体と融合していた宇宙害獣。
強力な力を持ち、人類に対して害意を持っているが、自分が何者なのか、何故スミレと融合しているのか記憶を失っている。
粗暴で自分勝手で嘘つき。
ハヅキに首チョンパされた際、首だけになってスミレの身体と分離。
首から身体が生えて独立して動けるようになる。
名前が無かったのでスミレに「ダスキン(昔飼ってたカブトムシの名前)」と名付けられる。
狭山ハヅキ
「ライデン社」で戦闘員として働く女性。
黒髪ポニーテールの凛々しい美女で、エイリアンの技術を使ったパワードスーツを身に纏い、刀を振るって戦う。
年齢は20歳で「雷伍特務部隊」の最年少副隊長
10年前に害獣に家族を殺された過去を持つ。
スミレを首チョンパし、捕獲した張本人で、後に彼女と同居し監視役となる。
自分を助けてくれたスミレに情を抱いている。
趣味はバイクでのドライブ。
石動デンスケ(社長)
民間軍事会社「ライデン社」の社長。
サングラスをかけた色黒でエネルギッシュな初老男性。
やたらパワフルで口が上手く(胡散臭く)、高給を餌にスミレをスカウトする。
神保ハルヒコ(隊長)
ハヅキとスミレの上司で「ライデン社」の「雷伍特務部隊」の隊長。
顔に傷のある初老男性で不真面目。
いつもサボって麻雀を打ってばかりいる。
浅霧ソウスケ
ハヅキの部下で「ライデン社」の「雷伍特務部隊」の隊員。
人の好さそうな雰囲気の青年で元々はハヅキの先輩だった模様。
室長
「ライデン社」第伍研究所の室長を務める婆さん。
愛想は良いが胡散臭くて嘘つきで、平気でスミレの身体を解剖しようとする。
見た目が作者の前作「殺し屋は今日もBBAを~」のBBAそっくり。
キヨハル
ダスキンの監視役となった青年。
インテリヤクザっぽい風貌で刀を携えている。
「雷雷雷(ライライライ)」感想&評価
コミカルでエッジの効いたSFアクション???
一言で言うと非常にコミカルでエッジの効いたSFアクション(?)。
基本はギャグテイストなのですが、その上でキャラクターにしっかりとしたバックボーンがある作品ですね。
普通に描いたらちゃんとしたストーリー漫画になりそうなものを、絵も表現もわざと崩している印象。
世界観や設定がしっかり作り込まれているので、ギャグ要素抜きにしても普通に面白い良作です。
作者の前作「殺し屋は今日もBBAを殺せない」にあったような最強成分はちょっと薄目ですが、むしろあの作品でBBA以外の殺し屋たちも好きだったという方には間違いなくおススメです。
「怪獣8号」のパクリという意見もあるが?
この「雷雷雷」を語る上でどうしても避けられないのが、「ジャンプ+」の人気作「怪獣8号」のパクリじゃないの、というもの。
あちらも主人公がある日突然怪獣に変身する力を手に入れており、しかも「怪獣専門清掃業者」なる、怪獣の処理には関わっているものの直接戦わない会社に勤めていました。
怪獣を宇宙害獣と読み替えれば、もうほぼそのままですよね。
個人的な感想と前置きした上での結論ですが、「雷雷雷」は意図的に「怪獣8号」の設定をこすってます。
これは一般的なパクリとはまた別物。
恐らくはワザと二番煎じっぽくすることで、作品にB級感みたいなものを出そうとしているのではないのかな、と。
パクリっぽいなー、という第一印象からの変化を楽しんでいただきたい作品です。
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