今回は「裏サンデー」「マンガワン」などで連載中の「ヴェルベルムー言葉の戦争ー」について解説します。
「ヴェルベルムー言葉の戦争ー」は動詞の力を使った異能力バトル漫画。
世界観や設定そのものは比較的ありふれていますが、ストーリー構成や作画のレベルは高く、非常に読みごたえのある作品となっています。
本記事では「ヴェルベルムー言葉の戦争ー」のあらすじや主な登場人物の解説も踏まえ、その魅力を深掘りしてまいります。
「ヴェルベルムー言葉の戦争ー」あらすじ(ネタバレ注意)
「お賽銭事件」と呼ばれる遺体に無数の小銭が突き刺さっている怪事件が世間で話題になる中、主人公の高校生・入間ケイジは退屈な日々を送っていました。
オリジナル脚本をシナリオ大賞に応募したものの落選。
つまらない人生から逃れられないことに絶望していたケイジは、ある時ご近所でいとこの花里真紀に呼び出されます。
そこで真紀が見せたのは壊れたドンブリやスマホを「直す」超能力「動詞の力」。
この「動詞の力」はあるゲームの参加者に一つランダムに与えられるもので、そのゲームをクリアすれば何でも願いが叶うと言います。
そのゲームの名は「言葉(ウェルブ)の戦争(ベルム)」をもじって「ウェルベルム」と呼ばれていました。
真紀の招待メールからゲームに参加したケイジ。
しかしその時、真紀はゲームの参加者に殺害されていました。
ケイジが真紀を殺した犯人だと勘違いし、ケイジに襲い掛かる真紀の友人、吾妻梨々花。
何とか誤解を解いたものの、今度は真紀を殺した「お賽銭事件」の犯人がケイジと梨々花に襲い掛かってきます。
お賽銭事件の犯人、天地ミトスを退けたケイジたちは、今度はウェルベルムで抗争状態にある久留和組と千里兇団の内、ゲームを終わらせようとしている久留和組と接触し共闘関係を構築。
順調に仲間を増やしていくケイジですが、千里兇団のトップ・キョウは何故かケイジに強い関心を持っている模様。
更に梨々花が実は次期首相の娘であり、脅迫のために千里兇団に攫われてしまい……
「ヴェルベルムー言葉の戦争ー」主な登場人物(ネタバレ注意)
入間 ケイジ(いるま けいじ)
本作の主人公で高校2年生の少年。
家は自動車修理工場で脚本家になることを夢見ている。
いとこの花里真紀に招待され、ウェルベルムに参加することになる。
凡庸に見えるが頭の回転が速く戦い向き。
与えられた動詞の力は「開く」で扉や傘を開くだけでなく、心を開いたり道を開いたりと非常に多彩な使い方が可能。
後に前回の第3回ヴェルベルムの勝者であり、記憶がリセットされていたことが判明する。
吾妻 梨々花 (あづま りりか)
本作のヒロインにあたるかわいいギャル系少女。
花里真紀の友人で共にヴェルベルムに参加していた。
動詞の力は「飛ばす」でいろんなものを飛ばすこうげきてきな力。
次期首相の娘で実家は金持ちだが、人の愛情に飢えている。
沖 司(おき つかさ)
久留和組の戦闘員を務めるヤンキー系少年。
ガラは悪いはおばあちゃん子で根は優しくきれい好き。
動詞の力は「伸ばす」で物や自分の能力を伸ばして戦う。
久留和 正月(くるわ まさつき)
ウェルベルムを終わらせることを目的に掲げる久留和組のリーダー。
内科医の人の好さそうなご老人。
動詞の力を当初「閉じる」と偽っていたが、実は「戻す」であることが判明。
ただの善人ではなく何か裏がありそう。
白部 コトハ(しらべ ことは)
半グレ能力者集団・千里兇団の構成員。
まん丸とした目がかわいらしい年端もいかない少女だが、幼い頃から他人に使われて生きてきたため、危うく危険な面がある。
動詞の力は「曲げる」で攻撃などを曲げる攻防一体の力。
ケイジの言葉で仲間に加わる。
天地 ロゴス(あめつち ろごす)
「お賽銭事件」の犯人でもあった天地ミトスの双子の弟。
自ら歩けず車椅子生活。
動詞能力は「聞く」で、姿を見て本名を知った相手の耳に届く音を拾うことができる。
ミトスを殺したゲームの支配人を探して欲しいと、ケイジの協力者になる。
物部 キョウ(もののべ きょう)
半グレ能力者集団・千里兇団のトップ。
動詞の力は「切る」で敵のMPを切ったり応用力の高い強力な力。
実は第二回ヴェルベルムの勝者で、第三回ヴェルベルムではケイジに協力していた彼の友人だった。
しかしケイジは第三回ヴェルベルムの勝利後、第三回ヴェルベルム全てのリセットを願い、彼らの関係は無かったことに。
その後、ゲームの副支配人を名乗る男に接触されたキョウは記憶を取り戻し、自分を裏切ったケイジに執着することになる。
「ヴェルベルムー言葉の戦争ー」感想&評価
オーソドックスでレベルの高い異能力バトル漫画
言葉をテーマにした異能力バトル漫画自体は昔からよくある内容で、特に目新しいものではありません。
願いが叶う万能の力をかけたデスゲームというのもそうですね。
主人公が平凡に見えて、実は頭の回転が速くてデキる奴だというところまでテンプレ。
正直なところ世界観に関しては特に目新しいものはないのですが、その上でこの「ヴェルベルムー言葉の戦争ー」は細かな話の展開とキャラクターの見せ方が非常に秀逸。
着地は見えてるんだけどどうやってそこに辿り着くんだろうとか、怪しい奴はたくさんいるんだけどどれが本命なんだろうとか、分かっていても色々想像を巡らせてしまう伏線・演出が多数ちりばめられています。
また作画担当もこの作品が初連載ということですが、ヒロインの梨々花を始めキャラクターがとても魅力的。
シンプルにレベルの高い漫画だと思います。
こんな人におススメ
この作品は何と言うか「こういうのでいいんだよ!」とテンプレを是とする方におススメの作品です。
目新しさとか新鮮さよりも、王道の安心感を求める方であれば、ストーリー・作画共にバッチリハマるのではないかな、と。
逆に「こういう話どっかで読んだことある」と気になってしまう方にはあまりおススメできません。
それさえクリアできれば、まず期待を裏切ることはない良作と言えるでしょう。
コメント