「テレワァク与太話」感想&評価~当初から1巻完結予定だったシンプルな良作ラブコメ、あらすじ、登場人物解説など~


 今回は「あせとせっけん」の山田金鉄先生が「モーニング」で連載していたラブコメ「テレワァク与太話」について解説します。

 この作品はSEの主人公がテレワークが切っ掛けでお隣の女性と知り合い、結婚するまでを描いた物語。

 一話一話が短くて読みやすく、非常に人気があったのですが、当初から1巻完結予定だったということで僅か20話で連載を終了しています(打ち切りではありません)。

 本記事では「テレワァク与太話」のあらすじや登場人物の解説を踏まえ、その魅力を語ってまいります。

「テレワァク与太話」あらすじ

 主人公はブラック企業でSEとして働く男、三橋残。

 この三橋が突然会社からいつまで続くとも分からないテレワークを命じられたところから物語は始まります。

 それまで片道1時間15分かけて通勤し、家はただ眠る場所でしかなかった三橋ですが、テレワークを始めたことで生活環境は劇的に変化。

 僅か1か月で、体調も住居環境も大幅な改善に成功しました。

 そんな折、ベランダで初めて顔を合わせたのがお隣に住む女性。

 これが後の妻となる泉奈津との出会いでした。

 大学院で考古学を専攻しているという奈津。

 明るく気さくで微妙に距離感の近い彼女に、それまでほとんど女性と縁のなかった三橋は日々振り回され、頭を抱えることに。

 特別劇的な出来事があるわけではなく、ただお隣さん同士少し距離の近い交流を持つ中で、徐々に距離を縮めていく三橋と奈津。

 そして三橋が奈津への好意を自覚した時、些細なやり取りから不意に奈津は三橋にキスをします。

「……ああ、いけたわ」

 ごく自然に、奈津から異性としてみていた告げられる三橋。

 彼はその返答として夏にキスを返します。

 その後も徐々に距離を詰めて行く二人でしたが、奈津は発掘調査プロジェクトで1か月ほど海外に行ってしまいました。

 しかしほんの1か月だと言っていた彼女は、いつまで経っても帰ってこず……

 

 想いが抑えきれなくなった三橋は奈津に会うため37時間かけてペルーまで向かいます。

 そして再会した奈津に改めて好きだと伝えました。

 これが転機となり三橋はホワイト企業に転職し、頻繁に海外にいる奈津に会いに行くように。

 そしてさらに数年後、何かあった時に部外者と思われないよう、すぐに駆け付けられるよう、二人は結婚という選択肢を選びました。


「テレワァク与太話」主な登場人物

三橋残(みつはしのこる)

 本作の主人公でブラック企業勤めのSE。

 テレワークを始めたことで通勤時間が無くなり、生活の質が劇的に改善、隣人の女性と出会い後に転職、結婚までしてしまう男。

 ブラック企業勤めの影響かテレワークを始めた後も目の下にクマが残っている。

 顔立ちは悪くないが地味で暗い印象。

 性格は理屈っぽく色々考え込んでしまうタイプだが、初対面の人間とも普通に話せる程度の社交性は備えている。

 趣味はゲーム。

 子供の頃はファンタジー漫画が大好きで、その世界ならではの文化や情勢に強く惹かれていて、大人になったらモデルとなった国に行ってみたいと憧れていた。

 テレワークが切っ掛けでそうした過去の憧れを思い出し、渡航制限で海外旅行には行けないもののバルコニーを異国情緒あふれる雰囲気に改造した。

泉奈津(いずみなつ)

 本作のヒロイン。

 大学院で考古学を専攻している女性で、半年前に三橋の隣の部屋に引っ越してきていた。

 外見は眼鏡とそばかすが特徴の地味な女性。

 ただ性格は明るく社交的で、不思議と人を惹きつけるタイプ。

 サバサバし過ぎていて逆に感情が分かりにくいが、初対面から三橋のことを男前だと思い(周囲から趣味が悪いとよく言われる)好意的だったらしい。

 三橋に「自分を襲うなんて選択肢があるのか」と言われ、その場のノリでキス。キスがいけたから襲うという選択肢もあるかもなどと発言するかなり大雑把な女。

 紹介文で「難攻不落の魔性女子」と言われているが、全然そんなことはない。


「テレワァク与太話」感想&評価

テンポが良く悪意のない良作ラブコメ

 印象としては一話一話が非常に短くテンポよくまとまったラブコメ。

 変に事件があったりエッチだったりする内容ではなく、少し無防備で明け透けなヒロインに主人公が悩んで振り回されるタイプの作品ですね。

 ヒロインが”魔性の女”と紹介されていますが、彼女自身は普通にちょっと気さくで明け透けなだけ。

 主人公が女性経験が少ないので勝手にドキドキして振り回されている感じです。

 ヒロインの方は少し分かりにくいですが、互いに当初から好感を持っていたため、ごく自然な成り行きで接近し、結ばれる展開。

 最後に少し波乱はありますが、最初に結末が語られているので二人はどうなるのかと心配になってしまうこともなく、安心して呼んでいられるラブコメです。

こんな人におススメ

 話自体が短く、1巻で既に完結済みということもあって、気軽に読めるタイプの作品。

 短編だと味気ないけれど、ガッツリ長編ラブコメを読むのは力がいるなと感じる方におススメです。

 性別年齢を問わず楽しめる内容ですが、基本的に主人公の懊悩を中心に描かれているので、ラブコメっぽい盛り上がりや展開を期待している方には少し物足りない部分があるかもしれません。

 第一話で後に結婚することは語られていますし、結末に向けてヌルっと進んでいく感じが独特で、個人的には良かったですね。



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