今回はヤングジャンプで連載中の大人気漫画「ゴールデンカムイ」から、谷垣、そしてチカパシに勃〇の魂を伝えた伝説の熊撃ち「二瓶 鉄造(にへい てつぞう)」について解説します。
二瓶鉄造はその身にアイヌ民族の金塊を行方を示す刺青を刻まれた囚人の一人。
生粋の猟師であり、金塊や人間の争いには興味を示さず、ただ獣と戦い山で死ぬことを望んだ人物です。
作中での登場期間は短かったですが、その鮮烈な生き様で後の物語に大きな影響を与えた二瓶。
本記事では二瓶鉄造という男の生き様について、その銃や勃〇の魂、レタラとの死闘を中心に語ってまいります。
「ゴールデンカムイ」二瓶鉄造のプロフィール
基本プロフィール(外見、性格、誕生日、年齢、声優など)
二瓶鉄造はその身にアイヌ民族の金塊の行方を示す刺青が刻まれた刺青囚人の一人です。
外見は白髪交じりのボサボサ頭と髭が特徴の豪快な雰囲気のご老体。
「冬眠中の熊をもうなされる伝説の熊撃ち」として知られる伝説的な猟師で、これまでに200頭以上のヒグマを仕留めてきた実績の持ち主です。
人間社会の方ではなく山の掟を重んじ、自分自身を「獣」と称するなど、やや社会から逸脱した価値観を有しています。
収監された理由は殺人。
自分の獲物を横取りしようとした強盗団を返り討ちにし、その一人が逃げ出し警察に逮捕されたのですが、二瓶は警察の制止を振り切ってその強盗を殺害してしまったのです。
「聴こえてるか盗人どもッ」
「この二瓶鉄造が羆を狩る時は」
「殺される覚悟で勝負しているッ」
「俺を狩るというのならば……」
「獣の糞になる覚悟は出来ているんだろうな?」
山の掟を犯したものは山の掟で裁く。
ある意味では首尾一貫した価値観の持ち主と言えるでしょう。
非常に子だくさんで妻との間に15人の子供がいたそうですが、現在は絶縁状態になっています。
子供は一人を除いて娘ばかりで、作中ではしみじみ「女は恐ろしい」と語っていました。
誕生日は白石と同じ3月3日で年齢は60歳前後。
声優は大塚明夫さんです。
モデルは伝説のマタギ・山本兵吉と小説「銀狼王」の主人公・二瓶
二瓶鉄造のモデルとなった人物は二人存在します。
一人は実在した猟師で、北海道で起きた最悪の熊害「三毛別羆事件」を解決したことで知られ、生涯300頭以上の羆を仕留めたとされる伝説のマタギ・山本兵吉さん。
二瓶よりこちらの方が羆を仕留めた数多いんですね。
もう一人は開拓期の北海道を舞台に老猟師と狼の死闘を描いた熊谷達也の小説「銀狼王」の主人公・二瓶。
羆と狼、両者との戦いそれぞれにモデルがいるイメージですね。
また、こちらはモデルではありませんが、野田サトル先生の前作でアイスホッケー漫画「スピナマラダ!」には二瓶鉄造そっくりの二瓶利光という人物が登場しており、野田先生から二人には血縁関係がある旨のコメントが出されていました。
「ゴールデンカムイ」二瓶鉄造の銃と勃〇の魂(谷垣・チカパシ)
単発式の村田銃は戦死した息子の形見
二瓶鉄造は連射の効かない十八年式村田銃を使用しています。
もっと新しく、連射の効く便利な銃が流通していないわけではありませんが、二瓶は頑なにその銃を使い続け、また発射にあたって次弾を準備することもありません。
その理由の一つは、猟師としての二瓶の信念。
「一発で決めねば殺される」
「一発だから腹が据わるのだ」
そしてもう一つの理由は、それが日清戦争で戦死した息子の形見だからです。
その銃床には息子の手によって七本の傷があり、二瓶の発言から心優しい息子が殺した相手への罪の意識から刻んだものだと考えられます。
きっと二瓶にとって自慢の息子で、そんな息子を失ったからこそ二瓶は余計に猟師としての生き方に没頭していったのかもしれません。
銃と共に谷垣、チカパシへと受け継がれた勃〇の魂
二瓶鉄造の口癖と言えば「勃〇」。
ただ二瓶はこれをいやらしい意味で使っているのではなく、戦いや猟に際して昂る気持ちを表す言葉として使っていました。
元々「勃〇」には男の下半身のあれこれだけでなく、「力強く起こり立つこと」という意味合いもあるんですよね。
この二瓶鉄造の「勃〇」の言葉と魂は、マタギである谷垣源次郎、そして谷垣を通じて「勃〇」を意味する名を持つ少年チカバシに伝えられています。
樺太でチカパシが谷垣から二瓶の村田銃とともに、しっかりと「勃〇」の意味と魂を受け継いだシーンは、感動の一言でした。
「ひとりで立つ……」
「これも勃〇だね?」
「ゴールデンカムイ」二瓶鉄造の生き様とレタラとの死闘
猟師として、獣として山で死ぬことを望む
脱獄した二瓶鉄造は他の囚人たちとは違って金塊になど全く興味はなく、ただ猟師として獲物との勝負の果てに山で死ぬことを望み、アイヌ犬のリュウと共に山に入りました。
二瓶が獲物と狙い定めたのは、最後のエゾオオカミと目されるレタラ。
二瓶はただ自分がエゾオオカミを見た最後の猟師でありたいと考えたのです。
その狩りの最中、二瓶は山の中で行き倒れている谷垣と出会い、彼と行動を共にすることに。
その時、谷垣は軍人とマタギとの間で心が揺れ動いており、二瓶はそれを察して谷垣が迷いを振り払う切っ掛けを作ることになります。
着実にレタラへと近づく二瓶たち。
しかしレタラはアシリパの相棒であり、二瓶はレタラと自身の刺青を巡って杉元・アシリパと衝突することになったのです。
最後のエゾオオカミ・レタラとの戦いに臨み、命を落とす(死亡)
不死身の異名を持つ杉元相手に互角に渡り合っただけでなく、何と乱戦の中アシリパを人質に取り、杉元たちを退けた二瓶。
彼はアシリパを囮にレタラをおびき寄せることに成功します。
アシリパは自分のせいでレタラが二瓶を殺すことを恐れ、二瓶を止めようとしますが、二瓶はそれを一笑に付し、レタラとの一騎打ちに向かいました。
「人間を殺せば悪い神になって」
「地獄に落ちるというやつか……」
「安心しろ」
「人間なんぞにそこまで価値はない」
「これは獣と獣と殺し合いよ」
自分の腕を犠牲にして至近距離でレタラに銃口を突き付けた二瓶。
彼は勝利を確信しますが、その瞬間、突如現れたレタラの番に喉元を食いちぎられ、その命を落とします。
しかし二瓶にとってこの結末は本望であり、これ以上を望むべくもない最期に満足し、微笑みながら息を引き取りました。
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