「ラーメン赤猫」感想&評価(ネタバレ注意)~猫のラーメン屋ってだけなのにシンプルに面白い良作、あらすじ、登場人物など~


 今回は「ジャンプ+」において「ジャンプルーキー!」への投稿を経て「インディーズ連載」「通常連載」を獲得した人気作「ラーメン赤猫」について解説します。

 「ラーメン赤猫」は猫が経営するラーメン屋の日常を描いたちょっとファンタジーなお仕事コメディ。

 よくある猫がかわいいだけの話ではなく、抜け毛や味覚、法人格取得など猫ならではの苦労が丁寧に描かれ、しっかりと作り込まれた良作です。

 本記事では「ラーメン赤猫」のあらすじや主な登場人物の解説を踏まえ、その魅力を語ってまいります。

「ラーメン赤猫」あらすじ

 猫(+虎)だけで営むラーメン屋「ラーメン赤猫」。

 そんなラーメン赤猫に、人間の女性・社珠子がおばの紹介でパート面接に来たところから物語は始まります。

「社さんて猫好き?」

「どっちかというと犬のほうが」

「よし採用」

 店長の文蔵(猫)はたった一つの質問で社さんを採用。

 社さんはラーメン赤猫初の人間従業員として働き始めます。

 ちなみにこの質問は、従業員が猫好きだと猫だらけの環境で仕事にならなくなってしまうから、だそうです。

 ラーメン赤猫の主役はあくまで猫たち。

 社さんはお客さんたちが興ざめしないよう、あくまで裏方として、猫たちのブラッシングや掃除、洗い物などをして、徐々にお店に馴染んでいきます。

 とは言え猫だけでラーメン屋を経営するのはとても大変。

 抜け毛による衛生面の問題や、猫と人間の味覚の違い、迷惑なお客さんの存在から法人格の取得まで、様々な障害が立ちはだかっています。

 しかし文蔵たちラーメン赤猫は、そうした障害を一つ一つクリアし、立派にラーメン屋を経営しているのでした。

<世界観についての捕捉>

 「ラーメン赤猫」は一部の猫や動物が人間の言葉を喋って器用に働いている、ということを除けば基本的に現代日本と同じ世界観。

 言葉を喋ったり働く猫はむしろ少数派で、とても珍しい存在として描かれています。

 社会もそうした働く猫たちを完全に受け入れているわけではなく、まだまだ認知途上といった印象ですね。

「ラーメン赤猫」通常連載開始までの経緯

 「ラーメン赤猫」は元々投稿サイト「ジャンプルーキー!」に投稿された全5話の中編作品。

 そこで「連載争奪ランキング」で1位を獲得し、「ジャンプ+」でのインディーズ連載が開始されました。

 インディーズ連載は通常連載と異なり原稿料がPV数に応じた変動制で広告収入がなく、単行本発売が確約されていないお試し的な連載形態。

 しかし「ラーメン赤猫」は「ジャンプ+」内で徐々に人気を博し、30話からはインディーズ連載から通常連載への移行を果たしています。


「ラーメン赤猫」主な登場人物

社 珠子(やしろ たまこ)

 本作の主人公。

 短髪メガネの大人しそうな若い人間の女性で、ラーメン赤猫初の人間従業員。

 当初はパートだったが、後に正社員となる。

 以前は広告代理店に勤めていたが、相当なブラック企業だったようで心を病んで退職。

 おばからラーメン赤猫を紹介される。

 猫たちのブラッシングや掃除、洗い物など裏方を担当している。

 仕事に対しては真面目で意欲的、猫たちや関係者からの信頼も厚い。

文蔵

 ラーメン赤猫の店長を務める虎柄のオス猫。

 非常にきっぷの良い職人肌の猫であり、メインのラーメン調理を担当している。

 ラーメン赤猫の実質的なリーダー。

 元は野良猫だったが赤猫の先代店主(人間)に助けられ、その手伝いをしながらラーメンの調理を学ぶ。

 入院した先代に代わってラーメン屋台を引いていたところ、幼馴染の佐々木に誘われ現在の店舗に移った。

佐々木(プリン)

 ラーメン赤猫の接客、経理などを担当している灰色のオス猫。

 実はラーメン赤猫の経営者でもある。

 文蔵の幼馴染で同じ元捨て猫。

 文蔵と一緒に先代店主に助けられた後、彼は別の裕福な女性に引き取られた。

 その女性が亡くなった後、その財産は佐々木に引き継がれ、その資金を元手に現在のラーメン赤猫を始める。

 フルネームは佐々木プリン。

ハナ

 ラーメン赤猫の接客を担当している白毛のメス猫。

 接客技術は一流で彼女目当てで店を訪れる客も多い看板娘。

 やや気難しく打ち解けるまで時間がかかるタイプだが、仲良くなると非常に面倒見が良い。

 かつて「らぶぴぴ」という名前で猫アイドルをしていたが、好きでつけたピアスがSNSで動物虐待と炎上してしまい、うんざりして出奔し、ラーメン赤猫で働きだす。

サブ

 ラーメン赤猫で調理補助、サブメニューを担当している黒毛のオス猫。

 ノリが良くマイペースなムードメーカー。

 元野良猫で、赤猫の残飯を漁っていたことが切っ掛けで文蔵に拾われる。

 FPSゲーマーであり、実はプロチームにスカウトされたこともある実力者。

クリシュナ

 ラーメン赤猫で製麺を担当しているメスの虎。

 見た目は怖いが非常にシャイで怖がりな優しい女の子。

 クレーマーが現れた際は怖いのを我慢して表に出てきて対応してくれる。

 元は動物園育ちだったが、動物園では性格的に上手くパフォーマンスができずにいた。

 動物園での契約が打ち切られたところ、佐々木に誘われてラーメン赤猫で働き始める。

ジュエル

 ラーメン赤猫で接客担当新メンバーとして加入した長毛種のオス猫。

 猫のホストクラブを作ろうとしており、接客を学ぶためにラーメン赤猫で働き始める。

 非情にチャラいが、実は隠れて筋トレなどをする努力家。

 「10L」という名刺を使っているが、大抵「10リットル」と読まれてしまう。


「ラーメン赤猫」感想&評価(面白い? つまらない?)

イロモノかと思いきや話が良く練られている

 存在自体は以前から知っていたのですが、サムネイルとタイトルがイロモノ臭くて敬遠していたのがこのラーメン赤猫。

 ただ打ち切られることもなく長く続いているので果たしてどんな作品なんだろうと読んでみると、非常に設定がしっかりしていて面白い。

 猫がラーメン屋をするという難しさなどが丁寧に、しかしクドくない範囲で描かれていて、読みごたえがありました。

 特に良いなと感じたのはラーメン赤猫の注意書きにも書かれている

「接客一番 味二番」

 お客さんが求めているのは味以上にかわいい猫たちの接客。

 猫が作っているので完全に人間の味覚には合わせられない。

 何というか「猫のラーメン屋」のプロだなぁ、と感じ入るものがありましたね。

こんな人におすすめ

 読んだ方の感想を見てみると、「面白い」という意見が多い一方、合わない人には合わないようで「つまらない」と感じる方も少なからずいるようです。

 個人的には若い方よりは実際に労働経験のある大人向けの話なのかな、と感じました。

 話自体は基本的に一話完結型ですし、時間のない方でも読みやすい作品。

 「ジャンプ+」で試し読み部分だけでも読んでみることをおすすめします。

 

 ちなみに感想の中には「猫ラーメン」のパクリじゃんと意見もありましたが、読み比べて見ると猫がラーメン屋をやっているというネタは共通していますが、中身は全く別物。

 これに関してはあんまり中身を読んでないのかな、という印象を受けましたね。



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