「ライドンキング」感想&評価(ネタバレ注意)~プーチンが異世界転移!? なろう系でもなろうじゃないギリギリ過ぎる物語~


 今回は「空手小公子 小日向海流」などで知られる馬場康誌先生が月刊少年シリウスで連載中、最強大統領が桁外れの格闘技を武器に異世界で大暴れする異色の傑作「ライドンキング」について紹介します。

 「ライドンキング」は異世界転移なろう系に属する作品ではありますが、なろう原作ではなく、また一般的ななろう系とも一味違う独自色の強い物語。

 どう考えてもプーチン大統領がモデルとしか思えない人物が主人公で、しかもロシアは敵側という、よく出版できたなと呆れてしまう攻め過ぎた設定が特徴です。

 本記事では「ライドンキング」の魅力について、ネタバレ、アニメ化の展望、海外の反応なども交えて語っていこうと思います。

「ライドンキング」あらすじ(ネタバレ注意)

あらすじ~最強大統領、異世界に乗る~

 主人公は中央アジアの小国プルジア共和国(注:架空の国家です)を15年前に大国から独立に導いた終身大統領アレクサンドル・プルチノフ。

 プルチノフは無類の乗り物好きで、権力を活用して様々な乗り物に乗っていましたが、地球上で人間が乗れそうなものは既に乗りつくしてしまい、やや物足りない日々を過ごしていました。

 そんなある日、テロリストに襲われたプルチノフは驚異的な身体能力でトラックを背負い投げ、見事テロリストを撃退しますが、直後に自身の石像の落下に巻き込まれ意識を失ってしまいます

 目を覚ましたプルチノフがいた場所は、剣と魔法、そして数多のモンスターが存在する異世界。

 そこでワイバーンやケンタウロスといった「未知の乗り物」を目の当たりにし、大いに騎乗欲を刺激されたプルチノフは自国に戻ることを一先ず棚上げし、初の長期休暇、騎乗休暇(ライドンタイム)に突入するのでした。

 プルチノフは異世界で最初に遭遇した冒険者のサキ、ベルベディアと行動を共にし、冒険者として活動を開始します。

 そこでプルチノフは人馬族(ケンタウロス)が領主に捕らえられ、奴隷として酷使されている現状、辺境で苦しむ人々を見て立ち上がり、プルチノフ村の村長となって彼らを導いていきます。

 そしてそれが切っ掛けとなり、プルチノフは王国や魔族との大きな争いに身を投じていくこととなるのです。

用語・世界観解説

プルジア共和国
プルチノフが終身大統領を務めていた中央アジアの小国。
15年前に大国から”武力”で独立を勝ち取った新興国家でもある。
とにかく強い男を尊ぶ風潮がある武断的な国家。

アントニス王国
プルチノフが転移してきた只人の国で、新王国とも呼ばれる。
只人のみが人類と考える宗教が支配的で、亜人は奴隷として酷使されている。

種族
天地創造の際に創られた十二人類と呼ばれる種族が存在し、只人、洞人、森人の3種族を「巴の同盟者」、それ以外を「巴外の亜人」と呼ぶこともある。

・只人(ヒューム)
・洞人(ドワーフ)
・森人(エルフ)
・人馬族(ケンタウロス)etc……

また、魔族と呼ばれる転魂という混沌の儀式によって極々まれに生み出される超人も存在する。


「ライドンキング」主な登場人物(ネタバレ注意)

アレクサンドル・プルチノフ

 本作の主人公。
 中央アジアの小国プルジア共和国を15年前に武力で大国から独立させた指導者であり、同国の終身大統領。

 外見は完璧にプーチン大統領がモデル。

 CQC(近接格闘術)の達人で、数えきれないほど多くの武術を習得している。

 プルチノフの格闘術とは、型月などでいうマジカル八極拳と同種のとんでも武術であり、震脚ひとつで石畳や地面を隆起させ盾とし、大型トラックを易々と背負い投げしてしまう。

 当然のように”気”を扱い、その要領で魔力を練ることもできるので、異世界では「閃光魔術師(シャイニングウィザード)」などとも呼ばれている。

 基本的には紳士的で公正な為政者ではあるものの、乗り物に対する欲望がちょっぴり駄々洩れで、また騎乗の際は風邪を感じたいからと上半身裸になる悪癖がたまに瑕。

 言の葉の神、マーヤの加護を受けていて、異世界の言語も瞬時に自国の言葉と同じように扱うことができる。

サキ・スクイーダ

 プルチノフが異世界で出会った冒険者の少女。

 17歳の駆け出しで、金勘定にはうるさいものの善人。

 魔法剣士だが身体強化が出来ないとされる雷の属性で、魔法剣士としては落ちこぼれとされていたが、後にその欠点を克服し史上初の雷の闘気を纏う魔法戦士となる。

 実は貴族の非嫡出子で、許嫁から逃げて家を出奔している。

ベルベディア・デルーシア

 プルチノフが異世界で出会った冒険者の少女その2。

 サキの幼馴染で16歳の駆け出し魔法使い。

 魔法使いとしての才能は群を抜いており、伝説級の魔法・魔圧縮(スモールパッケージ)を独力で開発したほどだが、そのせいで魔導院から追われている。

 魔法薬(ポーション)ジャンキーであり、ポーション酔いしている際は露出狂となる。

カーニャ・カンナリエン

 プルチノフによって大猪鬼(ハイオーク)から救われたハーフエルフ(?)の少女(?)。

 自ら進んでプルチノフ一行に加わる。

 卓越したアーチャーであり精霊使いだが、普段は猫を被ってその実力を隠している。

 年齢不詳で、当初は520歳のエルフよりは若いとされていたが、実際のところそれも怪しい。

 実はハーフエルフではなく、エルフの始祖であるハイエルフ。

マルセロス

 人馬族(ケンタウロス)のリーダーを務める黒髪の青年。

 卓越した弓と剣の達人。

 囚われていた人馬族の子供を助けるため騎士団を襲撃したところをプルチノフと出会う。

 後にプルチノフを王と認め、人馬合体を果たす(ただしその姿は騎乗ではなく融合で、プルチノフはコレジャナイ感全開だった)。

 タクタロスという兄がいるが、兄は隷属の首輪によりジェラリエ・ゴルドーに隷属している。

ジェラリエ・ゴルドー

 ゴルドーの街の領主、ゴルドー子爵の娘。

 24歳の魔法戦士で、人馬族のタクタロスに騎乗し強力な炎の魔法を扱う。

 奴隷とするため人馬族を捕らえようとしてプルチノフたちと対立する。

 実は只人ではなく、領主が人馬族の女性に産ませた半人馬(サテュロス)。
 普段は鎧でその正体を隠していた。

 しかし正体が露見したことで叔父に処刑されそうになるが、その際突然街を魔族が襲撃。

 最後は街を守るため魔族と一騎討ちとなり、命を落とす。

ボッチ

 プルチノフに何故か異常に懐いている野良ホッチ。

 ホッチとは翼が退化した大型の鳥で、冒険者の友とも呼ばれている。
 イメージは嘴の薄いチョコボ。

 後にホッチコマンダーに進化し、様々な蹴り技を習得、マンティコアを仕留められるほどに成長する。

ブル

 魔狼(ガルム)の女王。

 当初は賊に隷属の首輪で支配されていたが、プルチノフたちによって解放される。

 非常に母性が強く、行き場のない子供たちを守護したことが切っ掛けで信仰の対象となり神狼に進化。

 プルチノフ村の守護者となる。


「ライドンキング」感想&評価

異世界転移なろう系だけどなろうじゃない、爆笑必死の傑作

 私はまずこの手の異世界転移なろう系を見かけたら、漫画を読む前に「小説家になろう」で原作を探すのがクセになっているのですが、この「ライドンキング」は探しても見当たらない。

 書籍化にあたってタイトル変更したのかな、それとも別の小説投稿サイトかな、と色々探しても全く痕跡がない。

 まさか……これ、なろう出身じゃないオリジナル!?

 こんな攻めたネタ満載の異世界転移ものなのに、なろう出身じゃないってことがあるんですね。

 内容的には常識ではあり得ない超人的な身体能力とマジカルなCQC(近接格闘術)を極めたムキムキのオッサンが無双する話で、そのシュールなキャラクターや趣味趣向もあって爆笑必死。

 単なるギャグ作品というわけでもなく、主人公は確かにネタキャラですが、その人格的なバックボーンや世界観は非常にしっかりとしていて、(主人公のあれこれに目を瞑れば)良質なファンタジー作品でもあるのです。

 確かにネタキツメですが、それだけじゃない良作ですので是非是非ご一読を。

元ネタは完全にプーチン大統領だけど、海外の反応はどうなの?

 これを読んだロシア人はまず大爆笑。
 その上で、これはロシアじゃ出版できないな、との反応がネット上では大勢を占めているようです。

 そもそもプーチン大統領が元ネタのくせして、そいつがロシアっぽい大国からグルジアっぽい小国を独立させてるとか、ロシアでこんなもの出版したらブッ殺されんじゃないでしょうか。

 というか、ロシアの地方裁判所では、「生まれ変わり/転生信仰」を助長させるとして日本の異世界アニメを禁止する判決が出ています。

 その際に名指しされていたのは「転スラ」とかで、「ライドンキング」については触れられていなかったのですが……どう考えても「ライドンキング」が原因ですよね(まだアニメ化されてなかったというのもあるんでしょうけど、先んじて)。

アニメ化希望の声が多いけどアニメ化はされる? いつ?

 非常に人気の高い作品で、ファンのみならず声優さんからもアニメ化希望の声が多い「ライドンキング」ですが、果たしてアニメ化はされるのか。

 今のところ公式からアニメ化の発表はありませんが……正直難しいんじゃないでしょうかね。

 いや、流石に。

 これは攻め過ぎというか、アニメ化までするとなると、色々とこう……まずいでしょう?

 勿論、個人的には是非アニメ化して欲しいのですが、このご時世にそんなリスクをとれる制作会社があるわけもなく、リスクをとれとも言えませんので……

 期待しないわけじゃないんですが、下手をすればこの作品だけじゃなく他の作品にも色々規制がかかりかねないので、無理はしないで欲しいですよね。



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