今回は「週刊少年サンデー」で連載中の大人気ファンタジー「葬送のフリーレン」から、城塞都市ヴァイゼの領主「グリュック」について解説します。
グリュックは悪徳の街ヴァイゼを平定するため大魔族「黄金郷のマハト」と手を組んだ男。
その結果、ヴァイゼはマハトによって黄金郷へと変えられてしまいますが、それはグリュックの失策でも魔族に対する不理解からくるものでもありませんでした。
ある意味で最も深く魔族を理解していたマハトの悪友。
本記事ではそんなグリュックのプロフィールや登場話、人間関係を中心に解説してまいります。
「葬送のフリーレン」グリュックのプロフィール
基本プロフィール
グリュックは魔王直下の大魔族・七崩賢「黄金郷のマハト」によって黄金へと変えられた北側諸国城塞都市ヴァイゼの領主です。
外見は太目の眉が特徴の不愛想な雰囲気の貴族男性。
初登場となった回想シーンではまだ中年でしたが、フリーレン一行と出会った現在では既にかなりのご高齢です。
性格は合理的で目的のためなら手段を選ばないタイプ。
ただ根っこの部分では義理堅くて情に厚く、悪への強い怒りを胸に秘めていました。
名前の由来はドイツ語で「幸福」。
悪徳の街・城塞都市ヴァイゼの領主
グリュックが領主を務める城塞都市ヴァイゼは、帝都での政争に敗れた貴族が最後に行きつく場所。
多くの貴族が懲りずに権力闘争を続け、都市の運営を蔑ろにし、私利私欲に走り圧政を敷く悪徳の街でした。
若き日のグリュックは実権のない名ばかりの領主で、その現状を憂いていました。
しかし憂うだけで何も行動には移さなかったグリュック。
グリュックが変わったのは、正義感の強い彼の息子がヴァイゼの有力貴族に直訴し、殺されてしまってから。
グリュックは息子を殺された復讐のため、そしてそれ以上に息子の目指した人があるべき世界を目指して悪徳貴族たちとの対決を決意しました。
そしてそのための手段として、偶然出会った大魔族・黄金郷のマハトと手を組むことになるのですが……
「葬送のフリーレン」グリュックの登場話(何話?)
グリュックの登場話は90~92話、そして103~104話です。
前半がマハトの記憶の中の回想シーン、後半が黄金郷から解放された後の現在のグリュックですね。
前半ではグリュックとマハトとの出会い、二人が手を組みヴァイゼを平定し、最後はマハトによってグリュックたち街の住民ごとヴァイゼが黄金郷へと変えられる様が描かれています。
そして後半ではフリーレンによってヴァイゼの黄金化が解かれ、元に戻ったグリュックと瀕死のマハトの再会と別れ。
グリュックがマハトへ抱いていた本音の感情がストレートに語られています。
「葬送のフリーレン」グリュックとデンケン
1級魔法使い試験編で登場し、後に1級魔法使いとなったデンケンはグリュックの娘婿です。
デンケンは元々グリュックの親戚の息子で、魔族に両親を殺され、グリュックに引き取られました。
そこでグリュック家の魔法指南役と務めていたマハトに魔法の指導を受け、軍属の魔法使いとなって功績を挙げていくことになります。
グリュックにはデンケンと年の近いレクテューレという娘がいて、幼い頃から親しくしていました。
グリュックは気づいていませんでしたが、二人は昔から互いに好意を持っていたようで、後に結婚し、デンケンはグリュックの婿養子となります。
しかしレクテューレは身体が弱く、治療のためには金と権力が必要。
デンケンはレクテューレを救うために奮闘しますが間に合わず、彼女は若くして亡くなってしまいます。
以降、デンケンはヴァイゼを離れ、ずっと故郷に帰ることができずにいました。
「葬送のフリーレン」グリュックと黄金郷のマハト
黄金郷のマハトをヴァイゼ平定に利用
グリュックとマハトの出会いは、マハトがヴァイゼに向かう貴族の馬車を襲撃したことが切っ掛けでした。
殺されかけているのに平然としているグリュックにマハトは興味を持ち、気まぐれにある質問をします。
それは「悪意」「罪悪感」とは何か、というものでした。
魔族であるマハトには「悪」という概念そのものがなく、それ故にマハトは人間に興味を持っていました。
ヴァイゼの領主として多くの悪意に触れてきたグリュックは、マハトに「悪」という概念を教えるかわり、ヴァイゼ平定のために力を貸せと持ち掛けます。
グリュックに興味を持ったマハトはそれに応諾。
グリュックの手足としてヴァイゼの悪徳貴族を排除し、グリュックに仕える忠実な部下として振る舞うようになります。
地獄の底まで付き合うと約束した悪友
何十年にもわたってグリュックに仕えたマハト。
マハトは結局「悪」を理解することは出来ませんでしたが、共に過ごした時間は二人にとってかけがえなく、楽しいものでした。
だからこそ、マハトははある日突然、その全てをぶち壊そうと決断します。
そうすれば「悪意」を「罪悪感」を理解できるのではないかと考えて。
いつかこんなときが来ると思っていた、とそれを笑って受け入れるグリュック。
そんなグリュックごとヴァイゼの全てを黄金に変えても、結局マハトはも理解することはできませんでした。
半世紀後、フリーレンによってヴァイゼの黄金郷の呪いは解呪され、マハトはデンケンによって致命傷を負い逃走します。
そのマハトの前に現れたのが、黄金化が解かれたグリュック。
グリュックは死にかけのマハトとタバコをくゆらせ、別れの言葉を口にします。
「…結局なにも…」
「…わからなかった…」
「すまない」
「君が探し求めている感情を」
「見つけるまで」
「地獄の底まで付き合うと」
「約束したのにな」
「あの言葉は私の本心だった」
「…存じております…」
「悪友よ、楽しかったよ」
「…本当に楽しかったんだ」
追いかけてきたデンケンに止めをさされたマハトを、グリュックは静かに見送りました。
その後グリュックは宮廷魔法使いでもあるデンケンに頼んで帝都から使者を招き入れ、かつての自分の行いを含めたヴァイゼの悪行にケジメをつけることになります。
マハトの最期に関しては、フリーレンやデンケンがいなければ、マハトはより悲惨な最期を迎えていただろうと、恨むつもりはないとフリーレンに感謝の言葉を伝えていました。
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