今回は大人気漫画「ゴールデンカムイ」から、皆から愛されたアイヌのかわいいおばあちゃん「フチ」について解説します。
フチは本作のヒロイン・アシリパの祖母。
小樽のコタン(村)で両親をなくしたアシリパと共に暮らしており、コタンを訪れた杉元たちを快く迎え入れ、その旅を支えてくれた心優しき老婆です。
作中ではその人柄により多くの者たちから慕われていたフチ。
本記事ではそんなフチの魅力、彼女が物語の最後でどうなったかなどを中心に語ってみようと思います。
「ゴールデンカムイ」フチのプロフィール
基本プロフィール(本名、年齢、声優など)
フチは本作のヒロイン・アシリパと共に小樽のアイヌコタン(=村)で暮らすアシリパの母方の祖母。
非常におおらかな人物で、作中ではアイヌ民族の金塊を求めてコタンを訪れた和人の杉元たちを快く迎え入れてくれました。
金塊争奪戦とは無関係の古き良きアイヌの民。
アシリパとは違って和人の言葉は話せず、杉元たちとは微妙に意思疎通が食い違うこともありました。
亡くなった夫がコタンで一番偉かったためコタン内での影響力は強く、その証として唇に一際大きな刺青を入れています(アイヌでは偉い人の奥さんほど大きな刺青を入れる)。
なお、作中で主に彼女を指す言葉として使われている「フチ」とはアイヌ語で「高齢の女性」を指す言葉で、本名ではありません。
ファンブックで明かされた本名は「ススポ」。
アイヌ語で「柳の花穂(かすい)」を意味します。
年齢は野田先生の質問箱の回答によると、土方と同じくらいということだったので物語の舞台となった1907年時点で72歳と考えられます。
声優は一城みゆ希さん。
北海道各地で暮らすフチの親族が杉元たちの旅をサポート
杉元たちのコタンに迎え入れてもてなし、負傷した谷垣を静養させてくれたフチ。
彼女の助けはそれだけでなく、北海道各地を巡る物語においては、フチの親族の存在が大いに杉元たちを支えてくれました。
フチには非常に多くの兄弟姉妹が存在し(15番目の妹の存在までは確認)、その子や親族が北海道各地で暮らしています。
アシリパも彼らと面識があったのか(父ウイルクに各地を連れられていたのでしょう)、旅先ではしばしばフチの親族の世話になっていました。
「ゴールデンカムイ」フチとアシリパ
フチにとってアシリパは、手のかかるかわいい孫娘です。
アシリパは生まれてすぐに母親を亡くし、父親も金塊争奪戦に巻き込まれて殺害されてしまいました(父親は死を偽装してこっそり生き延びていましたが)。
フチは自分が唯一の肉親となったアシリパに惜しみない愛情を注ぎ、古き良きアイヌとして彼女を育てようとしますが、お転婆で新しい物好きなアシリパは中々思い通り育ってくれません。
狩りばかりしていて家の中の仕事は覚えないし、アイヌの刺青は嫌だと言うアシリパ。
せめて良い旦那でも見つけてやらなければ心配であの世にも行けないと、フチは初対面の杉元に「アシリパを嫁に貰ってくれ」と申し出たこともありました(アイヌ語なので杉元には伝わっていませんでしたが)。
軽口かと思いきや、重ねてお願いしていたので結構ガチ。
杉元の人柄とアシリパとの相性を初見で見抜いていた、ということなのでしょうね。
「ゴールデンカムイ」フチを愛した男たち(?)
フチはその人柄により、非常の多くの者……特に若い男たちから慕われています。
その筆頭が谷垣源次郎。
毒矢を受け、フチのコタンで手厚い看護を受けて静養した谷垣は、フチに深い恩義を感じ、フチのことを実の祖母のように慕うようになります。
インカラマッからアシリパの死の予言を聞き、そのショックで弱ってしまったフチを目の当たりにした谷垣は、
「世話になった婆ちゃんの元に」
「孫娘を無事に帰す」
「それが俺の『役目』だ」
と決意し、過酷な旅に身を投じました。
この他にも、作中随一の裏切り者である尾形百之助でさえ、フチに対しては殺したくないと情を見せ「バアちゃん子の俺にそんなことをさせるな」と発言しています。
またチカパシも自分を受け入れ、食べさせてくれたフチのことを心配する発言をしていました。
ある意味、フチは作中で最も多くの男を虜にした女性なのかもしれません。
「ゴールデンカムイ」フチは百戦錬磨の産婆
フチは19歳の頃からお産を助けている百戦錬磨のイコインカラマッ(=アイヌ語で「産婆」の意)です。
アシリパを取り上げたのもフチだそうですね。
作中では破水したインカラマッを連れて突然やってきた谷垣を落ち着かせ、見事に谷垣たちの子供を取り上げています。
お産を前にしたインカラマッは、何かただならぬオーラを発していて非常にカッコよかったです。
ちなみにフチが活躍し、谷垣が父親となったこの231話「出産」が本誌に掲載された際には、Twitterで「野田先生出産」がトレンド入りしていました。
「ゴールデンカムイ」フチの最後はどうなった(死亡?)
作中でインカラマッからアシリパの死を予言された際には気落ちし、自らの死を意識して死装束の準備を始めたフチ。
彼女のその後については読者からも非常に心配されていました……が、最終回時点でも彼女は元気に存命中です。
その理由は「赤ん坊を育てるのに忙しくて気落ちしている暇が無かった」というもの。
フチが育てることになった赤ん坊とは、刺青囚人の一人「稲妻強盗」坂本慶一郎と、その妻・蝮のお銀の子供です。
第七師団との抗争で命を落とした坂本とお銀。
鶴見中尉たちは、一人残された赤ん坊をまさか自分たちで育てることもできず、アイヌ民族の”自分の子でなくとも子供は大切に育てる”という風習に期待して、相応の金銭と共にこっそりフチのコタンにその赤ん坊を押し付けたのです。
その後、作中では甲斐甲斐しく赤ん坊の世話をするフチの姿が描かれており、彼女の母性の深さを感じさせました。
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