今回は山口つばさ先生が「アフタヌーン」で連載中の青春アートストーリー「ブルーピリオド」から、デカいもの好きヤンキー芸大生「村井 八雲(むらい やくも)」について解説します。
村井八雲は主人公の八虎と同期で藝大の油画科に入学した男子学生。
タトゥーにピアス、ちゃらんぽらんな言動と見た目はヤンキーそのものですが、実は入試成績次席でアートの知識も豊富な実力派です。
八虎のことを気に入り、作中では色んなところでアドバイスをくれる頼れる八雲。
本記事ではそんな彼のプロフィールや過去、モデルとされる作家などを中心にその魅力を深掘りしてまいります。
「ブルーピリオド」村井八雲のプロフィール
基本プロフィール(誕生日、年齢、身長、出身地など)
誕生日 | 5月18日 |
年齢 | 21歳(初登場時、八虎の3歳年上) |
身長 | 不明(目算で170cm台後半) |
所属 | 東京藝術大学絵画科油画専攻(学生) |
出身地 | 島根 |
村井八雲はコミックス7巻から始まる藝大編で登場するキャラクター。
油画科に入学した主人公・矢口八虎の同級生です。
村井八雲は見た目ヤンキー風のイケメン。
房の付いた大きめのピアスと背中全面に刻まれたフクロウのタトゥーがトレードマークです。
性格はちゃらんぽらんでだらしなく、図々しくて意地汚くて自信家でマイペースとヤンキーそのものですが、明るくて人当たりは良く、意外と面倒見の良い一面もあります。
また、こう見えてアートに関する知識は豊富でかなりのインテリ。
浪人はしているものの、入試の成績は次席と八虎の代ではかなりの有望株です。
作中では何故か八虎のことを気に入り、知識や経験の不足している八虎に様々なアドバイスを送ってくれます。
鉢呂、モモちゃんとは藝大入学前からの友人
いつも村井八雲が行動を共にしているのが同級生の鉢呂健二と柿ノ木坂桃代(以下、モモちゃん)。
彼らは年齢も性別もバラバラですが、学内では大抵3人で行動しています。
当初は単純に気があったのかと思っていましたが、実はこの3人は藝大入学以前からの友人。
モモちゃんのお父さんが広島で寺の住職をしており、村井はその住職に気に入られモモちゃんの絵の先生をしていたんだそうです。
また鉢呂はかつて仏具関係の会社に勤めていたことがあり、その時の取引先がモモちゃんの実家。
彼らはその縁で今でも親しくしており、長期休暇の際は広島のモモちゃんの実家に一緒に帰省し、寺の小屋で創作活動をしているそうです。
本当はもう1人、真田まち子という仲間がいましたが、彼女は既に命を落としており……
「ブルーピリオド」村井八雲の過去(真田まち子)
村井八雲は元々島根県の出身。
貧しい母子家庭、ネグレクト気味の環境で育ったものの、そこはタフな彼のこと。
似た境遇のヤンキーとつるみ、バイトをしながら元気に過ごしていました。
そんな彼が絵に興味を持ったのは、バイト先の先輩とトラブルを起こしてボコられ、倒れていた所を売れない画家の女性に拾われたことが切っ掛け。
八雲はその女性の家に住み着くようになり、偶然連れていかれた美術館で心揺さぶる1枚の絵と出会い、絵を描き始めます。
そしていつか孤児院を開きたいと語る女性の夢に共感し、自分が画家になって稼いで一緒に孤児院をやろうと言い、意気揚々と藝大を受験しましたが……結果は落選。
地元に戻っても絵を学ぶ環境がなかったため、そのまま東京に移り住み、昼は働きながら「てつどーばし美術予備校」の油画科へ通うようになります。
そしてそこで八雲は、初対面でカビたパンを食べて盛大なゲロを吐く変な女、真田まち子と出会いました。
真田まち子は予備校始まって以来の天才。
八雲は当初彼女に反発していましたが、ある出来事が切っ掛けで憧れに似た感情を抱くようになります。
真田まち子もそんな八雲を認め、彼を地元広島でモモちゃんに絵の先生として紹介しました。
モモちゃんとそのお父さんに気に入られ、お寺で住み込みで働きながら創作活動・絵の勉強を続ける八雲。
来年こそは真田と同じ場所に立ってやる。
そう思っていた矢先、真田は事故で冬の海に落下し、帰らぬ人となってしまったのです。
「ブルーピリオド」村井八雲のモデルは川田龍?
村井八雲のモデルは実在するアーティスト「川田龍」さんだと言われています。
というのも、ブルーピリオドで作中に登場する学生たちの作品の多くは実在するアーティストから寄稿されたもの。
村井八雲の作品を主に寄稿しているアーティストこそが川田龍さんなのです。
川田龍さんは藝大出身でプロとして活躍中のアーティスト。
イケメンということもあって、ファンの間で村井八雲は絵だけでなく人物像も川田龍さんがモデルなのでは、と話題になっていました。
が、これについては既に山口つばさ先生本人からコメントがあったようで、
なるほど。
村井八雲には確かに川田龍の要素も混じっているけど、それが全てではないということですね。
「ブルーピリオド」村井八雲の作品(絵)
村井八雲の作品は、とにかく「でかい」ことが特徴です。
村井八雲はことあるごとに「でかい=最強」と主張し、展示スペースに収まらないほど巨大な作品を作っています。
作中では油絵をメインで描いていますが、マケットやフレスコ画などそれ以外の分野も器用にこなしていました。
藝大入学時の自己紹介の際に見せてくれたのが、身近な人を名画の登場人物に見立てて描いたシリーズ。
友人のモデルをフィリップ・ド・シャンパーニュの「屍衣の上に横たわる死せるキリスト」に見立てた巨大な油絵です(寄稿:川田龍)。
また東京をテーマにマケットと絵を製作するよう課題を出された際は、上野のホテル街をモチーフに作品を製作(寄稿:森山亜希)。
こちらもやはり巨大で、室内に収まらず屋外に展示していました。
画力に関しては教授陣からの評価も高く、八虎たちの代では周囲から一目置かれている印象があります。
AOJ編では真田まち子に贈る「供花」で大賞を受賞(八虎は入賞)。
見事賞金100万円をゲットしていました。
「ブルーピリオド」村井八雲はここがかっこいい
皮肉にも動じない強メンタル
教授たちの前での自己紹介の際、自分の作品を「最強の出来」と称した村井に対し教授が、
「最強のものができたならもう大学来なくていいんじゃない?」
とチクリ。
普通だったら委縮してしまいそうなものですが村井は、
「俺は常に最強を更新し続けるんで」
と返し逆に教授をイラつかせていました。
メンタル強いですねぇ。
いつも美味しい所を持っていく
藝祭で神輿の準備が間に合わず、ピンチに陥る八虎たち。
絶望に染まりかけた神輿隊の前に助っ人として颯爽と現れたのが村井でした。
……実際には村井以外にも多くの人が助っ人として登場したのですが、いの一番に現れ、美味しい所を持って行ったのが村井。
彼は神輿行列の本番でも、ちゃっかり先導役として神輿の上に乗るという一番目立つポジションを確保していました。
見た目に似合わぬインテリぶり
村井八雲と言えば見た目に似合わぬインテリぶり。
例えば東京をテーマにした課題の際、八虎は渋谷について調べますが誰でも知っているようなことしか出てきません。
そんな八虎に村井は「渋谷でアートっつったらセゾン文化だろ」と、さらりと深みのある知識を披露し、八虎の課題製作の助けになっていました。
また2年進級直後の課題で出された500枚ドローイング。
モモちゃんからドローイングの定義に尋ねられると、スケッチ、エスキース、クロッキー、デッサンなど他の技法の特徴と違いを踏まえ、さらりと回答していました。
こういう見た目とのギャップがエグいんですよね。
「ブルーピリオド」村井八雲の名言
それでは最後に村井八雲の名言を紹介してシメとさせていただきます。
「八虎の自己紹介のときの」
「作品すきだー」
「教授にボロクソ言われたからって」
「ダメな絵になるわけじゃねーだろ」
藝大1年目も終盤を迎え、自信を失ってばかりいた八虎に対し、村井がさらりと発した一言。
村井自身は特に何かを意識して言ったわけではないでしょうが、この一言が周囲に振り回されてばかりいた八虎が自分の価値観を見直すきっかけになっていました。
「なんで?」
「楽しい方がよくない?」
コンセプトや課題の意味にばかり囚われ、何も描けなくなっていた八虎に村井が発した一言。
もっと考えて描かないと。
そう思い込んで手を動かすことを忘れていた八虎に、ただ描くことの楽しさを思い出させてくれた言葉です。
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