今回は2023年4月にドラマ化が発表された「ばらかもん」について解説します。
「ばらかもん」は長崎県五島列島を舞台に都会育ちの若き書道家と島民たちの触れ合いを描いた少年漫画で、2008年から2018年にかけて「少年ガンガン」で連載されていました。
2014年にはアニメ化もされた人気作でしたが、作者の次回作の都合か、当時打ち切りも噂される唐突な形で幕を閉じています。
本記事では「ばらかもん」のあらすじや登場人物の解説と共に、当時話題となった終わり方やアニメ2期の可能性について語ってまいります。
「ばらかもん」あらすじ
新進気鋭の若手書道家が大御所を殴って島流しに
本作の主人公は若き新進気鋭のイケメン書道家「半田清舟(本名:半田清)」。
彼はある受賞パーティーで自分の書を「詰まらない」と酷評した書道界の重鎮を、怒りに任せて殴りつけてしまいます。
同じ書道家である半田の父親は息子が「書道家以前に人として欠けているものがある」と判断、自分を見つめ直させるため息子を自然豊かな長崎県五島列島へと送り込むことに。
反省する気などサラサラなく、ほとぼりが冷めれば帰る気満々の半田でしたが、琴石なるをはじめとした個性豊かで気の良い島民たちと触れ合う内、少しずつ心境に変化が起こります。
都会育ち、温室育ちの半田にとって不便な田舎暮らしは失敗の連続。
しかし島民たちに助けられながら、少しずつ人として成長し、彼の型に嵌っていた心も解きほぐされていきます。
そうしている内、殴ってしまった重鎮から謝罪の機会が与えらえ、暴行事件を水に流してもらえた半田。
晴れて東京に戻れるようになったわけですが、そこで彼は島では自由に書けていた書が、東京では書けなくなっていたことに気づきます。
そして島で自分の帰りを待つなるたちの声を聞いた半田は、改めて島での生活に戻ることを決意。
心境新たに島の人々や自分の書と向き合うようになった半田は、親がレールを引いてくれた書道家だけが自分の道ではないのではないか、と考えるようになります。
親の助けを借りず、自分の力で生きていきたいと考えた半田は、書道家を辞め、島の書道の先生として生計を立てることを宣言。
先行き不安、書道家としての道も完全に捨てたわけではないようですが、自立し、島の人々と共に生きていくことを選択します。
(捕捉)「ばらかもん」の意味、物語の舞台など
この「ばらかもん」の舞台は、作者「ヨシノサツキ」先生の出身地である長崎県五島列島。
中でも実際にモデルとして描かれているのが福江島で、アニメ公開後は聖地巡礼先としても人気でした。
タイトルにもなっている「ばらかもん」とは五島列島の方言で「元気者」の意。
なるたち島民や、彼女らと触れ合うことで心を解放していく半田のことを示しているものと考えられます。
なお「ばらかもん」の連載と並行して発表されたスピンオフ「はんだくん」では、学生時代の若き半田の姿が描かれており、2010年発売の短編集「みしかか!」では、高校生になって島を出た美和とタマが登場しています。
「ばらかもん」主な登場人物
半田 清舟(はんだ せいしゅう)/先生
本作の主人公で23歳の若き新進気鋭の書道家。
「青舟」は雅号であり、本名は「清」、島民たちからは主に先生と呼ばれている。
島民たちからは「ジュノンボーイ」と呼ばれるイケメンだが、連載途中からアホ毛が生えることに。
プライドが高く自信家、温室育ちで基本的に生活能力皆無のドジっ子。
子供嫌いを公言しているが、何だかんだ面倒見が良く、結局島では子供の相手ばかりしている。
作中では自分の書を重鎮(=杖を持った老人)に酷評され、暴力事件を起こし、父親によって島流しにされる。
五島では基本的にネットで書道家としての仕事を受けつつ、子供たちに書道を教えて過ごしている。
なお、半田の父親は書道の大家で厳しそうに見えて息子にダダ甘。
若い頃五島で過ごした経験を持っており、息子を島流しにしたのも親心から。
琴石 なる(こといし なる)
本作のもう一人の主人公とも言える、島育ちの少女。
初登場時小学1年生の7歳児。
明るく天真爛漫、自由奔放な田舎の子。
半田が住むことになる空き家を、美和やタマと共に隠れ家として利用しており、半田を先生と呼んで懐くようになる。
いたずら盛りだが意外と空気を読むタイプ。
父親は船乗りで年に数日しか帰ってこず、祖父と二人で暮らしている。
山村 美和(やまむら みわ)
なるやタマと共に半田が借りた空き家を隠れ家にして遊んでいた女子中学生。
初登場14歳で中学2年生。
ショートカットで勝気な雰囲気の少女で、自称ソフトボール部のエース。
見た目通り運動神経抜群だが、学業は少し残念。
作中では家業である「山本酒店」を製造から手掛ける「山本酒造」として次ぐことを決意する。
なお、短編集「みしかか!」ではタマとともに村の離れて高校に通っており、赤髪ロングヘアの大人っぽい雰囲気の少女へと変貌している。
新井 珠子(あらい たまこ)/タマ
なるや美和と共に半田が借りた空き家を隠れ家にして遊んでいた女子中学生。
初登場14歳で中学2年生で、愛称は「タマ」。
三つ編み眼鏡の地味そうな少女で、基本的には常識人だが重度の腐女子であり、半田やヒロを見て度々BL妄想を拗らせている。
漫画家を目指しており、作中では漫画賞も受賞。
短編集では高校卒業後、都内の大学へ進学することが決まっている。
成績優秀で手先も器用、実は運動神経抜群と非常にハイスペック。
弟も地味な見た目ながらハイスペックであり、かなり優秀な血統と思われる。
木戸 浩志(きど ひろし)/ヒロ
半田の世話をしてくれている郷長の息子。
初登場時高校3年生で愛称は「ヒロ」「ヒロ兄」。
何かと普通で両親から凡人扱いされてグレたかわいそうな少年。
善人で面倒見が良く、半田の食事の世話をしてくれる。
凡人脱却を目指し、特技である料理を活かし、東京の調理師専門学校に進学した。
久保田 陽菜(くぼた ひな)/ひな
なるの親友でよく一緒に遊んでいる少女。
初登場時小学1年生で7歳。
黒髪の大人しそうな少女で、人見知りで喜んでも悲しんでもとにかく泣く。
実は結構小悪魔でもあり、一々反応してくれる半田を面白がって、わざと泣いているという一面も。
川藤 鷹生(かわふじ たかお)
半田の中学時代からの友人。
見た目は怖いが社交的で気の良い男。
美術藝術舎で働いており、半田のマネジメントを担う彼の良き理解者。
タマの弟である「あっきー」と仲が良く、彼に株の相談をしている。
「ばらかもん」は打ち切り? 問題となった終わり方
「ばらかもん」は完結時、やや唐突な終わり方で当時「打ち切り」かとファンの間で話題となりました。
完結の経緯をざっと説明すると、2018年6月に発売された17巻の巻末で2018年12月発売の18巻で完結することが突如発表。
何となく駆け足で物語に区切りがつかないまま、ラスト突然時間軸が未来に飛んでふわっと終わり。
半田が書道家としてどうなったかとか、不完全燃焼のまま終わってしまったため、「打ち切りみたいな終わり方」とファンの間で話題になったわけです。
では実際「打ち切り」だったのかと言うと、当時「ばらかもん」には一定数の固定ファンがいましたから、出版社側都合の「打ち切り」ではないと考えられます。
確かに展開的に地味で盛り上がりに欠けるという意見はありましたが、そもそもそういう作品でしたし、それが好きで読んでたファンは多かったですからね。
恐らくは作者都合による完結。
完結に併せて「ヨシノズイカラ」など次回作の連載が開始されていますから、そちらに集中したかった、10年同じ連載を続けたことによるモチベーション低下などの理由によるものでしょう。
綺麗に終わらせようにもこの手の日常系作品って、区切りをつけるの案外難しいですしね。
「ばらかもん」アニメ第2期はある?
2023年4月にドラマ化が発表された際、ファンの間では喜びと同時にある声が多く挙がっていました。
「先にアニメ2期だろ」
2014年7~9月にかけて全12話で放送されたアニメ第1期。
原作で言えば6巻(半田が東京で許され、五島に戻ってきたところ)までですから、まだまだストーリーは続いています(全18巻)。
ファンとしてはどこまで再現されるか怪しいドラマより、まずアニメをというのが本音ですよね。
ではアニメ第2期の可能性があるのかというと、正直これは難しいと思います。
そもそももう10年近く経過してますから、今更続編といっても本当についてきてくれているファンはごく僅か。
商業的に厳しいでしょう。
可能性があるとすれば、ドラマがスゴイ大ヒットして、そこからの再アニメ化。
ただこの場合もアニメ2期ではなく、最初からリメイクしてという形になるのではなかろうかと。
どちらにせよ、原作が完結してる現状、アニメは続編だろうと何だろうと可能性は極めて低いでしょうね。
コメント
久しぶりに気持ちの温かくなるドラマだいすきです
録画して何度もみてます
主人公の杉野くんのファンでみたのですが
なるの可愛さに魅せられている
おばあちゃんてす
まどまだみたいです