「ゴールデンカムイ」月島基(月島軍曹)~あの状況で常識人でいられることこそ異常? 鶴見、いご草との過去、鼻、声優など~

 今回はヤングジャンプで連載中の大人気漫画「ゴールデンカムイ」から、作中随一の常識人にして人気キャラ、月島軍曹ー本名「月島 基(つきしま はじめ)」について解説します。

 ゴールデンカムイは明治末期の北海道・樺太を舞台に、男たちがアイヌ民族から強奪された金塊を求めて争いを繰り広げる物語。

 月島は金塊を求める鶴見中尉の右腕として作中では縦横無尽の活躍を見せる優秀な軍人です。

 本記事では、常識人と言われる月島が内に秘めた狂気、いご草ちゃんとの過去などを中心に、そのキャラクターを深掘りしていきたいと思います。

「ゴールデンカムイ」月島基(月島軍曹)のプロフィール

基本プロフィール(外見、性格、モデル、誕生日、年齢、声優など)、特徴的な鼻

 月島は帝国陸軍北海道第七師団に所属する軍人で、鶴見中尉の側近です。

 外見は異常に低い鼻(母親譲りだそうです)と目元から延びるシワが特徴の小柄な男性で、第一印象はモブ。

 しかし軍人としての能力は極めて優秀で、その肉体も小柄ながら見事に鍛え上げられ、高い戦闘能力を保持しています。

 性格は非常に真面目で常識人。
 どんな状況に陥ろうと、淡々と冷静に任務をこなしていく典型的な軍人です。

 作中では北海道に軍事政権を樹立しようと企む鶴見中尉の忠実な右腕として、アクの強い第七師団のメンバーのフォローに回っていました。

 実在の人物がモデルとなっていることが多いゴールデンカムイですが、月島軍曹に関してはモデルは存在しないようです。

 年齢は30代半ばと予想されており、誕生日は4月1日。

 声優は竹本英史さんです。

作中随一の常識人、周りがイロモノ過ぎて逆におかしいんじゃないかと疑われる

 繰り返しますが、月島は極めて優秀かつ真面目な軍人で、作中随一の常識人です。

 基本的に主要キャラがイロモノ揃いで狂った連中ばかりのゴールデンカムイのなかではかなり貴重な存在と言えるでしょう。

 そのまともさがウケて、人気投票でもヒロイン上司を押しのけて3位にランクインしていました。

 しかし狂ったゴールデンカムイの世界観の中では、その常識人っぷりが異質に映ったのか、ファンから「逆に月島の方がおかしくない?」「あの状況で正気なのはもはや狂気では?」などと逆に正気を疑われる始末。

 実際その言葉通り、月島が置かれた環境、過去はかなり特殊かつ過酷であり、月島の正気は狂気と表裏一体の関係にあったのです(詳細は後述)。


「ゴールデンカムイ」月島基(月島軍曹)の人間関係

鯉登の奇行を真顔でフォロー、意外といいコンビか?(その他、谷垣、杉元)

 鶴見から様々な人物のフォロー(世話係)を任されることの多い月島ですが、一番絡みが多いのが鯉登少尉です。

 鯉登少尉は鶴見に心酔する典型的なお坊ちゃん型エリート軍人で世間知らず。
 奇行も多く、月島は鯉登に内心ではうんざりしながらも、表情一つ変えずフォローに回っています。

 ザ・苦労人です。

 ある意味正反対の月島と鯉登ですが、物語が進むにつれて鯉登が男として成長していき、本当の意味で良いコンビになっていくから不思議ですね。

 ちなみに鯉登が鶴見に忠誠を誓う切っ掛けとなったのが、幼い頃誘拐に遭い、それを鶴見に救われた事件ですが、これは鶴見による狂言誘拐。
 その誘拐には月島も加わっていました。

 また、鯉登以外にも、月島はモルヒネ中毒の世話をさせられたり、谷垣杉元といった問題児の面倒を割り当てられたりと、とにかく苦労し続けています。

 ……鶴見中尉は月島に何か恨みでもあるのか?

鶴見中尉へ向ける感情は果たして……

 月島が鶴見中尉に強い忠誠心を抱いていますが、それは決して他の協力者たちのような盲目的な忠誠ではありません。

 月島が鶴見に忠誠を抱いたきっかけは、別に鶴見のカリスマ性や理念に共感したとかではなく、鶴見の心理操作、人心掌握術によるものです(詳細は後述)。

 しかも月島は、自分が都合よく鶴見に操られているという事実を半ば自覚しています。

 それでも月島が鶴見に忠誠を誓っているのは、鶴見の心理操作によって心が疲弊し、真実が何であれ、もはやどうでも良いという捨て鉢な感情によるもの。

 また、その上で鶴見の掲げる理想が叶えられれば、自分の人生にも一定の意味が得られるはずと、ある種の救いを求めての行動でもあるようです。

 ……非常に狂気に満ちた忠誠であり、鶴見の行動が私怨から来たものだとの疑いが生じた時は、鶴見への殺意を露にしていました。


「ゴールデンカムイ」月島基(月島軍曹)の過去(いご草ちゃん)

いご草ちゃん(春見ちよ)との約束、尊属殺人を犯した過去

 かつて月島には結婚(駆け落ち)を約束した恋人がいました。

 彼女の名前は春見ちよ、そのいご草に似たくせ毛から、いご草ちゃんと呼ばれた少女です。

 月島の父は黒い噂の絶えない人物で、月島も周囲から「人殺しの息子」「悪童」などと呼ばれ辛い日々を送っていました。

 そんな月島のことを唯一名前で呼び、親しくしていたのがいご草ちゃんです。

 月島は日清戦争に出征する前に、いご草ちゃんと帰還後の結婚(駆け落ち)を約束していました。

 しかし月島の帰還前に彼の父親が月島の戦死の虚報を言いふらし、いご草ちゃんは海岸に履物を残して行方不明に。

 いご草ちゃんが世を儚んで自殺したと考えた月島は、その原因となった父親を殴り殺してしまいます。

 当時尊属殺人(親殺し)は無期懲役か死刑のみが規定される非常に重い罪で、月島もそのまま死刑になってしまうかに思われました。

いご草ちゃんの生死は? 鶴見劇場の真実は?

 しかしそんな月島を救ったのが鶴見中尉でした。

 まず鶴見は月島に次のように語り、いご草ちゃんが生きているとして月島に生きる気力を取り戻させます。

「いご草ちゃんの両親が彼女を気に入った財閥幹部の息子へ嫁がせるために、月島の父親に金を渡してデマを広めさせ、いご草ちゃんに月島を諦めさせた。いご草ちゃんの死は偽装で、本人と両親は嫁ぎ先の東京にいる

 そして月島自身はロシアとの戦いに必要な人物だと説き、上層部に働きかけて釈放させ、自らの配下に加えました。

 しかしその後、月島の同郷だと語る兵士から、月島に次の言葉が語られます。

「月島の父の自宅床下からいご草ちゃんの遺体が見つかった」

 いご草ちゃんが生きているというのは嘘だったのかと激昂して鶴見に詰め寄る月島。

 しかし今度は、鶴見の口から次の言葉が。

「月島の死刑を回避するため、素行の悪い父親に婚約者を殺されたという虚偽を造り、軍部と島民に信じこませ父親殺しを正当化した」

 もう何が正しいのか分かりません。

 いや、月島は半ばいご草ちゃんがもう死んでいて、鶴見はただ自分を利用したいだけなのだと察していますが、もはや真実を追求する気力も勇気もなく、捨て鉢となって鶴見に忠誠を誓います。

 少なくとも、鶴見の理想が実現すれば自分の命は戦友や仲間たちの役には立つはずだ、と。

 月島の同郷を名乗る兵士が実は鶴見と通じていた描写もあり、こうして月島が思考放棄するところまで含めて鶴見の狙い通り、鶴見劇場の一環だったのでしょう。

 

 完全に死んだものと思われていた、いご草ちゃんですが、実は276話において彼女の生存を匂わせる情報が流れています。

 花沢勇作の見合い相手だった金子花枝子の従兄弟の兄は、夫人を自ら見初めて結婚したそうですが、花枝子はその夫人のことを「あんなクリクリのくせっ毛の田舎娘」と語っており……

 



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