今回は月刊少年マガジンで連載が開始され、マガポケへの移籍が発表されたプロ野球漫画「ドラハチ」について解説します。
この作品は万年最下位の弱小プロ野球チームにドラフト8位で入団した高卒ルーキーが、幼馴染と結婚するためプロ一年目にシーズンMVPを目指す物語。
凄い才能やコツコツした努力でのし上がっていくのではなく、知恵と工夫と図太さで目的を達成しようとする主人公を描いた作品です。
本記事ではあらすじや主な登場人物の解説を踏まえ、その忌憚のない評価を述べていきたいと思います。
「ドラハチ」あらすじ
「僕は今年シーズンMVPになります」
万年最下位のプロ野球チーム「カーボンズ」のドラフト8位で指名された高卒ルーキー黒金八郎。
この物語は彼が入団会見でそうぶちまけたところから始まります。
黒金は高校時代目立った成績を残せていなかったものの、そこそこキャッチングが上手く、キャッチャーが不足しているチーム事情のためにギリギリ下位で指名された凡庸なキャッチャー。
そんな黒金がMVPをなると宣言した理由は、幼馴染の少女と結婚するためでした。
幼馴染の土門鈴はかつて「ミスターカーボンズ」と呼ばれた名選手を父に持ち、父の資金を元手にベンチャー企業を立ち上げ大成功を立ち上げた天才女子高生社長。
元々、黒金がプロ選手を目指したのも、幼い頃の鈴が「お父さんみたいなプロ野球選手」と結婚すると発言したことが切っ掛けでした。
プロになることができ、父親経由で鈴に結婚を申し込んだ黒金ですが、鈴はそれだけではまだ足りないと言います。
来シーズン、今の弱小カーボンズを優勝させ、シーズンMVPになる活躍をしたら結婚してやる。
その言葉を受けて、実力不足の黒金は知恵を振り絞り、手段を選ばずMVPになるため動き出します。
MVPは記者投票で選出されるので、まずは目立つために記者会見で一発かました黒金。
本来ドラフト8位の黒金ではシーズン中に一軍に上がることさえ難題です。
しかし黒金はキャンプや紅白戦であらゆる手段を使ってアピールし、一軍に合流。
さらに開幕投手にアピールして開幕マスクを勝ち取ることに成功します。
そして無事に開幕初戦を無事に勝利した黒金が取り組んだ次の課題はチームに潜む闇、八百長疑惑。
しかもそこには絶対的正捕手とされる四ノ原が関わっていて……
「ドラハチ」主な登場人物
黒金八郎(くろがねはちろう)
本作の主人公でカーボンズにドラフト8位で入団した高卒ルーキー。
ポジションはキャッチャー。
眼鏡のひょろっとした青年で、高校時代は目立った成績を残せておらず、身体能力も凡庸だが、チーム事情でギリギリ支配下で指名された。
幼馴染の鈴と結婚するためにプロ野球選手となり、ルーキーイヤーにシーズンMVPを本気で目指す頭のいいアホの子。
野球IQはかなり高く、手段を選ばぬプレーやアピールでのし上がっていく。
土門鈴(どもんすず)
本作のヒロインで黒金の幼馴染。
かつて「ミスターカーボンズ」と呼ばれたプロ野球選手を父に持ち、その父の資本を元手に起業し、大成功を収めた天才女子高生社長。
黒金のことは嫌いではないが、事業が忙しくそもそも結婚するつもりが無かった。
だが黒金の本気を見て、自分が1年後に買収し立て直す予定のカーボンズをそれまでに優勝させ、シーズンMVPになる活躍をすれば結婚してやると発言してしまう。
つまり全ての元凶。
土門大也(どもんだいや)
鈴の父親でミスターカーボンズと呼ばれた往年の名選手。
娘を溺愛しており、黒金のこともそれなりに認めている。
柱部綱紀(はしらべつなのり)
カーボンズの現監督で現役時代の土門の同期。
グラサンで寡黙、何を考えているか分かりづらいが、本気でカーボンズを立て直そうとしており、黒金とも思考がかみ合っている。
喜住竜司(きずみりゅうじ)
黒金と同期でドラフト5位入団した遊撃手。
モヒカンヘッドの気の良い男で社会人野球出身。
黒金の本気に徐々に感化されていく。
紫谷旦(しこくあきら)
黒金と同期でドラフト1位入団した投手。
9球団競合の高校生ルーキーで、25歳までにタイトル5個獲得でポスティングでのメジャー移籍を無条件に認める特別な契約を結んでいる。
物腰柔らかで本音をあまり周囲に見せないタイプ。
嘉仁参四郎(かにさんしろう)
黒金をスカウトしたカーボンズのスカウト。
獲得しやすくて問題起こさなそうという理由で黒金をスカウトしたが、結果的に黒金に無茶苦茶振り回されることになる苦労人。
青山光(あおやまひかる)
炭日新聞の記者の女性。
主に嘉仁と共に登場する物語の驚き役。
「ドラハチ」感想&評価
本格プロ野球漫画かイロモノか?
「ドラハチ」を読んだ最初の感想は、本格プロ野球漫画かイロモノか、判断に迷う作品だなというもの。
身体能力に劣る頭脳派の主人公が、知恵と工夫と図太さでプロ野球という世界を攻略していく内容で、細かな野球のルールや選手心理を利用した駆け引きが大胆に描かれています。
ただこれがリアリティのある本格野球漫画かというと、ちょっとやっていることが突飛すぎて首を傾げる部分も。
プロ野球を描いた漫画というよりは、プロ野球という題材を使っての駆け引きを描いた漫画という印象が強いですね。
例えるなら「ブルーロック」は面白い漫画ではあっても本格サッカー漫画とは言わねぇだろ、って感じです(あそこまでぶっ飛んではいませんが)。
こんな人におススメ
絵は読みやすくてキレイ、話の展開も早くて分かりやすいので、基本的には良作。
男女問わず楽しめるタイプの作品かなと思います。
ただ一点、リアルの野球が好きで、それに近い野球漫画が読みたいという方はひょっとしたら内容に違和感を覚えるかもしれません。
駆け引きというかやり口に自重が無さすぎるというか、やり過ぎというか。
逆にリアルの野球はともかく野球漫画は面白いので好き、と言う方にはハマるかもしれませんね。
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