「葬送のフリーレン」感想~勇者たちのその後を繊細に描いた名作! 面白いとつまらない、評価がわかれるポイントは?~


 「葬送のフリーレン」は週刊少年サンデーで連載中の、魔王を倒した勇者たち一行のその後を描いた壮大な冒険ファンタジーです。
 正直に言って、読む前は「なろう系」っぽい設定だなと敬遠していたのですが(もちろん「なろう系」にも名作はあるのですが)、読んでみて評価は一変。ファンタジー好きはもちろん、そうでない方にも是非読んでいただきたい、受け継がれる人の想いを繊細に描写した感動的な物語です。

葬送のフリーレンのあらすじ(ネタバレ注意)

 魔王を倒して王都へと凱旋した勇者一行。物語の主人公は、その勇者一行の魔法使いで長命なエルフの少女、フリーレンです。
 彼らは50年に一度見られる流星と共に魔王討伐の旅を振り返り、50年後にこの流星をもう一度一緒に見ることを約束して解散します。

 そして50年後に再会した勇者ヒンメルは、かつてのイケメンぶりが見る影もないしわくちゃのおじいちゃん。

 流星を見るという約束を果たした後、勇者ヒンメルは寿命で帰らぬ人となります。そしてその時になってフリーレンは、自分がヒンメルのことを何も知らず、知ろうとしなかったことに気づいて涙します。そして彼女は「人間のことをもっと知ろうと思う」と、旅に出るのです。

 更に20年後、僧侶ハイターから戦災孤児のフェルンを弟子として託され、フリーレンはフェルンとともにかつて彼らが救った世界を巡ります。

   その旅の中で、勇者たちの痕跡、想いに触れながら。

 これは魔王を倒した後の世界で紡がれる一人の少女の成長の物語。
 魔王を倒したというと、既に完成された人物を想像しますが、この物語で描かれているのは、まだまだ未熟な生身の少女なのです。


葬送のフリーレンの主な登場人物(ネタバレ注意)

フリーレン
魔王を討伐した勇者一行の魔法使い。長命なエルフ族の生まれで、人間とは時間の間隔が大きく異なる。魔法使いとしての実力は強大。服が透ける魔法など、役に立たない魔法を収拾するのが趣味
1000年以上生きたエルフではあるが、見た目も精神年齢も幼いところがある。

ヒンメル(勇者)
魔王倒した勇者。人間。人格者ではあるがナルシストで、銅像のモデルとなった際は細かく注文を出していた。かつて勇者のみが抜ける「勇者の剣」を抜こうと挑戦して結局抜くことは出来なかった。だが、「偽物の勇者でもかまわない、魔王を倒せば偽物でも本物でも関係ない」と話して実際にそれを成し遂げる。
この人だけにスポットを当てた番外編とか将来描いてくれないかな。

ハイター
勇者一行の僧侶。人間でヒンメルの幼馴染。穏やかな性格だが、大酒飲みの生臭坊主。ヒンメルの死後、戦災孤児だった少女フェルンを引き取り、フェルンをフリーレンの弟子として託す。

アイゼン
勇者一行の戦士。長命なドワーフ族。けれどフリーレンと異なり肉体的には着実に老化しており、ヒンメルの死後、旅に同行して欲しいとフリーレンに請われた際は、もう斧を振れる歳じゃないと断っている。

フェルン
フリーレンの弟子である少女。戦災孤児だったがハイターに引き取られ、ハイターの死後はフリーレンの弟子として共に旅立つ。だらしのないフリーレンの面倒を見る「お母さん」のような役割を担うことも。
魔法使いとしての実力は既に一流の域に達している。
甘味に関しては貪欲で、気を許した相手にはそれなりに面倒くさい性格をしている。
ある意味でもう一人の主人公。

シュタルク
アイゼンの弟子である少年。斧使いで実力は確かだが、臆病な性格で自分に自信が持てない。
戦士の村の出身で、家族からは臆病者の失敗作だと見下されていた。
実際のところ、戦士としての技量はアイゼンを凌ぎ、作中最強クラスと思われる。
ただし性格があまりに小物なため、作中での扱いはぞんざい。
アイゼンのすすめでフリーレンの旅に同行する。
なお、フェルンに服の透ける魔法で見られ「ちっさ」との感想を漏らされた悲しい男

ザイン
底なし沼にはまっていたところをフリーレンに助けられた僧侶の男。不治の毒を瞬時に解毒するほどの魔法の才能を持つ。
幼いころから冒険者に憧れていて、フリーレンに勧誘され仲間になる。
中身はかなり残念。



葬送のフリーレンの感想、アニメ化はいつ?

面白いとつまらない、評価がわかれるポイント

 本作は言うまでもなく魅力的な作品ではありますが、一部の方からはつまらないとの声も上がっています。その評価がわかれるポイントはどこにあるのでしょう?

 まず魅力から。この物語では、フリーレンの長大な時間間隔を表すように、セリフもなく絵だけで時間経過を示す描写が多く使われています。言葉がなくとも風景や表情だけで繊細に時間が表現されており、眺めているだけでぐっと物語に引き込まれていきます。

 フリーレンの感情もまた、言葉少なく、けれど情感豊かに描かれていて、彼女が仲間の思い出に涙してしまう時は、思わずもらい泣きしてしまいそうになるほど。

 そして何より、物語の始まりはただのテンプレ勇者様でしかなかったヒンメルが、フリーレンが旅を続ける過程で少しずつ形作られていく様は、この物語でしか描けない唯一無二のもの。

 最近よくある、俺TUEEEとか、ざまぁ系とは一線を画した、終わりから始まる王道ファンタジーと言えるでしょう。

 一方で、淡々と物語が紡がれており、読者に画が静止しているような、一種の朗読劇を見ているような印象を与えるため、ダイナミックな作品を期待している方には少し合わないかもしれません

 それが一種の違和感となって、物語全体に「つまらない」という印象を受けてしまうのではないかな、と考えています。
 これはまあ、その人が作品に何を求めているか、合う合わないの問題なので、仕方のないことでしょうね。

アニメ化はされる? いつ?

 これだけの人気作で、内容的に放送コードに引っかかる内容でもないため、いずれアニメ化されることは間違いありません

 しかし、本作は2021年5月現在でまだコミック4巻と話のストックがありませんから、アニメ化は2~3年は先の話になるでしょうね(最低限のストックが溜まって、そこから決定、制作に1年程度かかるとして)。

 焦ってアニメ化して中途半端な内容になっても困りますから、ゆっくり進展を見守ることとしましょう。



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