「チェンソーマン」サンタクロース~その謎めいた正体(おじいちゃんは人形?)、4人の子供の行方、人形の悪魔とは~

 今回はその強烈すぎるストーリーとキャラクターで話題を攫った傑作漫画「チェンソーマン」より、デンジたちを地獄に落としたドイツのデビルハンター「サンタクロース」について解説します。

 サンタクロースとは、デンジの心臓を狙ってドイツから送り込まれた刺客。

 マキマや岸辺が最も警戒するデビルハンターで、作中ではその意外な正体で読者の度肝を抜きました。

 本記事ではサンタクロースの正体や強さ(契約悪魔)、その目的や最期(死亡)を中心に、深掘りしていこうと思います。

「チェンソーマン」サンタクロースのプロフィール(正体)

マキマらにも警戒されるドイツからの刺客、おじいちゃんかと思いきや……

 サンタクロースはデンジの心臓を狙ってドイツから送り込まれた刺客です。

 同時期に中国のクァンシ、アメリカの三兄弟、ソ連からトーリカとその師匠が同様に刺客とし日本を訪れていましたが、その中でもマキマ岸辺が最も警戒していたのがこのサンタクロース。

 岸辺からは「アイツに悪魔を使われたら終わりだからな」と、かなり理不尽な能力を持っていることが示唆されていました。

 初登場時の(サンタクロースだと思われた人物の)外見は禿げ頭で虚ろな目つきの老人。

 サンタクロースは二つ名のようなものらしく、作中では依頼のことを「プレゼント」と言い換えていました。

 「人形の悪魔」の契約者であり、周囲の人間を人形に変えてデンジたちを追い詰めるのですが、土壇場になって実は老人はサンタクロースではなく、本物のサンタクロースに操られた人形でしかなかったことが判明します。

その正体はソ連の刺客・トーリカに師匠と呼ばれるかわいい美女

 サンタクロースの正体はソ連からの刺客・トーリカに師匠と呼ばれていた女性。

 見た目は黒髪であどけない雰囲気の美女ですが、目つきや怪しげな言動はどこかマキマに通じるものがありました。

 トーリカは「師匠はあと半年しか生きられないんです」「余生は平穏に過ごして欲しいんです俺は」と発言しており、見た目は若いですが悪魔との契約の代償で中身はボロボロな模様。

 また、ハンバーガーを食べたことがなく、初めて食べた時は「ここに人がいなかったら踊りだしたいおいしさです!」と喜びを露にするなど、中々過酷な人生を送ってきたようです。

 サンタクロースは「人形の悪魔」の力によって触れた人間を人形に変えて操ることができ(詳細は後述)、サンタクロースと思われていた老人は彼女が操る端末の一つ。

 彼女を慕っていたトーリカも、人形とするために育てていた道具の一つに過ぎませんでした。


「チェンソーマン」サンタクロースの強さ(契約悪魔?)

契約悪魔は「人形の悪魔」「呪いの悪魔」「地獄の悪魔」

 サンタクロースには少なくとも3体の契約悪魔が存在します。

人形の悪魔
触れた人間を人形に変えて操ることができる。
また人形となった者が触れた人間も人形に変えられる。
パワーのような魔人や悪魔と融合した人間は人形に変えられない。
人形に変えられた人間は自我を喪失し、見た目も人形のように変化してしまうが、「敬愛」「崇拝」「哀憐」といった人間しか持たない感情を入れることで、見た目の変わらない「精巧な人形」にすることができる。
契約の代償は不明。

 これこそがサンタクロースのメインとなる契約悪魔。

 この能力の本当に恐ろしい点は、操る人形を介することで代償を人形に代替させ、ノーリスクで他の契約悪魔を使役することができること(これもマキマ(=支配の悪魔)に似ていますね)。

 ただ、後述の呪いの悪魔を始めとして、作中ではサンタクロース自身も契約の代償を支払っているところを見るに、恐らく悪魔と契約を結べるのは「精巧な人形」のみ。

 そして「精巧な人形」を育てるには相当な手間がかかるため、それほど自由に使える力というわけでもなさそうです。

呪いの悪魔
早川アキが契約していたのと同じ悪魔。
釘の形状や刺す回数に違いがあり、こちらは釘で4回相手を刺すことで呪い殺せる。
代償としてサンタクロースは指の感覚を奪われていた。

地獄の悪魔
本来、悪魔の故郷である「地獄」には、人間や人間界で生きる悪魔は行くことができないが、地獄の悪魔はそのルールを無視して対象を地獄へ落とすことができる。
作中では六本指の巨大な手のみが描写されていた。
代償としてサンタクロースは老人と養子に迎えた4人の子供のうち3人の命を捧げている。

 地獄の悪魔とか、とんでもないビッグネームですよね。

 こんなとんでもない悪魔を、手間はかかれど自分自身はノーリスクで使役できるのですから、岸辺やマキマが警戒していた理由もよく分かります。

闇の悪魔の肉片

 さらに作中において、サンタクロースは更なる力を手に入れます。

 詳しい背景や経緯は不明ですが、サンタクロースはデンジたちを地獄に落とし、地獄に存在する「根源的恐怖」の悪魔の一角「闇の悪魔」の前にその心臓を持ってきたことで、その肉片を授かっていました。

 闇の悪魔は地獄において一度も死んだことのない最強の存在。

 それこそ銃の悪魔やマキマですら敵わない本物の化け物です。

 サンタクロースは地獄に送り込んだトーリカ(の人形)を通じて闇の悪魔の肉片を取り込み、その力を飛躍的に向上させていました。

 これによりサンタクロース自身も人形のような異形の存在へと変化し、圧倒的な攻撃力や不死性を手にしたわけですが……


「チェンソーマン」サンタクロースの活躍とその最期(死亡)

デンジたちを地獄に落とし、闇の悪魔からマキマを倒す力を手に入れる

 サンタクロースがデンジたちに仕掛けた一連の行動を整理してみます。

・老人の人形を介し、大量の人形を使いデンジたちをデパートに追い詰める。
・クァンシの襲撃に乗じて呪いの悪魔の力でデンジを呪い殺す。
・トーリカを「精巧な人形」に変える。
・老人の人形を介し、地獄の悪魔の力でトーリカとデンジたちを地獄に落とす。
・闇の悪魔の前にデンジの心臓を持っていき、闇の悪魔の肉片を授かる。

 と、ここで地獄に送り込まれたトーリカは闇の悪魔に殺され、本来であれば地獄に送り込まれたデンジたちはなすすべなく全滅する予定でした。

 実際、暴力の悪魔を始めとした多くの者が、闇の悪魔に蹂躙されていきます。

 しかしそこに、蜘蛛の悪魔を介して召喚されたマキマが登場しました。

 マキマは理不尽な強さを持っていますが、それでも闇の悪魔には到底及びません。

 彼女は闇の悪魔の剣に貫かれながらも、トーリカを介して地獄の悪魔と契約し、自分たちを現世に返してもらうことで辛うじて難を逃れたのです。

デンジの光の力(?)とコベニの愛車に追い詰められ、コスモの能力で燃え尽きる

 現世に戻ったデンジたちの元に現れたのは、闇の力を経て異形へと変貌し、パワーアップしたサンタクロース本体。

 襲い掛かるサンタクロースに対し、デンジ、そして彼との共闘を選んだクァンシが激突します。

 クァンシも弓矢の悪魔の力を使って対抗しますが、闇の力を得たサンタクロースの無尽蔵の再生能力を攻略できずにいました。

 そんな中、やはり突破口を拓いたのはアホの子主人公・デンジ。

 彼は「闇の力」に対抗するなら「光の力」だと、自身にガソリンをぶっかけて火をつけ、炎を纏いながら「光の力だぁぁっ」とサンタクロースに襲い掛かったのです。

 ……うん。てか、それ「火の力」だよね?

 とは言え、一応「火」も「光」を発しているから一応有効だったのか、デンジは自爆そのもののような戦術でサンタクロースを追い詰め、最後は手近にあったコベニの愛車をぶち投げて大爆発を起こし、サンタクロースを戦闘不能にしたのでした。

 しかしサンタクロースは世界中に人形の端末が存在し、触れれば誰もが「サンタクロース」と呼ばれる殺し屋となってしまう不死の存在。

 そのままであれば、彼女を殺してもサンタクロースはデンジたちに襲い掛かってきたでしょう。

 そんなサンタクロースに止めをさしたのが、クァンシの連れていた魔人・コスモ

 コスモの正体は宇宙の魔人であり、彼女はその能力でサンタクロースの脳内に全宇宙の情報を流し込みます。

 その結果、サンタクロースは「死ぬまでハロウィンのことしか考えられなくなり」、燃え尽きてしまいました。

 あれほど強大な力を持っていたにも関わらず非常にあっさりした最期でしたが、これもまたチェンソーマンらしいカタルシスと言うべきなのでしょうね。


「チェンソーマン」サンタクロースの謎(手紙・子供・悪魔?)

 死亡し、退場したサンタクロースですが、最後に彼女の言動にまつわるいくつかの謎を整理しましょう。

ドイツ語の手紙の内容

 64話では来日する前、ドイツで依頼を受けた老人が、男からこっそり手紙を受け取るシーンが描かれています。

 その手紙に書かれた内容をざっくり日本語に訳すと、

「声はマキマに聞かれている」
「滅亡の日は近い」
「マキマを殺せ」

 各国の上層部はマキマの能力を知っており、どうにかマキマを殺そうとしていたようですね。

 デンジの心臓を狙っていたのも結局はマキマを殺すため。

 サンタクロースはデンジの心臓を代償に闇の悪魔に「マキマを殺せる力」を願っており、ドイツ政府の本当の依頼はマキマの殺害だったようです。

四人の子供(養子)の行方、一人は趣味?

 サンタクロースはドイツ政府からの依頼に対し、4人の美男美女の子供を養子にすることを報酬として求めています。

 その目的について問われると、

「3人は契約に使う」
「1人は趣味だ」

 実際、3人は地獄の悪魔と契約する際の代償に使用していますが、残る1人がどうなったかは作中では語られずじまい。

 恐らくは、新たな「精巧な人形」として育てるつもりだったのか、あるいは次代の自分(=サンタクロース)として使うつもりだったのでしょう。

サンタクロースは「人形の悪魔」かそれともその「契約者」なのか

 サンタクロースは作中において、自身のことを「人形の悪魔」とも「人形の悪魔の契約者」とも名乗っており、結局どちらなのか分かっていません。

 「人形の悪魔」そのものなら他の悪魔と契約することはできないでしょうし、逆に「契約者」なら人間が「悪魔の肉片」を食べてパワーアップできるというのもおかしな気がします。

 これについては、恐らく「サンタクロース=人形の悪魔」と契約した人間は、人間と人形の境界が薄れており、限りなく人形の悪魔と同一の存在となっていたのではないか、と考えています。

 デンジたちのように悪魔と融合した人間に近いのでしょうが、より概念的に一体となっているイメージ。

 世界中に存在する人形すべてがサンタクロースだと本人が語っている通り、既にサンタクロースにとって「人間」という個は意味をなさないものになっていたように感じます。

 あるいは既に彼女自身も、誰かによって作られた人形、何代目かのサンタクロースだったのかもしれません。

【まとめ】「チェンソーマン」キャラクター一覧

 



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